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【第56回】売上ゼロ事業者に対する実地検査の「現場」で起きていたこと

第55回では、
「売上ゼロ事業者に対して実地調査を行う運用そのものの問題」を指摘しました。

今回はその続編として、
実際に行われた売上ゼロ事業者への実地検査に同席した際のやり取りをもとに、
現場で何が起きていたのかを記録として残しておきたいと思います。

これは推測でも噂でもありません。
その場で交わされた発言と態度、そして制度理解の水準についての話です。
実際のやりとりは以下のリンクです。音声が出ますのでボリュームに気を付けてください。

https://x.com/i/status/1980929902976311612


実地検査当日の体制と雰囲気

当日、私が同席した事業者への実地検査は、以下の体制で行われました。

  • 中小企業基盤整備機構:2名

  • 事務局関係者:2名

形式上は「ヒアリング」「実地確認」とされていますが、
開始直後から強く感じたのは、
事実確認というより“上から見下ろす構図”が最初から出来上がっていたという点です。

少なくとも、
「事業の状況を丁寧に聞き取ろう」という姿勢は感じられませんでした。


「実地検査は法律に基づかない」という発言

今回、最も看過できないのはここです。

検査の位置づけについて質問したところ、
担当者から次の趣旨の発言が明確にありました。

実地検査は法律に基づくものではない
自由に設定できるものだ

これは言い間違いでも、ニュアンスの問題でもありません。
その場で明言されました。

つまり彼らの認識では、

  • 法律上の根拠は特にない

  • しかし「検査」と称して

  • 各種資料の閲覧や説明要求を行う

という運用が、当然のように行われているということになります。


何が問題なのか(感情論ではなく制度論として)

ここで重要なのは、
「態度が悪かった」「感じが悪かった」という話ではありません。

問題は、
法的根拠が曖昧なまま、調査・閲覧・説明要求が行われていることです。

補助金制度において、

  • どの段階で

  • どの法律に基づき

  • どこまでの調査権限があるのか

これは極めて重要な論点です。

それを曖昧にしたまま、

  • 「検査だから」

  • 「調査だから」

という言葉だけで事業者の協力を当然視するのは、
行政運用として非常に危うい


売上ゼロ事業者は「全件調査」されるのか

さらに問題なのは、
今回のやり取りから見えてきた今後の運用方針です。

少なくとも現場の認識としては、

今後、売上ゼロの会社には調査が入る

という前提で動いているように見受けられました。

これは事実上、

  • 売上が立っていない

  • =疑わしい

  • =調査対象

という自動的なレッテル貼りです。

しかし、
売上ゼロであること自体は、
補助事業の初期段階ではむしろ自然な状態です。

そこを理由に一律調査を行うのであれば、
それは不正防止ではなく、萎縮を生む運用になります。


事業者側はどう向き合うべきか

ここで強調しておきたいのは、
過度に萎縮する必要はないという点です。

  • 法的根拠は何か

  • どの規定に基づく調査なのか

  • 任意協力なのか、義務なのか

これらを冷静に確認することは、
決して「非協力」ではありません。

むしろ、
制度を健全に保つために必要な態度です。


最後に

今回の実地検査で私が感じたのは、
制度が少しずつ“疑う側の論理”に傾いている危うさです。

法律は二の次、
現場判断が最優先。

それが当たり前になった瞬間、
補助金制度は「支援」ではなく
統制と選別の道具に変わります。

この実態は、
売上ゼロ事業者だけの問題ではありません。

いずれ、
誰の身にも起こり得る話です。

だからこそ、
記録として、ここに残しておきます。

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