【ショートショート】300年前の恋 #八風ちゃんの50案
自分で立ち上げた企画ですが、
「八風ちゃんの50案」に参加しています。
【元ネタ】↓
【企画内容】↓
2026-300=1726
時代設定:1726年
日本:江戸時代(享保11年)
将軍: 江戸幕府第8代将軍・徳川吉宗(とくがわ よしむね)の統治期間中。
江戸時代の沖縄(琉球王国)は、1609年の薩摩藩侵攻以降、日本(薩摩)の支配下で実質的な宗主国である清と中国・日本双方に朝貢する「両属」の体制下にありました。
琉球王国は1429年の成立から約450年間続き、1879年(明治12年)の「琉球処分」によって廃止され、沖縄県となるまで支配下にありました。
完全に日本の領土へ組み込まれたのは1879年のことです。
時代劇書きたいと思ってたけど、歴史に疎いな。。
ショートにおさまるのか。。
不安だが、書いてみよう!
江戸時代。
あるところに、お風という八百屋の娘がおった。
お風は字を書くこと、絵をかくこと、空想すること、歌が好きだった。
だが、半紙に墨をすって書くなんて、武士の家でもままならないであろう。
神社の境内で小枝を拾ってきて、地面に書いていた。
今日は漢数字を書いてみよう。。
「一」
書きながら、空想する。
この世で一番かわいいおなごは誰?
頭の中でおじぃが現れて…
「お風だよ。」
ぷっ。
吹き出してしまった。
「二」
店の手伝いをすると、おとっつぁんが、お風に、二文、お駄賃をくれる。
小さい時から、畑の水やりや収穫を手伝ってきた。
ある時、遥か遠い琉球王国から、お風の父が営む八百屋へ、出稼ぎにくる若者がいた。
若者は夏の間だけ、働いて帰って行った。
あの兄ちゃん、なんて名前だったっけ。。
「三」
出稼ぎに来ていた兄ちゃんが、変わった楽器を持ってたね。
蛇のウロコのような皮が張られてて、三本の糸をはじくとポロンポロンと音が鳴る。
お風は兄ちゃんが弾いてくれた楽器の絵を地面に書いてみた。
もう1回、兄ちゃんの鳴らす音が聴きたいな。。
「四」
兄ちゃんに教えてもらったこと。
琉球王国にはミンサーという四つと五つの市松模様の織物があって、
「いつの世までも」って意味があるんだって。
なんか、素敵…✨️
「五」
お風は地面に四つと五つの市松模様を書いてみる。
「いつの世までも」かぁ~
蛇革の楽器をにこにこしながら弾く兄ちゃんの笑顔が浮かんでくる。。
「六」
琉球王国ってどこにあるんだろう。。
海を渡るって兄ちゃんは言ってたよ。
どんな国なんだろう。。
お風は兄ちゃんが教えてくれたことを、また思い出した。
沖縄には六つの教えってゆーのがあるんだって。
孝行・父母・和睦・郷里・親しむ・非為
そう言えば兄ちゃん、出稼ぎから帰ったら、「スーとアンマーにうーんと孝行したい」って言ってたな~。
スーはお父さんで、アンマーはお母さんって意味で、これをウチナーグチって言うんだったかな。。
記憶力のよい、お風である。
「七」
と書いた後、ふと空を見上げると七色の虹が出ていた。
変だね。。雨は降っていないのに何故…
「八」
お風は八の字を書いた時、心が揺れた。
あっ!そうだ!
あの兄ちゃんの名前は
八吉さんだったわ!
八吉さん、どうしてるのかな…
会いたいな。。八吉さん。。
「九」
琉球王国は日本の九州ってところより、もっともっと遠くにあるみたい。
うちのおっかさんは九州から海を渡ってお嫁にきたんだよ。
九州から琉球王国は見えるのかな?
お風は出稼ぎに来ていた優しい八吉の笑顔と、蛇革の楽器の音を思い出そうと目を閉じた。
「十」
瞼の中に、神社の境内の地面に小枝で「十」を書くお風が映る。
お風の後ろから、誰かが近寄ってくる。
「お風ちゃん。」
お風が振り返ると、そこには蛇革の楽器を持った八吉がニッコリ笑っている。
あ!八吉さん…
八吉に駆け寄るお風。
八吉さん、その音また聴きたいな。
八吉は沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』を弾き出した。
これは沖縄の子供たちが、てぃんさぐ(ホウセンカ)の花の汁で爪を赤く染めた風習を例えて、「親の教えを心に深く染めなさい」という、年長者の教えに従うことの大切さを歌ったものだと、前に八吉が教えてくれたことを、聴きながら思い出した。
『てぃんさぐぅぬぅはぁーなぁーや♪』
300年前の純情な恋はお風の瞼の中で、美しい音色と歌声を奏でるのであった。
~fin~
《感想》
なんとかまとまった。難しかったー
でも楽しかった♪
てぃんさぐぬ花の6番の標準語訳が好きです。
《参考資料》
「二」
江戸時代(特に後期)の「銭(ぜに)」の価値は、1文=約20円〜40円程度(米価高騰時など時期による)とされており、2銭(=2文)は現代の価値で約40円〜80円程度です。
「四」「五」
「いつの世(よ)までも」は、沖縄の伝統的な織物「ミンサー織り」に見られる、五つと四つの市松模様の絣(かすり)に込められた「いつの世までも、末永く一緒にいたい」という永遠の愛や誓いを表す言葉です。言葉で愛を伝えるのが控えめだった時代に、女性が愛しい男性に贈った帯の柄に由来します。
「六」
沖縄県名護市などの小学校では、江戸時代に琉球に伝わった儒教の教え「六諭(りくゆ)」を教育に取り入れています。これは6つの教え(孝行、父母、和睦、郷里、親しむ、非為)に基づき、豊かな人間形成を目指すもので、沖縄の道徳教育の基盤の一つとなっています。
沖縄の方言(うちなーぐち)で、お父さんは「スー」、お母さんは「アンマー」と呼びます。特に「アンマー」は、お母さんに対する親愛や感謝を込めた言葉として広く知られています。八重山地域ではお父さんを「びげー」、お母さんを「ぶねー」と呼ぶ場合もあります。
「十」
「てぃんさぐぬ花」は、沖縄県で親しまれる代表的な教訓民謡(島唄)です。「てぃんさぐ」はホウセンカ(鳳仙花)のことで、昔の沖縄で子供たちがホウセンカの花の汁で爪を赤く染めた風習を例えに、「親の教えを心に深く染めなさい」という、親や年長者の教えに従うことの重要性を説いています。
