ヒョウの狩り、ネズミの狩り 【その2】
場所:動物たちの国
登場人物:ントリ(ネズミ)、ンジェガ(ヒョウ)、その他の動物。
ヒョウの狩り、ネズミの狩り 【その1】
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呪術師のラ・マランゲは小さな人型を作ると、知恵と力を授けた。そしてそれをヒョウに渡し、ヒョウはそれを野営地に持ち帰って家に隠した。
次の日、みんなは小川で象牙採りの仕事を再開した。同じように水に潜り、同じように成果はなかった。ネズミはまた途中で野営地に戻る必要があり、そして同じように肉を盗んだ。ネズミはこれをしているとき、小さな人型のものがそばに立っているのを目にした。ネズミがいつものように、ヒョウの燻製台の肉に手を伸ばすと、人型の像がその手首をとらえた。ネズミは憤慨して言う。「なんだ、こいつは! チビのアホすけ! その手を離せ! なんでオレを捕まえる?」 しかし像は黙ったまま。掴んだ手を離さない。ネズミはもう一方の手で、掴んでいる相手の手を叩いた。すると像はもう一方の手で、それをとらえた。それでネズミは腹をたて、像の足を自分の足で蹴った。すると足が像の足にとらえられた。ネズミはもう片方の足でそれを蹴った。それを像が自分のもう片方の足でとらえた。ネズミは像のパワーにしっかり捉えられた。
ネズミは自暴自棄になって言った。「はなしてくれ!」 像が口をきいた。「ダメだ!」 ネズミは自分が悪い状況に置かれていると感じた。それでも偉そうな顔を崩さなかった。自分が戻らないので、他の者たちが小川から帰ってくるだろうと踏んでいた。そろそろこの野営地に戻ってくるはず。すぐに自分はみんなの目にふれる。それを見越して、こう声をあげた。「ムウェ*のンジェガよ、早く戻って来い。おまえの肉を盗んだやつを見つけたぞ」 ヒョウは帰り道で、この声を聞いた。そして応えた。「ああ、チビの息子よ、そうなのかい? そいつを捕まえろ」 ネズミは恐れ知らずでこう返した。「早く戻ってこい。こいつはオレの手から逃げようとしてる」 ヒョウが応えた。「しっかり捕まえてろ。もうすぐ着くから」 ネズミの家族も、ヒョウの家族も、大急ぎで家に戻った。そこで見たのは、ネズミが手も足も、しっかり像に掴まれているところだった。
*ムウェとは、ムポングウェの言葉で「仲間」や「相棒」を指すと思われる。(ムウェラという言い方もあるようだが)
ヒョウが言った。「やつはどこだ?」
ネズミが啖呵をきるように言った。「この小さいのをオレはとらえてる」
ヒョウが言った。「俺は戻った、そいつを離してやれ。俺がこいつの面倒をみる」 ネズミはもがいたけれど、無駄だった。ヒョウは何度も同じことをネズミに命令した。「そいつを離せ!」 しかしネズミは像に捕えられた手足を自由にできない。ネズミは恥じて奮闘するのをやめた。するとヒョウがネズミを解放する手助けをした。像に授けられた力は、ヒョウに従属するものだった。
ヒョウはネズミを殴らなかった、親戚だから。でも叱った。「あー、ントリよ、いまわかったぞ、俺の肉を盗んだのはおまえだ!」 ヒョウはそう言うと肉のおいしい部分を取り返した。そして骨と皮をネズミに戻した。ネズミは恥ずかしい思いで野営地に帰った。それでもまだ、不公平な肉の分配に怒っていた。
ヒョウはバスケットがいっぱいになったから、野営地をたたんで町に帰ろうと家族に言った。ネズミの妻の方は、文句タラタラだった。「まったく、肉はみんなどこかにいってしまった。バスケットは空っぽだ!」 ネズミが家族をなぐさめた。「そのとおりだ。だがバスケットをいっぱいにする方法を考えよう」
次の日、ヒョウたちがバスケットをゆわえるための、葉っぱやつる草を集めに出かけていったが、ネズミは空っぽのバスケットをもって小川に行き、そこに石をいっぱい詰め、中に肉が入っているかのようにして、葉っぱやつる草で包み込んだ。
その次の日、全員が町に帰る旅に出た。ネズミがヒョウにこう言った。「あんたは年長だから、先に行ってくれ、オレはあとをついていく」 ヒョウが言った。「よっしゃ、いくぞ!」 みんなは出発した。ネズミはヒョウの家族のすぐ後ろをついて歩いた(バスケットはヒョウの家族の背中にくくられ、額のところの紐でそれを支えていたので前屈みになり、後ろで何が起きているか見ることができなかった)。ネズミは持ち手のついたフックを用意していた。途中で道が狭まり、いばらが両側に迫ったところに来ると、ネズミは目の前のバスケットにフックを引っかけて、こう言うのだった。「ちょっと待て、バスケットにいばらが食いついてるぞ。オレが外してやる」 ネズミがそれを外している間、バスケットを背負った者はじっと立っていた。ネズミがバスケットから肉を盗むチャンスだった。そして肉の代わりに自分のバスケットの石を詰めた。帰途の旅は長かった。道が狭くなるたびに、ヒョウの家族のバスケットからいばらを外してやるふりをして、おいしい肉の代わりにバスケットに石を詰めた。
ヒョウの住む町に着く前に、あたりは暗くなった。どちらの家族も疲れきっていた。特にヒョウの家族は。ヒョウのバスケットは重くなっているように感じられた。ネズミが言った。「ンジェガよ、今日は大変な日だった。あんたのバスケットをどこかに隠して、オレのバスケットも別の場所に隠して、町に帰って一眠りしよう。朝になったら妻たちにバスケットを取りに行かせればいい」 ヒョウが賛成した。「よっしゃ、そうしよう」 というわけでみんなはバスケットを置いて、町へと向かった。
次の朝、ネズミは家族をとても早い時間に出かけさせた。ヒョウの方はいつもどおりの時間になって、家族を送り込んだ。ヒョウの家族が歩いていると、荷を背負ったネズミの家族が戻ってくるところと出会った。ヒョウの家族が声をあげた。「もう帰りかい!」
ヒョウの家族が自分たちの荷を町に持ち帰って中を見ると、石と骨ばかりが入っていてびっくりした。ヒョウが怒り狂って、ネズミのところへ行き、文句を言いはじめた。「おまえはオレの肉を盗んだだろう!」「いや、これはオレの分だ。見てみろ! このバスケットは、あんたも知ってのとおり、オレのものだ。誰かが夜に肉を盗んで、そこに石を置いていったんだ。だけど、あんたがそんなに困っているなら、うちの肉を分けてやろうじゃないか」 ネズミは妻を呼んだ。「ンジェガに肉を少し分けてやれ」 ヒョウはその肉を受けとった。ネズミとその家族は自分たちの町へと帰っていった。
しかしヒョウは不満だった。ネズミが自分を罠にかけたにちがいないとわかっていた。野営地でのネズミの盗みは許したが、今回のだましについては、復讐を誓ったのだった。
おしまい
日本語訳:だいこくかずえ
