【第2.5章】召喚された異世界でライターになりました!~学校の先生、今は育児と原稿に追われています。〜 #創作大賞2025
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第2.5章|絆が紡ぐ言葉の力——レオニスの真実
ーーレオニスが珍しく、家まで様子を見に来てくれた夜。
「なんで私なの……?」
私は思い切って、レオニスに尋ねた。
「なぜ、わざわざ異世界から『母親』を召喚したの?他にいくらでも、自分の時間が撮りやすくて、かつ、ライティング力がある人なんていくらでもいると思うけど」
レオニスは一瞬、表情を曇らせた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「——実は、俺もこの世界の人間じゃないんだ」
「え?」
……いつになく真剣なレオニスの語りに、私は思わず引き込まれていく。
「かつて、俺も異世界から召喚された。当時俺は言語学を専攻する院生で……研究もうまくいかず、婚約者も失い、自暴自棄で。ーーだから、こちらに召喚されたときには、『やった、これでつらい現実から逃れられた』と思ったほどだった」
意外な告白に言葉を失う。
「俺には、元の世界への希望も、帰りを待つ人も、なにもなかった。だから、もういっそ、こちらで新しい人生を始めようと。すぐにこの世界にも馴染めたけど……でも同時に、なにか大切なものも失った気がして……」
レオニスの灰色の瞳が、遠くを見つめていた。
「ーーこの世界には『心の重さ』という概念があるんだ。大切な人との絆が、言葉に力を与える。つまり……『絆』を持つ人こそ、本当に強い言葉を紡げる……」
「だから、あえて家族持ちの私を?」
「キミの書く文章には、愛する人を守りたいという切実さがある。それが、この世界で最も求められている『言葉の力』なんだと、俺は思うんだ」
レオニスは立ち上がり、窓の外を見た。
「俺は、自分にできなかったことを、キミに押し付けているだけなのかもしれない。……家族を大切にしながら、言葉で世界を変える……そんな筆導士になってほしくて……」
まったくこの人は、なんて勝手なんだとは思いつつも……。
―—その横顔に、初めて彼の孤独を見た気がした。
「レオニス……」
たまらず、私はレオニスに駆け寄って、肩に手をかける。レオニスは私の手に手を重ねてゆっくり振り返ると、ニーッ!と私に笑いかけた。
「そんなわけなんで!どうでしょ!俺っちと家族になってみるってのは!俺っちたち、けっこーいいコンビだと思うんだよね!」
「……こんなに大きな長男を産んだ覚えはありませんので、お断りします……」
続く
次回:第3章|言葉の呪いと、ペンとスライム
お楽しみに。
召喚された異世界でライターになりました!~学校の先生、今は育児と原稿に追われています。〜

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