「週休2日にしたら、なぜか売上が増えた」。疲弊した私を救った、カフェ経営の不思議なパラドックス。
オープンから約1年。
私のカフェは、メディア取材のおかげで知名度も上がり、傍目には順調に見えていました。
しかし、私の内情はボロボロでした。
この記事の続きです。
前回お話しした通り、休みは週1日だけ。営業時間も長く、プライベートな時間はゼロ。
「夢が叶った」という喜びのアドレナリンも切れかけ、残っていたのは「慢性的な疲労」と「得体の知れない不安」だけでした。
そして、私が疲弊するのと比例して、売上もイマイチ伸び悩んでいたのです。
赤字ではないけれど、これだけ働いている割には…という停滞感。
そこで私は、迷いに迷った末、「ある決断」をします。
「売上が欲しいなら、店を閉めろ」
私が考えたのは、「定休日を週1日から週2日に増やす(完全週休二日制)」ことでした。
今では個人のカフェだとかなり多いですが、当時の飲食店で週休2日というのはかなり珍しいこと。
普通に考えれば、
「営業日を減らす = 売上が減る」
です。
「これ以上売上が下がったらどうしよう」
「お客様が離れてしまうんじゃないか」
「借金も返さなきゃいけないのに……」
怖くてたまりませんでした。
電卓を叩いてはため息をつく毎日。
でも、もう限界でした。このままでは、店が潰れる前に私が潰れる。
もし、少し売上が下がったしても、いろんな工夫をすれば何とかやっていけるんじゃないか?
頼れるスタッフにも意見を聞き、賛成してくれたので私はついに決断を下しました。
「よし、週休2日にしてみよう!自分を守るために」
蓋を開けてみたら、起きた「事件」
こうして、断腸の思いでスタートした
「完全週休二日制」。
ところが……。
結果を見て、私は大きな衝撃を受けました。
「あれ? 売上が……上がってる!?」
営業日数は減ったのに、月間の総売上が落ちるどころか、以前よりアップし、しかも一時的なものじゃなく安定したのです。
他に特別な宣伝をしたわけでも、メニューを変えたわけでもありません。
ただ、「休みを増やした」だけ。
これが、私のカフェの歴史に残る「営業日を減らしたのに売上が上がった事件」です。
「店主の機嫌」は、最強のインテリア
なぜ、こんな非論理的なことが起きたのか?
初めは狐につままれた気分でしたが、のちにはっきりと理由がわかりました。
それは、「店主の出している空気(波動)が、店の居心地そのものだから」です。
週1休みの頃の私は、顔では笑っていても、心は常にピリピリしていました。
「早く片付けて帰りたい」
「疲れた」
そんな負のオーラを隠しきれず、お客様にも伝わっていたのだと思います(実際、常連さんに「疲れてる?」と心配されたこともありました)。
それが、週2日しっかり休んでリフレッシュすることで、「心からの笑顔」で接客できるようになりました。
「いらっしゃいませ!」の声のトーン。
料理を作る時の丁寧さ。
ちょっとした会話の余裕。
それらすべてが劇的に良くなったことで、お客様は「あ、この店なんか居心地いいな」と感じ、リピートしてくれるようになったんだと思います。
ビジネス的な「勝因」も分析してみる
オーラとか波動とか、若干スピ的な理由だけではありません。ビジネス的にも理にかなっていました。
1. 希少性(レア感)が出た
「いつでも開いている店」より、「限られた日しか開いていない店」の方が、お客様がその日に集中して来てくれるようになるんです。
2. 企画(準備)の時間ができた
休みが増えたことで、ただ体を休めるだけでなく、「次のイベントは何をしよう?」とワクワクしながら考える余裕が生まれました。これが後の「ヒット企画連発」につながります。
「休むこと」も「仕事」のうち
かつての私のように、「休むのが怖い」と思っている経営者の方は多いと思います。
でも、断言します。
個人店において、「店主が良い気分でいること」は、想像以上に大切なことなんです。
(※身体の健康もね)
あなたがボロボロの状態で淹れたコーヒーと、あなたが人生を楽しんでいる状態で淹れたコーヒー。
お客様がまた飲みたくなるのは、間違いなく後者です。
もし疲れすぎていたら、勇気を出して休んで下さい。
休みを増やしたり、営業時間を減らしたりすることで、逆に売上が上がる可能性もあるのです。
こうして時間と心の余裕を取り戻した私は、ここからさらに「効率無視・面白さ優先」の独自路線へと突き進んでいきます。
(つづく)
