【劇場アニメ】 ヴァージン・パンク Clockwork Girl 【ガンアクション】
2025年公開の劇場アニメーション作品『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』。
「美少女×ガンアクション」というクールジャパンの潮流から生まれた刺激的コンテンツを、"周辺"作品との比較も交えつつ今回は噛み締めたいと思う。
公開:2025年
監督:梅津泰臣
脚本:高橋悠也
制作:シャフト
梅津泰臣
監督は日本アニメ界が誇るベテランクリエイター・梅津泰臣。
本作では企画・原作・キャラクターデザインも担当。
TVアニメを皮切りに劇場作品、OVA、ゲーム、さらには18禁OVAも手掛ける多彩なキャリアで、特に美麗な人物デザインにはコアなファンが多く、筆者もそのひとりだ。
参加作品の中で「梅津といえば」となると・・・これは意見が分かれるところだろうが、おそらく伝説のOVAシリーズ『メガゾーン23』の第2章『メガゾーン23 PARTⅡ 秘密く・だ・さ・い』も多くの票を獲得するだろう。

過去の投稿(↓)でも触れたが、三部作のそれぞれで絵柄が大きく異なることで知られ、とりわけ人物の造形は同一キャラクターでもまるで別人のよう。
その中でも梅津がキャラクターデザインを担った『PART Ⅱ』は洗練されたアメリカンテイストの画面(えづら)が光り、人気も高い印象だ。
初期と近年でキャラクターの印象、特に目元が大きく変化したことは梅津ファンなら誰もが認識しているだろうが、そんな"変化後"の代表作となると・・・ここは『KITE LIBERATOR』を挙げたい。

というのも、この『KITE LIBERATOR』とその前日譚である『A KITE』、及び『MEZZO FORTE』とその続編『MEZZO』、この4作はすべて同系統のガンアクションとなっており、且つ梅津が監督を務めた代表作だ。
※『A KITE』と『MEZZO FORTE』はアダルト作品。
「美少女×ガンアクション」というフォーマットは本頁『ヴァージン・パンク』とも共通する要素であり、キャラクターデザインも20年以上のスパンがあるため多少の変遷は感じるものの、現在の梅津スタイルであることは明らか。
その点で一般作品である『MEZZO』と『KITE LIBERATOR』、特にOVAでクオリティのより高い後者は2000以降の氏の代表作であると感じている。
あと個人的に忘れられないものが初期作品の中にひとつ。
オムニバスOVA『ロボットカーニバル』に収録されている『プレゼンス』だ。

大友克洋、森本晃司、なかむらたかし、北爪宏幸など今からすると錚々たる顔ぶれが参加した1987年の作品だが、梅津が監督したこの『プレゼンス』は何とも繊細で美麗、それでいて哀愁に満ちた短編となっている。
梅津の女性観、コンプレックスを凝縮した内容となっており、独特の澄んだ世界観は筆者にとって至福の時間だった。
ハイクオリティなアクション
さて本作『ヴァージン・パンク』だが、まずこの30分強の上映時間で物語が完結しているわけではないことを明記しておきたい。
むしろ噺はまだ始まったばかりで、主人公がどうやって復讐を成し遂げ、自分自身を取り戻すのか・・・今後の展開に注目だ。
何章立てになるのかは分からないが、仮にトータルで2〜3時間ほどのシリーズになるのだとしたら、1話あたり約60分×全3話で完結した冲方丁原作の劇場アニメーション『マルドゥック・スクランブル』のような構成を期待したいところ。

ただ"第1章"である『Clockwork Girl』を観終えた時点で、ガンアクションの度合いは『マルドゥック』よりもこの『ヴァージン・パンク』の方が上だと感じた。

30分強という短い尺の中であるにも関わらず、序盤の孤児院、中盤の屋上、そして終盤のモノレールと、三度激しいバイオレンスガンアクションが繰り広げられていたのは満足できる点だった。

身体破壊・血液飛散といった描写も多分に含まれていることからR指定を受けてはいるが、まぁ端から大人向けのアクション作品であることは明らか。
情け容赦のないドンパチの連続は退屈な日常から逃避するのに打って付けだろう。
陽光降り注ぐ美しい街並み
同じく筆者が感心したのが物語の舞台となる海辺の街の風景。
温暖な気候で太陽の光が美しく、観ているこちらにまで潮風が漂ってくるよう。

「光」の演出は映像面における作品のクオリティを測る重要な物差しとなり得るが、本作はその点において流石は劇場作品・・・そう唸らせてくれるだけのものがある。

街並みも美しく、ヨーロッパ式の統一感を維持しつつも、地区によっては雑多で混沌とした世界観。
犯罪者と、それを狙うバウンティハンター(賞金稼ぎ)が織りなす活劇という物語の骨子がよく映える舞台設定と言えよう。

クセの強い登場人物たち
まだ第1章時点にも関わらず、すでに登場するキャラクター達の個性が随所に光っている本作。
クールに標的を始末してゆく主人公・神氷羽舞もさることながら、むしろ曲者揃いなのが他のサブキャラクター。
中でも外道ぶりが際立っているのが「社長」であるMr.エレガンス。

優雅な名前とは裏腹にその性根は腐りきっており、
ここで詳細を述べるのも憚られるほど。
特に主人公への常軌を逸した行いは吐き気を催すレベルで、しかも無類の少女趣味。
アニメーション作品において久々の"THE 変態"を目撃した瞬間だった。
理不尽な境遇を逞しく生きる
このような連中に翻弄されながらも己の仕事をこなす決意を固めた様子の主人公。
主目的はMr.エレガンスへの復讐だが、同時にこの第1章では謎の存在もチラッと確認できたため、第2章以降で物語がどう展開してゆくのか、現時点では予測がつかない。

この手のシリーズ構成で制作される劇場作品は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』然り、かなり間隔が空くのが常で、忘れた頃に報が舞い込んでくるものだが、諸事情により中途打ち切りとなった例も過去には多々。
気長に待つとしよう。
