No.2:古民家を「民泊」にしたい人が、最初に知っておくべき現実――できる・できないは、工事の前に決まっている
これは 「民泊をやりたい一般の方が“地雷を踏まない”ための記事」として書きます。
「使っていない実家を、民泊にできたら…」
「古民家の雰囲気を活かして、泊まれる場所にしたい」
そう考える人は、年々増えています。
実際、古民家 × 民泊は、とても相性がいい。
けれど同時に、
一番トラブルが多いのも、この組み合わせです。
なぜなら――
民泊は「リフォームの話」ではなく、
法律の話から始まるから。
1.まず知ってほしい。「民泊」は3種類ある
多くの人が、ここを知らずに話を進めてしまいます。
民泊には、主に次の3つがあります。
① 住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法)
年間 180日以内
比較的ハードルが低い
届出制
👉 「とりあえず民泊を始めたい人」向け
② 簡易宿所(旅館業法)
日数制限なし
営業として本格運用
許可制(保健所)
👉 「きちんと事業としてやりたい人」向け
③ 旅館・ホテル
古民家では現実的でないことが多い
重要なのはここ👇
同じ「泊まれる場所」でも、
適用される法律も、求められる基準も、
まったく違う。
2.「住宅だった建物」を民泊にすると何が変わる?
これが、一番の勘違いポイントです。
「人が泊まるだけだから、
住宅とそんなに変わらないですよね?」
――実は、まったく違います。
民泊になると、建物はこう見られる
不特定多数が使う
建物を知らない人が泊まる
夜間・非常時の避難が想定される
つまり、
「自己責任の住まい」
から
「他人を預かる建物」
に変わる、ということ。
3.延べ面積200㎡という“分かれ道”
よく聞かれる質問です。
「小さい古民家なら、
建築確認はいらないですよね?」
答えは――
場合によります。
目安は「延べ面積200㎡」
200㎡以下
→ 原則、建築確認不要(民泊新法)200㎡超
→ 建築確認が必要になる可能性大
ただし、
確認が不要=何でもOKではありません。
4.2階建て古民家が、一気に難しくなる理由
民泊で一番問題になるのが、
2階建ての古民家です。
問題① 階段
幅が狭い
勾配が急
手すりがない
住宅では見逃されてきた部分が、
民泊では一気に表に出ます。
問題② 避難経路
2階に泊まれる?
夜中に火災が起きたら?
外にどう逃げる?
👉「昔から使っているから大丈夫」は
法律上の根拠になりません。
問題③ 2階は“使わない”は通用しない?
よくある言葉です。
「2階は物置にします」
しかし実務では、
施錠できるか
実際に使われないか
誘導表示はどうするか
など、厳しく見られます。
5.民泊で必ず絡む「建築以外の法律」
ここも見落とされがちです。
民泊は、建築基準法だけでは終わりません。
保健所(旅館業法・民泊新法)
消防(消防法)
自治体条例
建物がOKでも、
消防がNG
条例で制限
ということは、普通にあります。
👉「建築OK=営業OK」ではない
6.古民家民泊で、よくある失敗例
❌ 失敗①
先にリフォームしてから相談
→ 「その工事、前提が違います」
❌ 失敗②
知人の成功例をそのまま真似する
→ 地域・規模・用途が違う
❌ 失敗③
「グレーでいける」と言われて進める
→ いずれ止まる
7.じゃあ、どう進めるのが正解?
順番は、これだけです。
どの民泊制度を使うか決める
建物の規模・階数を整理
事前に役所へ相談
その上で、工事内容を決める
この順番を守るだけで、
失敗の多くは防げます。
8.最後に伝えたいこと
古民家民泊は、
夢がある
地域にとっても価値がある
うまくいけば長く続く
でも同時に、
「勢い」だけで進めると、
一番つまずきやすい分野
でもあります。
まとめ
古民家を民泊にするということは、
建物を貸すことではなく、
「安心して泊まれる時間」を提供することなのだと思います。
HIROHOUSE 一級建築士事務所 代表:原口 良裕
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