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おうちで「東海道五十三次」絵と絵の間の旅 #7 藤沢~平塚

江戸時代の東海道を、日本橋から旅する想像旅の3日目。
昼前に藤沢宿に着き、今日もお昼に蕎麦をいただきました。
 
次の平塚までは3里半、約14㎞と、これまでで最長区間です。
夕方までに平塚に着けるよう、ともかく頑張って歩きます。


藤沢を出て、現在の県道43号と重なる東海道を進むと、まもなく引地川です。
引地橋を渡り、さらに進むと、東海道は現在の四ツ谷交差点の辺りで、国道1号と再び合流します。
 
藤沢宿から半里余り、この辺りが大山へのもう1つの分岐がある、四ツ谷立場です。
 
東海道から大山への主な道としては、昨日通過した戸塚宿手前から分岐する「柏尾通大山道」と共に、この四ツ谷から分岐し、相模川の田村の渡しを経て、大山に至る「田村通大山道」がありました。

歌川広重筆『「(蔦屋版)東海道五十三次之内」「藤沢」」』(Royal Ontario Museum(ROM)所蔵)「ARC浮世絵ポータルデータベース」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/arc_nishikie-ROM_930_153_0249)

こちらは保永堂とは別の版元から出された、「蔦屋版」と呼ばれる「東海道五十三次」の「藤沢」で、四ツ谷立場を描いています。
画面左手が大山への分岐です。

大山道の入り口には、藤沢宿にもあったような立派な、大山の一の鳥居が立っており、大山を目指す木太刀や御神酒枠などを抱えた集団、あるいは大山からの戻りの人々が多数出入りしています。
さらにこの後江の島にでも向かうのか、彼らは実に楽しげです。

ちなみに、ここから大山阿夫利神社までは約27㎞です。

立場には茶屋が並び、店はどこも繁盛していますが、私は藤沢でお昼をいただいたばかりなので、ここは素通りして先を急ぎます。

まもなく、西へと進む街道の両側には、また松が並んでいます。
最初の頃は海だった街道からの景色は、いつの間にか松並木であることが多くなりました。
 
また、少し上り坂になってきました。
 
長距離の為、藤沢~平塚間には4つの立場がありますが、この坂を上りきった高台が2つ目の牡丹餅立場です。
ここは栗牡丹餅、湯豆腐、そば、あめ等が名物だそう。

あぁ、おいしそう。
栗牡丹餅も、湯豆腐もいいな。休憩したい・・・。

しかしこの区間では、次の立場で休憩することに決めているので、泣く泣く通過し、まだまだひたすら真っ直ぐに歩きます。


途中の街道脇には、座って休憩する馬や馬子、駕籠かきなどの姿もちらほら見られます。
 
ようやく、街道が右手に大きくカーブして、その先に3つ目の南湖(なんご)の立場が見えてきました。

さてここまでの旅の途中、何度となく富士山を眺めてきました。
江戸時代は高い建物も少なかったので、今よりも様々なところから富士山を望むことが出来て、そこはちょっと江戸時代が羨ましいです。
 
しかし、江戸から京都への下りの東海道の場合、これまでも、これからも、富士山は基本的に進行方向の右手に見え、進行方向の左手に富士山が見える「左富士」のスポットは稀でした。
 
街道が右にカーブした先の鳥井戸橋の辺りは、その珍しい「左富士」が見えるスポットの1つです。

私がこの立場での休憩を選んだのも、「左富士」をゆっくり拝むため。

歌川広重筆『五十三次名所図会[竪絵東海道] 藤沢』(慶應義塾大学メディアセンター所蔵)「Keio Object Hub」収録 (https://jpsearch.go.jp/item/keioobjecthub-6970)

こちらは保永堂とは別の版元から出された、通称「竪絵東海道」と呼ばれる、「五十三次名所図会」の「藤沢」で、鳥井戸橋付近から見える左富士の様子が描かれています。

進行方向の左手、街道脇の松並木の向こう側に富士山の姿が見えてきました。
これが「南湖(なんご)の左富士」なのですね。

この時代は、カメラでパチリと言うわけにはいきませんから、しっかり目に焼き付けておきます。

この辺りは、風光明美な場所であることから、2階建ての茶屋が並んでいます。ようやく茶屋の1つに入って休憩です。

先ほどは食べ損ねた牡丹餅(おはぎ)を頂いて、足を休めます。

しかし今日中に平塚に着く為には、長く休んではいられません。
何しろ平塚の手前には、川崎に次いで2度目となる「渡し」もあるのですから。
ここは30分ほどで出発です。


もうしばらく歩くと、ようやく馬入川(ばにゅうがわ)、現在の相模川にたどり着きました。
 
多摩川同様、この馬入川も「渡し舟」で渡る川の1つでした。
江戸時代、現在の相模川下流には、様々な街道や道の為に60以上の渡しがあり、中でも最も大きな規模の渡しが、東海道の馬入の渡しでした。

歌川広重筆『「(行書東海道)東海道五十三次之内」「平塚」』(MFA_Boston所蔵) 「ARC浮世絵ポータルデータベース」収録 (https://jpsearch.go.jp/item/arc_nishikie-MFA_11_39989)

こちらは馬入の渡しを描いた、通称「行書東海道」の「平塚」です。

馬入川の渡しに到着すると、視界が開けており、正面に富士山、その右側に大山を始めとする丹沢山地が広がっています。

馬入の渡し賃は1人10文、荷物を乗せた馬「乗掛」が16文ですから、多摩川の六郷の渡しよりは、少し割高なようです。

これで渡し舟は2回目なので、少しは慣れてきましたが、やっぱりドキドキしました。

川を渡り終えたところが、4つ目の八幡立場です。
ここまでくればもう少し。一気に平塚を目指します。

つづく

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