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【全力応援#創作大賞感想】読んで潤い共に心地良さにひたろう!

本日はせやま南天さんの「月夜のグリーンカーテン」の感想文を書かせていただきます。

デジタルに疲れた私達にとって植物の緑は癒しとなります。土から小さな芽が出ているのを見つけ、嬉しい気持ちになった経験ありますよね?

植物との触れ合いを通し、お客も店員も癒されていく過程を丁寧に描いているのがせやま南天さんの「月夜のグリーンカーテン」です。この物語では優しい世界が展開されているのに、私はふと、小学校の図書館に置かれてあった「はだしのゲン」で見た戦後のあるシーンを思い出しました。

それは、原爆が落ちた町をさまようゲンが足元に「小さな植物」を発見するものでした。焦土の中にポツンと生えた小さな芽を発見したゲンは感動します。そのままフラフラと川の近くに行き、自分の姿を映すと、原爆で失ったはずの髪がうっすらと生えていることに気づきます。それを見てゲンが涙を流すというもので、ほんの数コマだったのですが。

このシーンは小学生の私に、植物は生命を象徴するものだと強烈な印象を残したのです。この作品の植物によって救われる人々の姿が、小学生の頃の記憶を呼び覚ましたのかもしれません。

せやまさんは物語の中で、観葉植物専門店で出会うお客さんや主人公が、生きる支えを植物にもらう姿を描きました。終戦直後と違い、高層ビルが立ち並ぶ美しい景色がある現代でも、植物が人に与える希望はとても大きいことが伝わってきます。

植物をそばに置いて育てるだけでは、植物が持つ力を十分に発揮できません。植物と人がきちんと寄り添わないと、困難を乗り越えることはできないのです。

他人の言葉に傷つきながらも
インテリアととらえても
過去の思い出にとらわれても

物言わぬ植物と向き合うことで人生を歩けるようになる人達が、この作品には描かれていました。

観葉植物は丁寧に育てないときちんと育ちません。「ただそこに在る」存在を気にかけられるゆとりの大切さを、この物語は心を潤すように語りかけるのです。

頑なだった心がほぐれている様子を、せやまさんは植物や料理、生まれたての命、過去、寄り添ってくれる人を通して丁寧に描いています。

毎日をしっかりと生きているからこそ描けた物語と感じました。努力して得た心地良さではなく、心地良いから動く、そんな心持ちでいられたら笑って生きていけるような気がします。

読み終わったと同時に出たため息は、満足を伴うものでした。心の底に新芽が出たような気がします。なんの芽かなとこそっとのぞいてみると、希望の芽だと思えました。せやまさん、ありがとうございます。