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【第56話 俺もおんぶしたいけど】『ネガティ部!』~美男美女ばかりなのに普通?の俺が入部しても大丈夫なのか!?~

第5章 謎めいた合宿編

第56話 俺もおんぶしたいけど


 くっ、くそーーーっ!!

 まさか、肉の入った袋が一つも残っていないなんて……。

 モブオは、

『もし具材が見つからなくても俺に良い考えがあるから、心配せずに二人を仲良くさせてこい』

 なんて言っていたけどさぁ……。

 あいつ、たまに信じられないくらい抜けているから、正直あまり信用できないんだよな。

 しかも調理場には、あのルイルイがいるはずだ。

 嫌な予感しかしない。

「……いや、まだ諦めるのは早いか」

 もしかすると、見つけにくい場所に肉が残っているかもしれない。

 最後まで探してみよう。


【合宿所内キッチン・モブオ視点】

「よし……誰もいないな」

 久地川所長代理は、さっき確かに言っていた。

『敷地内にある物なら、何でも好きなだけ持って行っていい』

 だったら――

 この合宿所のキッチンも敷地内。

 そして、この大型冷蔵庫の中身も当然……。

「持って行っても問題ないってことだよな?」

 うん。

 俺の解釈は間違っていない。

「おい」

「ひゃあっ!?」

「そこで何をしている?」

「く、久地川所長代理!!」

 うわっ。

 近くで見ると本当に美人だ……。

「お前、ヒトヤンと同じ班の奴だったな?」

「はい! 布津野とは幼馴染の、多田野乃武男です!」

「……『ただのモブ男』?」

「違います! 『のぶお』です!」

「名前なんてどうでもいい!!」

 全然どうでもよくないだろ。

「そんなことより、ブオブオ」

「ブオブオ!?」

「冷蔵庫の中身を持ち出そうとしていただろ?」

 バレてる!!

 ここは開き直るしかない。

「そ、その通りですよ!! 敷地内にある物なら何でも持って行っていいって言ったじゃないですか!!」

「ハーハッハッハッハ!!」

「その発想は嫌いじゃない。むしろ好きだ」

「えっ?」

「だが残念だったな、ブオブオ」

「だからブオブオって何ですか!?」

「お前みたいな奴が現れることは予想済みだ」

 ニヤリ。

「だから昨日のうちに冷蔵庫は全部空っぽにしておいた」

「な、何だってーーーっ!?」

 そこまで読まれていたのか……。

 すまん、フツオ。

 せっかく保険として考えた作戦だったのに……。

「おい、ブオブオ」

「だから名前!」

「私と手を組む気はないか?」

「……え?」

「私は前から、お前みたいな『学年総合二百位』で『アーカイ部』の奴と組みたいと思っていたんだ」

「そこまで知ってるなら名前くらい覚えてくださいよ!!」


【肉の袋があった木の下】

「……ダメだ」

 どこを探しても肉は残っていない。

 こうなったら、野菜カレーで我慢するしかないか。

 それとも……

 モブオを信じてみるか。

「……いや、まずは二人のところへ戻ろう」

 そう思った時だった。

 前方から誰かが歩いてくる。

「……ん?」

 誰かがおんぶをしている。

「あっ!!」

「あれ、舞奈達じゃないか!!」

 しかも――

 和久塁が舞奈をおんぶしている。

「おーーーい!! 二人ともーーーっ!!」

「あっ、一矢!」

「布津野君!」

「大丈夫か!? 一体何があったんだ?」

「途中から舞奈の足がどんどん痛くなってきてね……」

 和久塁は少し息を切らしながら話した。

「歩くのも辛そうだったから、私がおんぶして農園まで行ったの」

「でも、その間に他の班に全部取られちゃって……」

「私のせいなの……」

 舞奈が申し訳なさそうに俯く。

「私が足をくじかなかったら……」

「舞奈」

「みんな、本当は私のこと恨んでるんでしょ? お願いだから、心の中じゃなくてちゃんと言って」

「バカ」

 思わず口から出てしまった。

「誰もそんなこと思ってないって。相変わらずマイナス思考だな、お前は」

「そうよ、舞奈」

 和久塁も優しく笑う。

「私は全然嫌じゃないよ。むしろ……おんぶできて嬉し……あっ」

 和久塁は慌てて口を押さえた。

 ……今、「嬉しい」って言ったよな?

 いや、それよりも。

「和久塁、ずっとおんぶしてきたんだろ? 俺が代わろうか?」

「嫌!!」

「え?」

 即答かよ。

「……私も聖香がいい」

「ま、舞奈ぁぁぁ!!」

 和久塁の顔が一瞬で真っ赤になったぞ。

「もちろん!! 私は全然大丈夫だから!!」

 ……なんだよ、この二人。

 もうすっかり仲良しじゃないか。

「男の俺がおんぶした方が普通じゃないのか?」

「だから嫌なのよ」

 舞奈はそっぽを向いた。

「一矢におんぶされるなんて……恥ずかしいじゃない」

「…………」

 そりゃそうだ。

 正直、俺だって恥ずかしい。

 舞奈をおんぶなんてしたら……

 太ももは触れるし、胸は背中に当たるし……

 それに。

 さっきの事故キスまで思い出してしまう。

 ……絶対、平常心じゃいられない。

「……よし、それじゃあ調理場へ戻ろ。モブオも待ってるだろうし。聖香、疲れたら遠慮なく言えよ」

「うん!」

 頼むぞ、モブオ。

 本当に何か考えがあるんだよな……?


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