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FabCafeが都市プロジェクトに関わる理由 | 食と曖昧さから始まる都市実験

都市プロジェクトは、多くの場合「空間」や「施設」から始まる。
新しい建物が建ち、広場が整備され、商業施設が入る。
しかし実際には、それだけで都市の魅力が生まれることは少ない。

都市の魅力とは人が集まり、関係が生まれ、文化が重なり、
その場所での体験が蓄積していく中で、ゆっくりと立ち上がってくるものだからだ。だから私は、都市に関わるプロジェクトの中で
FabCafeという場所を使った小さな実験を続けている。

FabCafeはカフェであり、ラボであり、コミュニティでもある。
そして同時に、都市の未来を試すための実験装置でもある。


食という入口

食卓を囲む会話が、都市の未来を紡ぎ出す。

都市プロジェクトで最も難しいのは人を自然に巻き込むことだ。
都市計画やまちづくりという言葉は多くの人にとって少し遠い。

しかし、食は違う。

食べることは、誰もが持っている欲望であり誰もが体験する日常だ。
だからFabCafeでは都市の議論や創造性の入り口として、あえて食を通過させる

料理を作る。一緒に食べる。テーブルを囲んで話す。

そうすると、都市の未来や社会のテーマも、自然と会話の中に入り込んでくる。食は社会と創造性を接続するもっとも原始的なメディアなのだ。


曖昧さという余白

境界が曖昧な場所で、新しい創造性が芽生える。

FabCafeには、もう一つ特徴がある。それは、曖昧さを許していること
都市プロジェクトの多くは目的や成果、役割を明確に定義しようとする。
しかし創造性は、そうした明確さの外側から生まれることも多い。

これはイベントなのか。研究なのか。食事なのか。会議なのか。
FabCafeでは、そうした境界が少し曖昧なまま存在していることが多い。
そしてその曖昧さが人と人の関係を柔らかくし、新しい発想やプロジェクトの種を生み出す。

都市の未来は、すべてが整理された場所からではなく、
こうした曖昧な余白から立ち上がることもある。


曖昧な場所という都市の装置

都市には、はっきりと定義できない場所がある。
カフェ、路地、屋台、サロン、ギャラリー、小さなイベント
それらは商業施設でもなく、公共空間でもなく、完全な私的空間でもない。

こうした場所は都市の中で少し曖昧な位置に存在している。
しかし実際には都市の文化や創造性はこうした曖昧な場所から生まれることが多い。
人が偶然出会い、会話が始まり、関係が生まれ、新しいプロジェクトの種が生まれる。

都市の創造性は制度や計画の中だけで生まれるものではない。
むしろ制度と制度のあいだ、空間と空間のあいだにある曖昧な場所から生まれることが多い。
FabCafeもまた、そうした都市の曖昧な場所の一つである。

カフェであり、ラボであり、コミュニティでもある。
その曖昧さこそが都市の新しい体験や文化を生み出す余白になっている。


都市の創造性は、曖昧な場所から生まれる。


見えない価値を扱う

都市の価値の多くは、目に見えない。
雰囲気、関係性、文化、時間の蓄積。
こうしたものは、図面にも、数字にも、直接は現れない。
しかし都市の魅力は、むしろこうした要素によって形づくられる。

FabCafeでは、クリエイター、研究者、企業、行政、そこで暮らす人。
さまざまな人が集まり、展示、食のイベント、トーク、探求プロジェクトといった活動を通じて、見えない価値を扱う実験が行われている。


都市のラボとして

Design Framework_FabCafe Osaka

FabCafeは都市の完成された空間ではない。
むしろ逆に都市の未来を試すための小さなラボに近い。

ここでは新しいコミュニティが生まれ、新しい文化が試され、新しいプロジェクトが始まる。その経験は、やがて都市のプロジェクトへと接続されていく。

都市の未来は大きな計画だけで生まれるものではない。
小さな場所での実験や対話、そして食卓の周りの会話から、ゆっくりと立ち上がっていく。

FabCafeは、そのための都市体験のプロトタイピング空間なのである。

都市は建物でできているのではない。
都市は、体験でできている。

目に見えない価値を探求し、都市の新しい体験をプロトタイピングする。

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