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短歌二十二首 【2023年6月まとめ】


明らけき夕星ゆふづつをもとめ飛び立てど雲紗うんしゃの翼はかぎろひと消ゆ

梅雨雲に覆われたような偏頭痛 金糸梅きんしばいのひかりが眩しい

連理草咲く野にささがにの糸をたよりて玉の緒とどめてしがな

綺羅星のごとき空想 四歳児は荒唐無稽な夢をいだけり

揺れている笹舟は海へ辿り着くだろうか 僕は失意に溺れて

終点のバス停を降り畦道あぜみちをスキップすればヒナゲシが揺れる

完全な正しさなんて要らないの チューベローズは狂おしく咲く

もう君は僕のもとには還らない 責め立ててくる群青の夜

眠られぬ夜は真白き水中花のかそけき息吹に寄り添つてゐる

ヴァーベナのハンドクリームを丁寧にぬり込んでいく まじないのように

あおぎみる君の瞳にたおやかな憂いを落とす睫毛のかげ

丁寧にリボンをかけた心ごと激しく破きあばいてください

残ってるからっぽのさなぎのように空虚な僕はどこへも行けない

傷ついたはねを隠して強がるのやめてよ僕が泣いてしまうから

終わりではなくはじまりだと歌う声 山の端に沈む夕陽はやさしい


●折句「なつのつみ」

夏の雨 追憶は遠く 野ざらしの 罪は消え惑う 皆紅みなぐれない

●折句「はるはやて」

花の名残り 瑠璃に閉ぢ込めて 儚まむ やすけき手枕 蝶々てふてふの飛ぶ


●黒猫と主人 二首

黒猫につられてあくび 目を閉じて君のぬくもり思い出してる

あくびするぼくにつられた君のまなじりにきらめくしゅに映りたい


●子を詠む 三首

授乳後にむおにぎりはみどり児の糧となるため消費されゆく

いとけなき足に蹴られる午前零時れいじ ベビーベッドは物置となりぬ

ふつくらとやわらかき頬のまろらかさいつくしみて眺む昼下がり



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