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【第57話 友達認定】『ネガティ部!』~美男美女ばかりなのに普通?の俺が入部しても大丈夫なのか!?~

第5章 謎めいた合宿編

第57話 友達認定

「二人とも、頑張れーっ!! もうすぐ合宿所だぞ!!」

「りょ、了解……。でも、制限時間の三十分なんて、

 とっくに過ぎてるよね?」

 舞奈が不安そうに呟く。

「私たち……失格になるのかな? 

 もし、お昼ご飯抜きとかになったら……」

「それこそ舞奈が暴れるぞ……」

「ひ、一矢!? 私、そんな子じゃないわよ!!」

「ハハハ、ごめんごめん」

「別に失格にはならないと思うけどな」

 俺は笑いながら答えた。

「たぶん具材がないだけで、『普通以下のカレーライス』に
 
 なるだけじゃないか?」

「『普通以下』かぁ……」

 聖香が苦笑いする。

「まぁ、それなら全然いいかな」

 いや、わざわざ『普通以下』を強調しなくてもいいだろ。

「ひ、一矢……」

「ん?」

「私、おんぶしてもらってるだけだから、全然頑張れてないの……。

 私にも何か出来ることってあるかな?」

 舞奈は本当に真面目だな。

「そうだなぁ……」

 少し考えてから笑った。

「じゃあ、聖香を応援してやれよ」

「応援?」

「そう。おんぶしてくれてるんだからさ」

「聖香も、それでいいよな?」

「もちろん!!」

 聖香は笑顔で頷いた。

「舞奈が応援してくれるなら、疲れなんてすぐ吹き飛ぶわ!!」

「このまま、おんぶしたままカレー三杯くらい食べられるかも!!」

「いや、それは無理するなよ……」

 三人で思わず笑ってしまう。

「わ、分かった!!」

 舞奈も小さく笑った。

「私、聖香をいっぱい応援する!!」

 その笑顔を見た聖香も、嬉しそうに微笑んだ。

「でも……」

 舞奈の表情がまた曇る。

「肉も野菜も持って帰れなかったって知ったら……

 モブオ君、怒るかなぁ……」

「大丈夫だって」

 俺はすぐに首を振る。

「あいつは、そんなことで怒る奴じゃないさ」

「……そうかな」

「そうだよ」

「舞奈、見て!!」

 聖香が前を指差した。

「合宿所が見えてきたわ!!」

 その先では、モブオが大きく手を振っていた。

「おーーーい!! 三人ともーーー!! お疲れさーーん!!」

 あんな笑顔ってことは……

 もしかして作戦、成功したのか?

「悪いな、モブオ」

 俺は頭を下げた。

「肉も野菜も、何一つ持って帰れなかった……」

「本当にごめん!!」

「あぁ、そのこと?」

 モブオはあっさり笑った。

「他のクラスの奴から聞いてるから大丈夫だよ」

 そして舞奈を見る。

「舞奈ちゃん、足は大丈夫?」

「ありがとう、モブオ君」

 舞奈は優しく微笑んだ。

「まだ痛いけど、聖香がおんぶしてくれたから悪化はしてないと思う」

「聖香、本当にありがとう」

「や、やめてよ〜舞奈!!」

 聖香は真っ赤になる。

「お礼なんて恥ずかしいよ!!」

「いや、俺からも言わせてくれ」

 俺は聖香の前に立った。

「本当にありがとう」

「俺たちの班に来てくれて、本当に助かった」

「布津野君まで……」

 聖香は照れ笑いを浮かべた。

「そんなに褒められると、本当に穴があったら入りたくなるよ……」

 その顔を見て、俺はふと思いついた。

「そうだ」

「お礼ってわけじゃないけどさ」

「これから俺のこと、『一矢』って呼んでくれないか?」

「えっ?」

「最近さ、みんな下の名前で呼ぶことが多いし、その方が俺も落ち着くんだ」

「もちろん嫌なら無理にとは言わないけど」

「ほ、本当にいいの?」

 聖香の目が大きくなる。

「私も……『一矢』って呼んでいいの?」

「もちろん」

 俺は笑って頷いた。

「聖香は俺の大事な友達だからな」

「あ……」

 聖香の目に涙が浮かぶ。

「今……友達って言ってくれた……」

「ありがとう……」

「本当に嬉しい」

 そして少し照れながら言った。

「ひ、一矢……」

「ちょっと待って!!」

 突然、舞奈が割って入った。

「『一矢』って呼び捨てにしていいのは、私だけだから!!」

「えっ?」

「だから聖香は『一矢君』ね!!」

「ちょっと待て舞奈!!」

「そんなルール、いつ決まったんだよ!?」

「ネガティ部に入部した時よ」

 舞奈は胸を張る。

「先輩たちにもちゃんと伝えてあるんだから」

「……マジかよ」

 知らなかったの俺だけか?

「……ありがとう」

 聖香は舞奈を見つめた。

「友達って言ってくれて、本当に嬉しかった」

「だから私は『一矢君』って呼ぶね」

「その代わり……」

 今度は俺を見る。

「一矢君は、私のこと『聖香』って呼んでくれる?」

「それくらいはいいよね? 舞奈」

「う、うん」

 舞奈は少しだけ考えてから頷く。

「それは許可する」

「お前、何様だよ……」

 でも...…

「そ、そうだよな? 呼び捨ての方が俺としても助かるよ。

 俺が和久塁に『聖香ちゃん』って呼ぶのは何か似合わないしさ……

 和久塁も『聖香ちゃん』っていうのは似合わない感じがするし。

 よーし、俺も今から和久塁の事は『聖香』って呼ぶようにするよ!!

 これからもよろしくな聖香!?」


「『似合わない』ってどういう意味よ!? 

 でもまぁ良いわ。私も『ちゃん付け』で呼ばれるのは

 何か恥ずかしいし……私こそ宜しくね一矢君?」

「よーしっ、よく分からんが、舞奈ちゃんと《《聖香ちゃん》》の話が

 まとまったみたいだね?」

「モブオ!! 今、聖香に『ちゃん付け』は似合わないって言ったところだぞ!!」

「ふん、そんな事は関係ないよ。俺が仲良くなった女子に

『ちゃん付け』するのは当たり前の事というか、これは俺のポリシーさ」

「何だよ、そのポリシー……」

「じゃあ私は」

 聖香が笑う。

「今日から多田野君のことは『ノブオ君』って呼ぶね」

「え?」

「別に『モブオ君』でもいいんだよ?」

「ううん」

 聖香は首を振る。

「『モブオ君』は舞奈だけの呼び方にしておいた方が、

 何となくいい気がするから」

「さすが聖香だ……」

 半日で舞奈の扱い方を完全に理解している。

「どっちでも嬉しいよ」

 モブオは笑った。

「それより早くカレーを食べよう!!」

「すっごく美味しく出来てるからさ!!」

「えっ!?」

 俺は目を輝かせた。

「ってことは……モブオの作戦、成功したのか!?」

 やっぱり俺が疑っていたのは間違いだったんだ。

 さすがモブオ――

「いや」

 モブオは爽やかに笑った。

「大失敗だったよ」

「ハハハハハ!!」

「…………え?」

「だ、大失敗ってどういうことだよーーーーーーっ!!??」


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