No.8:成功している古民家宿の共通点――「うまくいく宿」は、派手なことをしていない※シリーズの締め
これはシリーズの締めとして、
これまでの「削る・諦める・立ち止まる」をすべて受け止めた上で、
静かに背中を押す回にします。
これまでの記事で、
私は何度も「厳しい話」をしてきました。
全部は使えない
2階は難しい
消防は甘く見ない
諦めた方がいい古民家もある
ここまで読んで、
こう思った人もいるかもしれません。
「じゃあ、成功している古民家宿って、
一体どんな宿なんだろう?」
今日は、その答えを書きます。
1.成功している古民家宿は「意外と地味」
まず、結論から。
成功している古民家宿ほど、
見た目も、やり方も、派手ではありません。
客室は少ない
設備は最小限
サービスは控えめ
でも、
なぜか満足度が高い。
それには、はっきりした理由があります。
2.共通点①
▶ 規模が小さい(欲張っていない)
成功している宿は、
1日1組
2〜3室まで
宿泊人数も少なめ
が、圧倒的に多い。
なぜか?
管理が行き届く
消防・法規が整理しやすい
トラブルが少ない
👉小ささは、弱点ではなく強み。
3.共通点②
▶ 1階完結型が基本
多くの成功例で共通するのが、
客が使う空間は、ほぼ1階だけ
寝る
食べる
集まる
これが、すべて1階で完結しています。
2階は、
非公開
倉庫
管理スペース
として扱われることが多い。
👉2階を「捨てた」ことで、
宿として成立している。
4.共通点③
▶ 消防・行政と「最初から」話している
成功している人ほど、
工事前
設計前
夢を膨らませる前
に、役所へ行っています。
そして、こう聞く。
「この建物で、
無理のない形はどこですか?」
法律をねじ伏せない。
法律と折り合いをつける。
👉これができる人は、最後まで行ける。
5.共通点④
▶ 建物より「運営」を大切にしている
成功している宿は、
図面の話より
設備の話より
運営の話をよくしています。
掃除は誰がするか
雨の日はどうするか
クレームが来たらどうするか
👉建物は、運営の器でしかない。
6.共通点⑤
▶ 古民家を「完璧にしよう」としていない
これは、とても大事な共通点です。
成功している宿は、
傾きがある
寒い
音がする
それを、欠点として隠しません。
むしろ、
「それが古民家です」
と、きちんと説明している。
👉期待値のコントロールが、
満足度をつくる。
7.共通点⑥
▶ 「続けられる形」を最優先している
成功している宿は、
最初から儲けようとしない
最初から拡張を考えない
その代わり、
「10年続けられるか?」
を、基準にしています。
体力
気力
お金
どれか一つでも無理があると、
古民家宿は続きません。
8.共通点⑦
▶ 「諦めた判断」を誇りにしている
話を聞くと、
成功している人ほど、こう言います。
「本当は2階も使いたかった」
「部屋をもっと増やしたかった」
「設備も入れたかった」
でも、その後に続く言葉は決まっています。
「でも、やらなくて正解だった」
👉成功は、やらなかった判断の積み重ね。
9.これまでの記事を、一本の言葉にすると
このシリーズで伝えてきたことを、
一文にまとめるなら、こうです。
古民家宿は、
建物を最大限使う事業ではない。
人と建物が、無理をしない形を探す事業である。
10.最後に(このシリーズの締めとして)
古民家宿は、
誰にでも向いているわけではありません。
でも、
無理をしない
欲張らない
立ち止まれる
この3つができる人には、
とても豊かな時間を返してくれる。
最後に、
成功している古民家宿は、
特別なことをしているのではなく、
「やらない勇気」を持っている宿なのだと思います。
この考え方が全てとはいいません。
慣れてくると、別の展開もあると思います。
最終的に答えをだすのは自分です。
これで、
「古民家 × 宿」シリーズは一度、完結です。
HIROHOUSE 一級建築士事務所 代表:原口良裕
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