独立前夜#01 愚痴が、縁になった夜

私には、独立したいという気持ちが、ずっとあった。
でも同時に、「自分にできることなんてない」という気持ちも、同じくらいずっとあった。
キャバクラを辞めて、普通に働いて、日々をこなしながら、頭の片隅にはいつも「このままでいいのかな」という感覚があった。でもそれを言葉にして誰かに話しても、何かが変わるわけじゃない。結局いつも、ぼんやりとした焦りだけを抱えたまま、時間が過ぎていった。
そんなある日、Mさんのスナックに飲みに行った。
Mさんとの出会いは、私がキャバクラで働いていた頃に遡る。同じ街の他のお店の店長で、お客さんとして飲みに来てくれていた。10歳くらい年上で、当時から面倒見がよくて、キャバを辞めた後もなんだかんだお世話になり続けている人だ。
その夜も、気づいたらいつもの感じで愚痴っていた。
「なんかもっといい仕事したくて。転職も考えてるんだよねー」
Mさんは「そっかー」と聞いてくれて、その日はそれで終わった。特別なことは何もなかった。
しばらく経ったある日、Mさんから連絡が来た。
新しい事業の計画をしていて、私のことを思い出したと言う。話を聞いてみると、私が過去にやっていた仕事と関係する内容だった。たまたま、本当にたまたま、私の経験が必要とされる話が動いていたらしかった。
「やってみない?」
正直、最初は信じられなかった。自分には特別なスキルも、資格も、経歴もない。「できることがない」と思い続けてきた自分が、事業を任されるなんて。
でも少し考えて、受けることにした。
理由はシンプルで、ずっと「いつかやりたい」と思いながら何もしてこなかった自分を、これ以上続けたくなかったから。それだけだった。
この事業、将来的には私が引き継いで独立する可能性もある。つまりこれは、ただの仕事じゃなくて、私にとっての「独立の練習」になるかもしれない。
愚痴を聞いてもらった夜から、まさかこんな展開になるとは思っていなかった。
人生って、本当に何がどこで繋がるかわからない。
この連載では、事業の立ち上げから日々のリアルを、ありのままに書いていこうと思う。うまくいく話だけじゃなく、迷ったこと、失敗したこと、それも全部。独立したいけど一歩が踏み出せない、そんな人に少しでも届いたらうれしいです!
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