【ロンドンで家を売る①】完全アウェイの国。私たちに家が売れるのか?
このシリーズについて:
2015年、ロンドン南西部に小さなフラット(集合住宅の一戸、日本でいうマンション/アパート)を買いました。買うまでも大変、買った後(直後)も大変でした。その体験を、2016年5月~6月、全6回で「コスモポリタン日本版」に連載しました。
あれから10年以上が経過。2022年に住み替えをし、2015年に購入したフラットは賃貸にしていました。そしていよいよフラットを手放したいと思うように。
英国において「完全アウェイ」の日本人夫妻のわたしたち。家を売るなんてできるのか? 日記として書き残しておこうと思います。
こちらも読んで下さい→「家を買う」全話公開中です
https://note.com/hanako_london/n/n82185df2d548
2015年にロンドン南西部に小さなフラット(=集合住宅の一戸、日本でいうマンション/アパート)を購入し、そこに7年住んでいました。場所は欧州最大のコリアン・タウンがある場所です。徒歩1分でお豆腐が買えてしまう上に、スーパーもたくさんある買い物便利な場所。お手軽値段の韓国料理店もずらり。

美味しいものはたくさんあるし、治安はいいし、駅にも近いし、で大変快適に暮らしていました。
…でもこのフラット購入は地獄でした(笑)。詳細はこちらから。連載6回を現在無料公開中です。
コロナ禍(2020年3月)もこの家で迎えました。ロックダウンの厳しい時期、大手スーパーの棚に何もなくなったものの、何とかやっていけたのは、近所の八百屋さん等小売店が頑張ってくれたからでした。斜め向かいのトルコ系食料品店(八百屋兼お肉屋さん)さんにどれだけ通ったことでしょう。どこから仕入れてくるのか、ちょっとプラ容器がつぶれたオリーブオイルを「1L1ポンド(220円)」とか信じられない額で売ってくれたり、野菜も果物もお肉も、いつだって新鮮でした。お店の人も優しかった。レジに並ぶと「来てくれてありがとう」とか「この果物、美味しいでしょ。私も大好き」なんていう何気ない言葉をいつもかけてくれました。おまけもしてくれた。今もムネアツでこの時期の事を思い出します。
このお店は、このコロナ禍で一気にビジネスを伸ばし、今は隣の店舗も購入してレストランもやっています。わかる、あんなに親切でがんばって、しかも新鮮でおいしいものばかりなんだから、そりゃ、ビジネスも伸びますよね。
そんな風に快適に暮らしていたのですが、ロックダウンで家にいた時期に、私と夫(←日本人会社員)は将来について考え始めました。そして「ずっとこれからも、このフラットで暮らしていくのだろうか?」と思い始めました。
もうちょっとかみ砕くと、私(妻)はずっとこのフラットで暮らしていくつもりでした。ローン完済に向けて必死で節約していたのも、早く借金から解放されたかったから。でも唯一の懸念は、我が家が1st Floor(日本でいう2階)にあり、エレベーターがないことでした。
今は元気だから、エレベーターなんて不要です。しかし周囲に80代の友人知人が数人おり、「1度足腰を痛めてしまうと、階段1段が大変」と辛そうに語る様子をずっと見聞きしていました。いつか数十年後、きっと階段が邪魔して外出が難しくなるのかもしれない、と思っていました。
夫はもうすこし別のところに思いがありました。田舎出身で幼少期をずっと庭付きの一軒家で過ごした私と異なり、夫は都会で生まれ育ちました。マンションで育ち、そして大学進学・就職で上京後もずっとアパート/マンションで賃貸暮らし。ロンドンでもフラット暮らし。「人生で1度ぐらい、地面付きの家(戸建て)に暮らしてみたい。庭があり、階段のある家(2階建て)の家にも住んでみたい」という夢があったことを、この時期に知りました。
夫の願望を知り、ぼんやりと「住み替えなんて、私たちにできるのかな? この家買うのだってえらく大変だったのに(※)」と思って日々を過ごしていました。コロナが少しおさまってきた2022年の初頭、あることに気付きました。
※こちらを参照してください。ソーゼツな記録です(笑)
2022年は住宅ローンの切り替えの年でした。
コロナもあり、住宅ローンを借りられるのは上限年齢が69歳最後の日まで、とする金融機関が多くなりました(それ以前は70代まで貸してくれる金融機関もありました)。20代で1軒目の不動産を購入する人が多い国・英国において、私たちは1軒目を40代で購入しています。年齢を考えると、新規に住宅ローンを組んだり、住み替えするのはこれが最後のチャンスなのかも?と気付いたのです。
コロナ以降、ずっと静かだった不動産市場が動き出し、一気に「売り手市場」になっていました。「買い手市場」ではないので、買うには高い時期ではあるものの、2022年7月にローンの切り替えが間近であり、今なら「ぎりぎり」私と夫の年齢でも新規ローンが組めるかも?
最後のチャンス、どうしよう?
慎重派の私は実は「住み替え」に後ろ向きでした。しかし普段あまり主張をしない夫がいろいろ調べたり、私にプレゼンしてきたりと頑張っていた気持ちに負け、私の気持ちが揺らぎ始めました。
不動産を何軒も持っている英国人の友人P君に相談したり、住み替えを経験した人に話を聞いたり。そしてモーゲージ(不動産担保ローン)専門のアドバイザーにも話を聞きました。私自身も具体的に調べることで、「ああ、ホントに年齢的にはこれが最後のチャンスかも」と納得しました。そして怖いけれど「戸建て&庭付きの家への住み替え」にチャレンジすることにしました。
■「売らずに買う」方法
大金持ちでない限り、一般市民が「住み替え」する場合、通常は「今住んで言う家を売って、次の家を買う」が普通です。
そして私たちには、全然、まったくお金がありませんでした。
しかし2022年の私たちの住み替えプランの場合、「売って買う」ができそうもないことが分かっていました。
この時期はコロナ禍がまだ完全に終わっていなかったので、「売り手市場」だったのは庭付きの戸建てだけでした。またロックダウンがあるかもしれない時期、庭のないフラットは全く人気がなかったのです。
ちなみに「庭付きのフラット」も存在します。Ground Floor(日本で言う1階)のフラットにだけ庭がついている場合もあります。
不動産屋さんにもP君にも「トレンドはまた巡るから、今無理して売らない方がいい。その代り、このフラットを担保に借りたお金を新しい家の前金にして、もう1軒買う方がいい。フラットは賃貸し、不動産市場のトレンドがまたフラットに向いてきてから売ったら?」とアドバイスをもらいました。
論理的には理解しましたが、この方式では「今のフラットと新しいある家、ダブル借金💦」を抱えることになります。
気弱な私には気が重い決断でしたが、それでも「ギリギリの年齢」であることが背中を押しました。
「1か月かだけ内覧をし、そこで運命の家に出会えなかったら諦めようね」― 夫とそう決めました。そして2022年3月に4軒内覧をしました。
4軒目の家が今住んでいる家です。フラットと同じエリアではなく、少しだけ東に移動したロンドン南部のエリア。同じ地域にP君が住んでいたので土地勘があった場所でした。
今住んでいる家に内覧に行った時、一歩入ったところでそこで暮らす自分の姿が見えました。
今考えると、そうとう妄想・錯覚も入っておりました(笑)。3月なのになぜか晴天、気持ちの良いあたたかな日に内覧に行ったことも錯覚を起こした理由です。
でもまあ、そのぐらい煙に巻かれなければ、家なんて大きな買い物はできないです(笑)。
とりあえず「頑張って買おう」と思える家に出会えました。そしてそこから物凄く大変な手続きをし(フラットを買ったときほど大事件はなかったものの、小事件はたくさんありました)、2022年8月に現在住んでいるロンドン南部の戸建て庭付きの小さな家(小さいです)を買いました。そしてフラットはすぐに賃貸しました。
■4年後の現在
この4年間、フラットを貸すことで2つの家の大借金を何とか払い続けてきました。しかし現在、急激なインフレと金利の上昇に見舞われている英国。来年、ローンの借り換えがあるのですが、現在の倍以上の金利となる見込みです。
そして月々のローン返済も倍になります。
到底払える額ではありません。
現在の「フラットの賃貸収入に手伝ってもらって、何とか月々のローン返済x2を支払う」スキームが、おそらく来年からなりたたなくなりそうです。
加え、4年間お願いしていた不動産業者N社が賃貸事業から撤退を決めました。賃貸を続けるのであれば、いったんテナントに出て行ってもらい、新たに不動産会社を探してテナントを探す作業が必要です。
N社からの「賃貸事業からの撤退のお知らせ」を受け取った時、
「大好きだったフラットだったけれど、ここで身軽になりたい」
「ダブル借金生活に疲れた💦」
と思いました。そして
「私たちにとっての、このフラットの役割が終わったのかも」
という言葉が頭に浮かびました。
現在金利が高いので、人々は家を買い渋っています。不動産マーケットは元気ではない状況です。ですので、P君にも、査定をしてもらった3社の不動産業者にも「今売らないで、あと数年寝かせた方がいい。金利がさがってから売る方が賢いよ」と何度も何度も言われました。
「不動産は『売らなくても良いなら手放さない』が鉄則だよ。寝かしておけば、必ず力になってくれるよ」
何人もの人にそう言われました。
なので現在も迷っています。でも私は、売って楽になりたい。借金を1つだけにしたい。そして今住んでいる戸建ての家の借金返済だけに集中したい。
小さく暮らし、これからに備えたい。その思いの方が強いのです。
よく考えた末、今日現在の思いでは、「1度、短い期間限定で売りにだし、ダメだったらまた賃貸にする」という方法を取ろうと思っています。
さて、ここから「ロンドンで家を売る」がスタートします。
英国において、私たち日本人夫妻は「完全アウェイ」状態。そんな2人で家が売れるのかな?
ひとまず頑張ります!
