事務職からITエンジニアへの転職を考える3 「ワークエンジニア」を目指す
僕は長年 IT エンジニアとして働く傍ら、知人の会社の事務の仕事もしてきました。その経験から事務職からITエンジニアへの転職は「アリ」だと考えています。
一方で、IT エンジニアになるには覚えることも多く、一筋縄ではいかないのも事実です。
僕は事務職から一般的に言われているエンジニアへの転職とは違う方法があると思っています。それを 3 つの記事にまとめてみました。そのほかの記事はこちら。
最後に「ワークエンジニア」について考えてみます。
ワークエンジニアとは?
「ワークエンジニア」は僕の造語です。
「ユーザが創造性を発揮できるソフトウェアを使って、普段の業務課題を解決するエンジニア」を意味します。
たとえば Excel/VBA で今まで手動で行っていた集計作業を自動化する、Google Apps Script を使っていろんなファイルに散らばっているデータを集めて、煩雑な業務を効率化する、という感じです。
前回の記事 で普通にエンジニアへの転職を目指すことの難しさについて書きました。大きく 2 点あります。
学習の難易度が高い
「未経験」のリスクがある
ワークエンジニアを目指すことでこれらの課題をゼロには出来なくても、かなり軽減させることができます。
ワークエンジニアになるメリットとデメリットを見てみましょう。
ワークエンジニアのメリット
楽しみながら学習できる
なにより大事なのは「楽しみながら学習できる」という点です。
「エンジニアだって仕事のひとつ。楽しむことなんて考えてない。」という人もおられると思います。
それもひとつの考え方です。
ただ、僕は仕事は基本的に楽しいことが大事だと思っています。人生の多くの時間を割く仕事が楽しくないのはかなり苦痛だからです。
それにエンジニアになったら、学習が終わるわけではありません。エンジニアとして働き続けるにはさらに多くのこと、難易度の高いことを学び続ける必要があります。
だからエンジニアの仕事や学習が「楽しい」と思えることがとても大事だと考えています。
では、どうしてワークエンジニアなら楽しみながら学習できるのでしょうか?
それは課題の解決手段として新しいことを学習しようとするからです。
たとえば、あなたの部屋が本で溢れているといるとします。そこであなたは本棚を作ろうと考えます。
YouTube で本棚の作り方を調べたりするかもしれません。DIY の書籍を購入したりするかもしれません。(また、本が増えてしまいますが笑)
ホームセンターに行って必要な材料を購入し、動画や書籍を見ながら、トンカントンカン・・・。
本棚は完成し、部屋に溢れていた本を収納することができました。
初めての DIY なので、お手本通りにはいきませんでした。棚がゆがんでいたり、高さがちぐはぐだったりしています。
それでも本は収納でき、あなたは大満足。また、新しい何かを作りたくなったかもしれません。
人は本来、新しいことを学び、なにかを作ることが好きな生き物です。ですが、それにはきっかけが必要です。
本棚を作る必要がない人に「正しいクギの打ち方」を説明しても興味を持って学ぶことはないでしょう。
いきなりエンジニアになるための勉強をする、というのは、本棚を作る必要がない人が「正しいクギの打ち方」を学ぶのと同じことです。
ワークエンジニアの良い点は先に課題があって、その解決策を考え、作るところにあります。「溢れた本」と「本棚を作る」という関係と同じです。
だから「楽しみながら学習できる」のです。
必要に応じて、学んでいくので学習に対する負担も軽減できます。
エンジニアへの転職に有利
いくらワークエンジニアとして経験を積んでも、一般的なエンジニアとして経験がないのは同じ。それで就職で有利になるのでしょうか?
たしかに未経験ですが、ワークエンジニアとしてたくさんの業務課題に取り組んだ実績があります。
僕が面接担当であれば、プログラミングスクールで作られた似通ったポートフォリオよりも、具体的な課題を解決してきた実績を重視します。
「〇〇言語を学習した」とか「△△を使えます」というのも重視しません。ある程度は学習していてほしいですが、ちょっと学んだ程度の知識は現場では役に立たないからです。
エンジニアの仕事は IT のスキルを使って、課題を解決することです。
プログラミングスクールなどで与えられる課題には「正解」がありますが、仕事で扱う課題に「正解」はないのです。「正解」と思えたものが、時間が経つと「不正解」になる場合もあります。
そういった課題に実地で真摯に向き合った経験は単に IT のスキルを学ぶことよりもずっと価値があることだと僕は思います。
逆に業務課題を解決してきた実績を重要視しない会社は避けた方が良いでしょう。「未経験 OK」と書いておきながら、最初からエンジニアとしての高いスキルを要求していて、長い目で見て未経験者を育てる気がないと思われるからです。
多用なキャリアパスが期待できる
ワークエンジニアとして経験を積むと多様なキャリアパスを考えることができます。
王道はやはりエンジニアになることです。ワークエンジニアとしての経験を重視してくれる会社であれば、エンジニアとしてかなり良いスタートを切ることができると思います。
事務職のまま転職する、あるいは同じ会社で給与アップを狙う、ということも考えられます。ワークエンジニアとして業務を改善してきた実績は正当に評価してくれる会社であれば有利に働くでしょう。
副業という選択肢もあります。
たとえば、Excel や Google Apps Script で簡単な業務システムの構築を請け負うといった感じです。本業とのバランスは大事ですが、現職で給与面のみが課題なのであれば、選択肢のひとつとしては良いと思います。
ワークエンジニアのデメリット
最後にワークエンジニアのデメリットを考えてみます。
知識に偏りができる
課題の解決に集中しているので、エンジニアとして必要な広範な知識を習得できない可能性があります。
それは確かにそうなのですが、僕はあまり大きな問題ではないと考えています。
エンジニアに転職したい、と考えた時点から必要な知識を学習していけばいいからです。今までのワークエンジニアとしての経験があるので、習得は比較的短時間で済むでしょう。
また、先にも書いたように未経験者がちょっと学んだぐらいの知識は現場ではほとんど役に立たないので、基本的なところを抑えておくだけで十分です。
エンジニアになることをゴールと考えるなら時間がかかる
エンジニアになることがゴールならそのとおりです。
しかし、エンジニアになったあとも道は続きます。
どの部分を大事と考えるかは、その人が置かれている立場や考え方によるでしょう。
「ワークエンジニア」は絶対の解ではありませんが、まったく IT に縁のなかった人が最初の一歩として取り組むにはかなり有効な手段だと思っています。
今の「エンジニアになるか、ならないか」の二択の考えに、僕は長い間疑問を感じていました。
多様性の時代、肩書や職種にも多様性があってよいのではないでしょうか?
