変革が届かなかったのは、あなたの力不足ではなかった。
運命レボリューション Season 14「変革の技術」EP02
変えようとした。
でも届かなかった。
その経験を一度でも持ったことのある人に、届くといい、と思いながら書いている。
変えようとしたのに、なぜ変わらないのか
会議で新しい提案をした。最初はうなずいてくれた人たちが、翌月にはもとの方法に戻っていた。
子どもの生活習慣を変えようとした。しばらくはうまくいっていたのに、3週間後にはゼロに戻っていた。
自分の習慣を変えようとした。何度も試みたのに、また同じ場所にいる。
こういう経験を繰り返すうちに、「変えようとする自分に問題がある」と感じてしまうことがある。
だが、変革が届かない理由は、多くの場合、意志の弱さでも、能力の不足でもない。構造的な設計が欠けていただけだ、と考えられる。
レヴィンが描いた変化の三段階
クルト・レヴィンは、組織心理学の先駆者として知られる研究者だ。
彼は変化のプロセスを、三つの段階に分けて説明した。
最初は「解凍」。今の状態を固定している力を弱め、変化を受け入れられる状態にする。
次が「変化」。新しいやり方や考え方を実際に取り入れる段階だ。
そして最後が「再凍結」。新しい状態を、もとの状態と同じくらい安定させる。ここで初めて変化は「定着」になる。
変革が届かないとき、何が欠けているかというと、たいていは三番目の「再凍結」だ。

「伝わった」と「定着した」は別のことだ
変化の働きかけをした人は、「変化」の段階まで設計することが多い。
新しい情報を伝えた。新しい仕組みを導入した。新しい習慣を提案した。
だが「再凍結」の設計、つまり「その変化をどうやって当たり前の状態にするか」が抜けていると、時間の経過とともに人はもとに戻る。
これは人の怠慢ではない。もとの状態に戻る力は、変化に抵抗する自然な力として機能している。再凍結の設計なしに変化が定着するのは、水を上り坂に流し続けるようなものだ。
「変わらなかった相手を責めなくていい。」
レヴィンの研究が示唆することを一言にまとめると、そういうことになる。
再凍結の設計とは何か
では、再凍結の設計とはどういうものか。
一つの手がかりは、「変化後の状態が当たり前になる環境をつくること」だ。
たとえば、新しい習慣を職場に導入するなら、それが毎日の業務フローに組み込まれているかどうか。例外なく繰り返される仕組みになっているかどうか。
個人の習慣であれば、新しい行動が以前の何かとセットになっているか。触れる頻度が保たれているか。
変化を起こした後に「これが新しい普通だ」という状態を設計することが、再凍結の本質だ。
この視点を知っているだけで、次に変革を試みるとき、アプローチが変わってくる可能性がある。
今日の一手
最近、変化を起こそうとしたが届かなかった場面を、一つ挙げてみると、「再凍結」の設計が何だったかが見えてくることがある。
その場面で、「再凍結」の設計があったかどうかを、一行だけ書いてみると、次の設計が変わることがある。
「定着させる仕組みが、なかった」「繰り返す仕組みが、なかった」それだけでも構わない。
「届かなかった理由」が構造にあったと見えてくると、次の試みの設計が変わってくる。
あなたに聞いてみたい
変化を起こそうとして届かなかった経験のある方は、振り返ったとき「何が足りていなかったと思うか」を聞かせてもらえますか。
次話へ
変革が届かない理由は構造にあった。では、変革の設計をするとき、自分はどんなスタイルで変化を起こすのか。
急いで大きく変えるのが向いている人もいれば、時間をかけて少しずつ変えるほうが合っている人もいる。どちらが正解ではなく、自分のスタイルを知ることで、入り方が変わる。次話では、変革スタイルの4象限から、自分の軸を見つけていく。
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