街すべてが、「踊るハコ」。Mi-Mi-Biのさっちゃん、チャンスを掴みに韓国へ行くらしい。
どこで踊ってんねん「DANCE BOX」
新長田駅から歩いて10分。お茶屋さん、肉屋さん、ファミリーマートのすぐそば。商店街のアーケードの中に、120席の小さな小さな劇場がある。
その名は「DANCE BOX(ダンスボックス)」。
正直「ここに劇場あるよ」と言われないと、100%素通りする。
ここが何よりヤバいのは、劇場の外、つまり街のあちこちで踊り出してしまうことだ。
商店街で、病院で、公園で、学校で、駅前で、そしてあろうことか車の上で。
いや、どこで踊ってんねん。と、関西人じゃなくてもツッコミたくなる。
ダンスは舞台の上でするもの、というガチガチのアタリマエを軽々と飛び越えて、ダンスボックスは街のあらゆる場所を「踊るハコ」に変えてしまう。
「ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ」から生まれた、7人のプロ集団
2019年、このダンスボックスが立ち上げたのが「こんにちは、共生社会(ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ)」というプロジェクト。
「共生社会」と書いて、あえて「ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ」と読ませる。混沌もノイズも、ぜんぶアートのエネルギーに変えてしまおうというチャレンジだ。
障がいの有無、経済環境や家庭環境、国籍、性別など、一人一人の差異を優劣という物差しではなく独自性ととらえ、舞台芸術を軸に、誰もが豊かに暮らし、芸術文化を楽しみ、表現に向かい合うことのできる社会をめざして、様々な芸術文化創造活動を展開しています。(HPより抜粋)
この「ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ」から2022年、ダンスカンパニーが生まれた。
ダンスカンパニー「Mi-Mi-Bi(ミミビ)」
由来は「未だ見たことのない美しさ」の頭文字から。それぞれに異なる身体性や感覚、世界の捉え方を互いに模索し、独自の表現へ昇華する「身体を巡る旅」をテーマに掲げている。
そんなMi-Mi-Biは、障害のある人もない人もみーんな混ざって、実際の稽古を体験できる「オープン稽古」なんてのも定期的に開催している。
ここには「先生」とか「教える人」はいない。いるのは、「どうやったらこの感覚を目の前の人とシェアできるかな?」と一緒に頭をひねる仲間たち。いろんな身体がごちゃっと集まって、新しい稽古のカタチをぐいぐい切り拓いている。
#稽古場レポート
— こんにちは、共生社会 (@kyosei_db) April 18, 2026
先日は、障害のある人もない人もともに活動するダンスカンパニーMi-Mi-Biの「オープン稽古」 でした。モデレーターは森田かずよと福角幸子。Instagramより稽古場からのレポートを公開しています📝https://t.co/kdJWcvOxEV
次回は5/19(火)13-15時開催です。
ご参加お待ちしています! pic.twitter.com/hncEnsmvFN
MiMiBiのメンバーは、ろう者の手話パフォーマー、視覚障がいをもつ表現者、骨形成不全症で車椅子パフォーマー、義足のダンサー、踊る手話通訳士、振付家・ダンサー。そして、この最強のメンバーの中に、「はっぴーの家」で暮らす「さっちゃん」こと福角幸子さんがいる。
言うことと動く方向が、ぜんぜん違う
そんなMi-Mi-Biのメンバーであるさっちゃんには、脳性マヒによる手足と言語の障害がある。
「ひだりー!」
「うえー!」
舞台の上で、さっちゃんは自分が動きたい方向を叫ぶ。
でも身体は、まったく違う方向へ動き出す。
脳性マヒによる不随意運動。「右」と言っているのに「左」へ行くし、「上」と言っているのに「下」に行く。そんな自分ではコントロールできないその身体を、さっちゃんは「唯一無二のパフォーマンス」に変えてしまう。
そこらに転がってるチャンスを モノにするのはみんな一緒ですけど、 私もそのチャンスを 掴みたいっていうのがあって
ドキュメンタリーの中で、さっちゃんがサラッと言い放つこのセリフ。いつもニコニコしているけれど、チャンスを掴む貪欲さは、そこらの若手よりギラギラしている。
障害はマイナスじゃない。「独自性」だ。
ダンスボックスの創設者・大谷さんが語っている言葉がある。
障害っていうのは、『独自性だ』って当時から言ってたんですよね。
障害者って言うけど、みんな障害者だよ。
障害者という制度の中で、障害者って言われているけれども、人間ってみんな障害があるんだよ。
それを「独自性」、「個性」だと見直していく。
マイナスじゃなくて、それはプラスだっていう。
それがずっと今につながってきている考え方ですね。
「みんな何かしらバグを抱えて生きてるでしょ?」と言われたら、確かにぐうの音も出ない。
それはただのマイナスじゃなくて、その人だけの「独自性」であり「個性」なんだよと大谷さんは捉えてきた。
だからこそダンスボックスは街のあらゆる場所で踊り続け、「MiMiBi」は誕生している。
MiMiBiよ、世界に。海を越える新たなチャレンジ
そして2026年6月末、さっちゃんとMi-Mi-Bi、そしてダンスボックスはまた新しい挑戦が決まったらしい。
なんと、海を渡って「韓国での公演に出演」することになった。
!!韓国公演に出演します!!⁰🇰🇷Cane&Movement/TRUST Dance Theatre×Mi-Mi-Bi🇯🇵
— こんにちは、共生社会 (@kyosei_db) June 25, 2026
コラボレーション公演 in韓国
昨年神戸にてコラボレーションした作品を7/4-5にModu Art Center(ソウル)で上演します。MiMiBiから森田かずよと福角幸子、ろう女優の中村ひとみが出演します。https://t.co/NRB5dZPzQE pic.twitter.com/Hlkd77Ecjl
飛行機に乗って、言葉も違う、勝手のわからない土地へ向かう。「大冒険」であることは間違いないし、その道中もなかなかに大変なことに違いない。たぶん。絶対大変。
だけど、そんなチャレンジ、Happyが応援しないわけにいかない。

今回、Happyからは介護士でありながら舞台役者でもあるキノが同行することになった。Happyのメンバーとして国内をドタバタ移動したことはあるけれど、海外渡航は初めての経験。キノよろしく。
「人との出会いの中で、『幸子WORLD』を築きたい」
さっちゃんの公式プロフィールにあるこの言葉を、海を越えた異国の地で、大爆発してくるに違いない。
どこでも踊るダンスボックスは、またひとつ、国境という名の「ハコ」を飛び越えて、韓国で踊りまくる。
\いざ、韓国へ✈️/#ダンスカンパニー #MiMiBi https://t.co/4c8rDEK3Rd pic.twitter.com/pObOCbgxzg
— こんにちは、共生社会 (@kyosei_db) June 29, 2026
……と、めちゃくちゃ綺麗にまとめてみたけれど、Happyのメンバーが今から一番楽しみにしているのは、二人が買ってくる(であろう)大量の韓国土産である。
さっちゃん、キノ、そしてMiMiBi・ダンスボックスのメンバー。
気をつけていってらっしゃい!
おいしい韓国海苔とお土産バナシ、待ってまーす。
おまけ①
さっちゃんが韓国に行くと聞いてゆるーい壮行会をしました。
1本目は買い出しする看護師さん、休みの日に野菜を切りに来た介護士さん、スタッフでもないのに料理を作ってくれる近所のオカマバーのマスターの話。2本目はさっちゃんと一緒に観劇しながらご飯食べてまーす。
おまけ②
残念ながら韓国に行けない少数派のみなさんへ。旗揚げ公演までの制作過程を追ったドキュメンタリー映画『旅する身体〜ダンスカンパニーMi-Mi-Bi〜』は、各種配信サイトで視聴できまーす。
NPO法人DANCE BOX のHPはこちら
こんにちは、共生社会 特設サイトはこちら
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