カネックスの結束(職場は人間関係がすべて)original
聖書の一節みたいなタイトルですね。
そう、神聖なお話です。
ジョブホッパーのわたしが、(株)カネックスにいたころを振り返って。
前回のお話↓
お金が大好きすぎるカネゴン社長がいて、経営理念は「諸行無常」でしたね。
「社長が嘘つき」「こんな最低な人は見たことがない」
入社時の社員の証言、そして社員が1年で半分辞めた事実から考えれば、普通にブラック企業でしょう。
だけど、わたしはそこまでブラック企業とは思わなかった。わたしもそれなりにカネゴンとか、いろいろな理由はあると思うけれど。
カネックスの頃を振り返って思うのは、けっこうランチにお金を使っていたな、と。
部長や仲間とランチにいって、毎回、1000円ちょっと。
少し前まで、お金を使い過ぎていた、無駄遣いしすぎたのではないかと思っていたが、あらためて考えると本当にそうだろうか?
ひとりで安くすませたとしても、500円くらいは使う気がするので、+500円の話だ。
そのころ書いたこんなブログが残っている。歴史的なブレグジットの日だ。
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ぼくが株式会社カネックスに勤めていたときの話だ。
昼食時、部長と同僚と後輩と、質のいい定食を求め、九段下の街を行進していた。
お金の好きな強面の部長と、お金の好きな紅一点の同僚、お金の好きな弱々しい後輩とランチに出かけることがルーティンになっており、その様はドラクエの行進のようだった。
――わたしは上司の言葉を聞き流し、歩きスマホを優先していた。
先刻、その上司から、「離脱派が優勢らしいで」と、イギリスの国民投票において、事前の予想を覆し、EUの離脱派が優勢であるとの情報を得たからだ。
定食屋へと向かう道すがら、また上司が何か話しかけてきたが、意識の2%で対応するという大胆な戦略を採用した。円高が気になっただめだ。99円台で約定できるのであれば、わたしはドルを買わなくてはならない。
「君、マズローの欲求説って知ってるか」
「はい(意識2%)」
「人間の欲求はいくつかの段階に分けられてな、金に執着するのは低次の欲求やで」
「はい(同2%)」
わたしは、スマホ上でドルを買い求めるための操作に必死だった。為替が濁流のように動いている。一刻も早く、パスワードを入力しなければならない。
そのとき、何車線もある大きな道路に差しかかった。
ちぃ!スマホを顔から話す。
ここを疾走する車は、本気で轢きにくる。集中しなければ、死ぬ。本能に突き動かされて、左右を見渡した。
「それでな、次に低い欲求が、安全欲求や」
「はい(5%)」
横断中、5%台に回復したわたしの部長向けの意識は、金の欲求よりも、安全の欲求のほうが原始的で強いものなのだということをわたしに教えてくれた。
「君はえらい低次の欲求で生きとるなあ」
「はい(2%)」道路を渡りきり、ふたたび2%に落ちたわたしの意識は、それでもなお、横を歩く部長がスマホで下落した日本株を買う姿をとらえていた。
「わたし、暴落に巻き込まれちゃった」「ぼくもドル買ったほうがいいんですかねえ」
後方の同僚と後輩の声も補足することができた。
「安全よりも、金よりも高次な欲求が、所属欲求や」食堂の卓にて、部長が言う。「その所属欲求を満たすはずの昼食会で、君らは低次の欲求にとらわれて……(1%)」
「はい(1%)」「ええ(1%)」「……(0%)」
マズローのもっとも低次で原始的な欲求は、食を含む生理的欲求だという。
食堂を出たところで、イギリスのEU離脱が確定した。
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良好な人間関係の跡が残っていないだろうか。
先ほどの答えを言うなら、ランチの+500円くらいはコミュニケーション費としてまったく健全、むしろありがとうございます(嫌々付き合っているなら話は別)。
そもそも最近では、職場は、収入を得る場、能力を高める場ではなく、コペルニクス的な発想で、人とのつながりをチャージする場、のような気がしている。
生きるために欠かせないのは、実は後者だ。
そうだとすれば、少しの年収アップだとか、漠然とした自己実現のために、良好(もしくは平均的な)人間関係を投げうって転職するのは、かなりリスクのある行為に思う。カネックスをブラック企業と感じなかったのは、たまたま人間関係がはまったことも理由のひとつだと思う。人とのつながりを感じられないブラック企業こそが、客観的かつ主観的ブラック企業。人間性を確実に奪われる。
こちらが、さっきの話の中に出てきた有名なマズローの図である。

人とのつながりがない、良好な人間関係がないということは、2段目から4段目、「安全の欲求(人類は群れることで生き延びてきた)」「社会的欲求」「承認の欲求」が満たせないということ。
そんな状況で、最上階の「自己実現の欲求」を取りに行ってどうする?
階段を外され、5階から墜落するようなもの。
自らの成長を志したわたしは、日本最強クラスのブラック企業、株式会社MVPパーティーへの転職で、職業人生2回目の暗い底へと落ちることになる――。
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