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【全力応援#創作大賞感想】やりきれなさを耐えろ!

本日は木村山羊哲也さんの「錆びたメイプルシロップ 二度目のさよなら」の感想文を書かせていただきます。

創作大賞の応募作全てには、書かれた方の熱意や想いが込められています。軽いか重いかに関係なく、それらは全て尊いです。しかし、夢へと昇ることができるのはごくわずか。

切ないですね……書いていて私も切なくなってきました。感想文に戻ります。


社会からこぼれ落ち救いなどないと思っている人達が、もがきあがく姿を描いたのが「錆びたメイプルシロップ 二度目のさよなら」です。過去の栄光から転げ落ちた人間、生まれた時から救いのなかった人間が、テニスを通して交流していく姿が描かれています。

ニュースでよく見聞きする悲劇的な事故や事件。差し伸べる手があれば防げたかもしれない、と私はよく考えます。こちらに出てくる高校生2人も、適切な手を差し伸べられず、成長しました。それは、2人の小ズルさや年に似合わない大人っぽさにへとつながるのですが。

年相応の反応や子供らしさは、手を差し伸べてもらえる環境にいる子どもだけしか、身につけられられないものです。手を差し伸べられないと感じている子ども達は、この2人と近い状態にあるかもしれない、その考えが読んでいる間ずっと浮かび続けました。

こちらは一気読みしたくなる力を持った作品なのですが、私は休憩を取りつつ、何日もかけて読みました。登場人物の心に入り込み過ぎたせいだと思っています。なにひとつ行動しない自分に気づき、心がヒリヒリと痛みました。それでも、最後まで読むことを止めようと思わなかったです。ストーリーの先に希望があるのか絶望があるのかを確かめたい衝動が、物語の終わりまで私を引っ張っていってくれました。

こう書くと、暗い小説と勘違いされそうですが、暗さばかりが目立つ小説ではありません。先ほども申しましたように、とても惹きこまれる作品です。乾いた空気も心地良いですし、高揚感も感じられます。私も一緒に勝利を味わったり、料理を提供したくなりました。ミステリーとして読む人を捉えて離さない魅力に満ち溢れた作品です。

作品の中で、男子高校生の食欲について描かれており、底なし沼のような食欲を発揮した後に見せる幼さには愛おしさを感じました。学食の100円サラダバーでレタスとポテトサラダを上手に組み合わせ、呆れるほどのポテトサラダタワーを作った同級生に笑わされた過去を突然思い出しました。

ポテトサラダでタワーを作った彼
それを見て笑う私

彼も私もささいな不満に捉われ、幸せの中で生きていることに気づく努力もしていなかったのです……

信頼できる大人を得た喜びを知った後に訪れる「二度目のさよなら」に、今も切なさがこみ上げて仕方ありません。