【前編】フォトグラファーやモデルの活動が深化する、AIの正しい使い方と正しいプロンプトを公開します
こんにちは。
フォトグラファーのharu wagnusです。
前回の記事では、
AIを「文章を書いてくれる便利な道具」としてだけではなく、
自分の活動を前に進めるマネージャーや、
常時ミーティング相手のように使ってみてもいいのではないか、
という話を書きました。
ありがたいことに、読んでくださった方から
「たしかにキャプションばかり頼んでいたかも」
「もっと自分の活動そのものを相談してもいいのかもしれない」
「私も同じようにマネージャー的に使っています!」
というような反応をいただきました。
では、実際に。
フォトグラファーやモデルは、
AIに何を相談すればいいのでしょうか。
ここが今回の話です。
いきなり結論から言うと、
AIに相談できることは、
驚くほどたくさんあります。
ただし、最初から
「最強のプロンプト10選」
みたいな方向に行くと、ありがち系で
少し本質から外れてしまいますよね(笑)
なので、大事なのは、AIに何を言えば
賢く返してくれるかではなく、
自分の活動のどこにAIを置くと、
思考や表現が今までよりも前に進むのか、
という見方です。
ほんとうはこの話、
① 撮影前
② 撮影後
③ 自己分析
④ SNSや発信の整理
⑤ これからの活動設計
という流れで、ひと続きに書くつもりでした。
ただ、書いてみたら想像以上のボリュームになってしまって(笑)、
一回では重すぎるな、と思い、前編・後編に分けることにしました。
この前編では、①撮影前 / ②撮影直後 / ③自己分析という、
「撮影と、自分の作品そのもの」に関わる相談を。
後編では、④発信 / ⑤活動設計という、
「自分の活動を、外へ、前へ進めていく」相談を書きます。
必ずためになるので、
よかったら前編・後編、両方おつきあいください。
⸻
大前提の話
大前提の話
その前に、すごく大事なことを書いておきます。
AIは、「考えることを代わりにやってくれる人」
ではありません。
いや、そのような使い方もできますが、
それだと自分自身がAIの言いなりになるだけになります。
そこはAIと正しく付き合うリテラシーも必要ですよね。
ですので、どちらかというと、
「考え始めた人の思考を、奥へ、
そして横軸へも押してくれる相手」
として向き合うのが良いです。
ここを見間違うと、どんなにAIを使っても、
返ってくるものや自分自身のいく末も
薄くなってしまいます。
たとえば、
「エモい撮影のアイデアちょうだい」
だけを投げると、それっぽいけれど、
どこかで見たような案だけが並びます。
でも、自分である程度考えて、
本当の「人」に伝えるかのように、具体的な言葉で、
「春の終わりの湿度が残る夕方に、
少し寂しさはあるけれど、暗すぎない写真を撮りたい。
モデルは無垢すぎず、でも作り込みすぎない。
生活の気配とファッションの間にあるような画にしたい。
その場合、ロケーション・服・小物・光の扱いをどう考えられるか」
と投げると、返ってくるものは一気に変わります。
(やってみてね!)
AIは、こちらが差し出した思考の密度に応じて、
返せるものの密度も上がっていきます。
人間に指示する時も同じですよね?
ふわっとした指示をしたら、
何をして良いか分からないから、
とりあえずなことをする。
具体的に伝えれば、それに合わせて
しっかりと考えようとする。
AIも同じです。
これは、今回の記事全体の前提です。
そして、繰り返しになりますが、
AIから浅い答えしか返ってこないとき、
薄いのは、たぶんAIではなく、
こちら側の考えの輪郭です。
「自分はいま、何をやろうとしているのか」を、
まだ自分の言葉にできていないだけ。
逆に言えば、AIに相談しようとする時間は、
それだけで、自分の輪郭を立て直す時間にもなります。
⸻
① 撮影前に相談する
「何を撮りたいか」を、現場で使える言葉まで落とす
撮影前って、完全に何も
決まっていないわけではないけれど、
まだ輪郭のないイメージが
頭の中に漂っている時間があります。
なんとなくこういう空気感がいい
季節的にこういう光が気になる
このモデルさんなら、こういう方向も似合いそう
でも、それをどういう企画書にすればいいかはまだ曖昧
この段階で、AIはかなり役に立ちます。
僕自身も、撮影の構想を詰めるとき、
AIにいきなり完成案を求めるのではなく、
まずは頭の中の断片をそのまま渡します。
たとえば、
和風だけど、古典に寄りすぎない。モダンで、少し緊張感があるファッション撮影にしたい。でも人工的すぎず、モデル本人の自然な存在感は残したい。
というように。そこから、
世界観の整理
撮影の軸になる言葉
ロケーションの方向性
スタイリングの整理
小物の候補
ライティングのトーン
モデルへの共有文
を一緒に詰めていく。
ここで大事なのは、
AIに企画を丸投げするのではなく、
自分の中にある曖昧なものを、
現場で共有できる形に
変えていくために使うことです。
撮影は、
自分一人の頭の中だけで
完結するものではありません。
モデルに伝わるか。
ヘアメイクに伝わるか。
スタイリストに伝わるか。
チームでひとつの方向を見られるか。
この「伝わる言葉」へ変換する段階で、
AIは本当に頼りになります。
⸻
撮影前のAI相談例
たとえば、こんな相談ができます。
今度、20代女性モデルを撮影します。テーマは“静かな違和感のある初夏”。
明るく爽やかなだけではなく、少し記憶に引っかかるような余韻を残したいです。この方向性に合うロケーション、衣装、小物、光の扱いを整理してください。ただし、ありがちな“エモい”に寄りすぎないようにしてください。
この聞き方だと、
ただの撮影アイデアではなく、
自分が避けたいものまで含めて、
企画の輪郭を一緒に作っていけます。
ここ、かなり大事です。
AIに相談するときは、
「何をしたいか」だけでなく、
「何にはしたくないか」を渡すと、
一気に自分らしさへ寄っていきます。
② 撮影直後に相談する
撮影が終わった直後、
まだ現場の温度が
身体に残っている時間があります。
今日は不思議とうまくいった
途中から空気が変わった
思っていたより、このポーズが強かった
このモデルさんの目線の抜け方がよかった
逆に、狙っていた部分はそこまで乗らなかった
でも、それを放っておくと、
数日後にはかなり薄れてしまいます。
この現場の熱が残っている時間に、
AIへその日の撮影を話してみるのは
かなりおすすめです。
僕なら、
今日の撮影を振り返りたいです。こういうテーマで撮影して、実際にはこういう空気になりました。自分としてはこの瞬間が特によかった。一方で、狙っていたのに弱くなった部分もありました。この撮影を通して見えてくる、自分の得意なディレクションと、次回の課題を整理してください。
というように相談します。
すると、
AIが答えを出してくれるというより、
自分のなかで感覚的に残っていたものが
少しずつ構造を持ち始めます。
「あ、自分は撮影中、
モデルを細かく制御するより、
空気を作って自然に出てくる瞬間を
待つ方が強いのかもしれない」
とか。
「企画段階では世界観を作れていたけれど、
現場での言葉の出し方はまだ改善できる」
とか。
こういう振り返りは、
普通に活動していると意外と飛ばされます。
写真をセレクトして、編集して、
納品して、投稿して、次へ。
そのたびに、
何が自分の経験値として
蓄積されたのかを整理できる人が、
少しずつ強くなります。
AIは、その振り返りの相手としても、
とても優秀です。
つまり、自分自身が思考を強めることができるわけです。
③ 自分の写真や写り方を見てもらう
自己分析を、褒められるためではなく伸びるために使う
フォトグラファーにもモデルにも、
かなり大きな使いどころです。
フォトグラファーであれば、
自分の作品群をいくつか見せて、
光の傾向
色の傾向
被写体との距離感
構図の癖
感情の残し方
自分では気づいていない共通点
そして自分の最大の武器
最大の弱点
個性を出すには
などを整理してもらう。
モデルであれば、
撮影された写真を複数見せながら、
どういう表情で最も印象が出ているか
どんな角度や佇まいが強いか
似合う世界観や媒体の傾向
可愛い、綺麗、だけで終わらない自分の存在感
逆に似た表情や角度に寄りすぎていないか
衣装はこれで本当に良かったのか
もっと良い服装やメイクにするには
もっと絵的に良く見せれるには
モデルとして一流になるために何が必要か
を見てもらう。ただし、
誤解してほしくないことがあります。
AIに見てもらうのは、
評価を決めてもらうためではありません。
「この写真は何点ですか」
「私は美人ですか」
みたいな話ではないんです。
大事なのは、
自分では見えなくなっている傾向を、
一度外から整理してもらうこと。
たとえば、
あるフォトグラファーが、
自分では「光の柔らかさ」を
武器だと思っていたけれど、
作品を並べて見ると、実際には
被写体の少し不安定な表情を拾う瞬間
の方が、強い個性になっていた。
あるモデルが、
自分では「明るく元気な印象」が
売りだと思っているけれど、
写真では、少し伏し目がちな横顔や、
何かを言いかけて止まったような
表情の方に、独特の余韻が出ていた。
こういうズレは、
悪いことではありません。
むしろ、
そこに次の伸びしろや、
自分でも気づいていなかった魅力が
隠れていることがあります。
そして、ひとつ注意点
AIを「自分を褒めてくれる相手」として使い続けると、
気持ちはいいのですが、自分の現在地からは、
なかなか動けなくなります。
心地よさは、表現をその場に留めてしまうからです。
伸びるための自己分析は、ほんの少しだけ、
見たくなかった自分を含むのが普通です。
強みだと思っていたものが、ただの癖かもしれない。
そこまで一緒に見てくれる相手として、AIを置く。
そう使えたとき、自己分析は、
ようやく意味を持ち始めます。
コピー推奨!実際にAIに入れて自己分析をしてもらうのに最適なプロンプトを紹介します。
⸻ここから⸻
フォトグラファー向け・自己分析プロンプト
(※写真をAIに読み込ませる)
これから複数枚の写真を見せます。
あなたは写真編集者、アートディレクター、
写真講師の視点を持つプロとして、
私の写真表現を冷静に分析してください。
単なる褒め言葉ではなく、
今後の活動に使える自己分析として整理してください。
以下の観点で見てください。
写真全体に共通している魅力
色の傾向
光の扱い方
構図や余白の使い方
被写体との距離感
感情の残し方、説明しすぎていない部分
写真から感じる世界観や作家性
他の人と差別化できそうな強み
逆に、似た印象に寄りすぎている部分
今後さらに伸ばすと作品性が強くなりそうな方向性
そのうえで、以下の形式で答えてください。
【全体印象】
私の写真は、見る人にどんな印象を与えやすいか。
【作家性の核】
私の写真表現の中心にある魅力を一言ではなく、具体的に説明してください。
【強み】
今後も伸ばすべき部分を3〜5個挙げてください。
【課題】
マンネリ化しやすい部分、似た写真に見えやすい部分、改善できそうな部分を率直に教えてください。
【今後の撮影アイデア】
私の強みを活かせる撮影テーマを5つ提案してください。
【SNSやポートフォリオでの見せ方】
どんな順番で写真を並べると魅力が伝わりやすいかも教えてください。
最後に、私の写真を言葉で表すならどんな表現になるか、
キャッチコピーを5案出してください。
なお、私を無理に褒める必要はありません。
良い部分は具体的に、改善点は傷つける言い方ではなく、次に活かせる形で率直に教えてください。
写真ごとの違いだけでなく、複数枚を通して見える“傾向”を重視してください。
抽象的な言葉で終わらせず、今後の撮影・投稿・プロフィール作りに使える具体的なアドバイスにしてください。
⸻ここまで⸻
⸻ここから⸻
モデル向け・自己分析プロンプト
(※写真をAIに読み込ませる)
これから複数枚の写真を見せます。
あなたはモデル事務所のマネージャー、写真家、アートディレクターの視点を持つプロとして、私が写真の中でどのように見えているかを冷静に分析してください。
「かわいい」「きれい」「雰囲気がある」だけの浅い言葉ではなく、今後のモデル活動に使える分析をしてください。
以下の観点で見てください。
私が写真の中で持たれやすい印象
存在感の種類
感情の出方
視線、表情、身体の使い方
似合う世界観
得意そうな撮影ジャンル
写真の中で担いやすい役割
他のモデルと差別化できそうな個性
逆に、印象が固定されやすい部分
伸ばすとより強くなりそうな表現
以下の形式で答えてください。
【全体印象】
私は写真を見る人に、どんなモデルとして記憶されやすいか。
【存在感のタイプ】
明るい、儚い、強い、静か、知的、生活感がある、幻想的など、具体的に言語化してください。
【似合う世界観】
どんな服、場所、光、季節、物語が似合いそうか教えてください。
【強み】
今後も伸ばすべき魅力を3〜5個挙げてください。
【課題】
表情、ポージング、視線、身体の使い方、写真ごとの印象の幅について、改善できそうな部分を率直に教えてください。
【伸ばすべき方向性】
今後挑戦すると印象が強くなりそうな撮影テーマを5つ提案してください。
【プロフィールでの見せ方】
SNSやポートフォリオで、どんな写真を先頭に置くと魅力が伝わりやすいか教えてください。
最後に、私をモデルとして言葉で表すならどんな表現になるか、
プロフィール文やキャッチコピーを5案出してください。
なお、私を無理に褒める必要はありません。
良い部分は具体的に、改善点は傷つける言い方ではなく、次に活かせる形で率直に教えてください。
写真ごとの違いだけでなく、複数枚を通して見える“傾向”を重視してください。抽象的な言葉で終わらせず、今後の撮影・投稿・プロフィール作りに使える具体的なアドバイスにしてください。
⸻ここまで⸻
AIに「褒めてもらう」のではなく、
自分の表現の癖、強み、
届き方を言語化してもらう。
そして、受け止めて自分でしっかりと考える。
それだけで、次に撮る写真や、
次に見せるモデルとしての
自分の輪郭が少しはっきりしてきます。
ここから、次への行動をしていきましょう。
前編のおわりに
ここまでが、「撮影と、自分の作品そのもの」を
めぐる相談でした。
撮影の前に、頭のなかの曖昧を言葉にする。
撮影の直後に、熱が残っているうちに振り返る。
そして、自分の作品や写り方を、一度外から見てもらう。
この三つだけでも、AIの使い方は、
キャプションを書かせるのとは、
ずいぶん違う場所に来ているはずです。
後編では、ここで見えてきた「自分」を、
どう外へ、どう前へ進めていくか。
④SNS・発信の整理と、
⑤これからの活動設計について書きます。
あわせて、「AIを使うと、
自分の言葉が薄くなるんじゃないか」という、
よくある不安にも、正直に答えます。
後編もぜひ、お楽しみに。
haru wagnus
フォトグラファー/プロダクトデザイナー 埼玉県出身。ファッションブランド「4 Silent Birds」代表。イギリス人と日本人とのハーフで幼少期はロンドンで育つ。 音楽家としてのキャリアをベースに、Instagramをきっかけに写真を始める。SNS総フォロワー約15万人。人物、ファッション、トラベル、自然、アート写真を得意とし、カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、アディダスなどのファッションブランドの撮影や、ホテルの広告撮影、海外観光撮影、カメラ機材メーカーなどのコラボ撮影を多数手がける。昨今は、写真とAIテクノロジーを融合させた作品作りも積極的に行っている。著書『超絶レタッチ術』、『ポートレート写真術』『SNS時代のフォトグラファーガイドブック』など。
Instagram / Threads / X / 4Silent Birds / GENIC web

