製造業よ、“所有”にしがみつくな──シェアする覚悟が未来を拓く
はじめに
最近、「シェア」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
家や車のシェアはすでに一般的になり、今ではオフィスや会議室、さらにはスキルや時間までシェアする時代です。
そんな中で、私が最近特に面白いと感じたのが「コンビニの駐車場のシェア」です。
コンビニ駐車場の新しい使い方
千葉県のローソンでは、駐車場を車中泊用に開放するサービスが始まりました。
コンビニの駐車場は広く、立地も良いのに、買い物客の滞在時間は短く、活用しきれていないのが現状です。
最近では、新車の展示スペースとして使うなど、新たな活用方法も模索されています。
このように、「使われていない資源をシェアする」という考え方が、身近な場所で着実に広がっているのです。
製造業における「シェア」の可能性
では、この考え方を製造業に置き換えるとどうなるでしょうか?
製造業の現場では、生産設備や工場スペースが繁忙期にはフル稼働します。
しかし、需要の波が落ち着くと、設備の稼働率が下がり、遊休資産となることも少なくありません。
私自身、7年ほど前から「これからはシェア生産の時代だ」と言ってきました。
当時は誰にも響きませんでしたが、今ではその可能性が現実味を帯びてきています。
実際に始まっている「工場のシェア」
実際、日本でも工場のシェアリングサービスが始まっています。
たとえば「Sharing FACTORY」というサービスでは、遊休設備や計測器を他社と共有したり、加工サービスをマッチングしたりすることで、設備の稼働率を高め、収益化を図っています。
また、日立製作所では「クラウドマニュファクチャリング」という形で、複数企業が設備を共有しながら生産を行う取り組みも進められています。
こうした動きは、設備投資の負担を軽減し、中小企業の競争力を高める可能性を秘めています。
人材のシェアという新しい可能性
設備のシェアだけでは、製造業の課題は解決しません。
今、製造業が直面している最大の課題の一つが「人材不足」です。
高齢化による技能者の引退、若手の採用難、地域による人材の偏在など、現場では人の確保がますます難しくなっています。
設備があっても、それを動かす人がいなければ、ものづくりは成り立ちません。
だからこそ、私は人材のシェアという考え方が、これからの製造業にとって重要になると考えています。
例えば、繁忙期に人手が足りない企業が、閑散期の企業から技能者を一時的に受け入れる。
あるいは、特定の技術を持つ人材が、複数の企業で活躍できるような仕組みを作る。
これは、単なる派遣とは違い、企業間の信頼関係と協業を前提とした新しい働き方です。
人材の流動性を高めることで、仕事がなくなる不安を減らし、企業も柔軟に対応できるようになります。
そして、地域全体で人材を育て、活かす仕組みができれば、製造業の底力はもっと強くなるはずです。
教育と地域連携の重要性
人材のシェアを実現するには、教育と地域連携が欠かせません。
まず、教育。
企業ごとに異なる技術や文化がある中で、人材が複数の現場で活躍するには、基礎的なスキルだけでなく、現場適応力やコミュニケーション力も必要です。
そのためには、業界横断的な教育プログラムや、現場でのOJTを支える仕組みが求められます。
次に、地域連携。
企業単体では難しい人材の融通も、地域の産業支援機関や自治体が間に入ることで、スムーズに進めることができます。
地域全体で人材を育て、必要なときに必要な場所へ送り出す。
これは、地方創生にもつながる取り組みです。
最後に
「シェア生産」という考え方は、単なるコスト削減ではありません。
それは、資源の再活用であり、人材の活躍機会の創出であり、企業間・地域間の新しい関係性の構築でもあります。
製造業が持つポテンシャルを、もっと柔軟に、もっと開かれた形で活かしていける未来。
そのためには、設備も人材も、教育も地域も、すべてをつなげていく視点が必要です。
「シェア生産」という言葉が、もっと多くの人に届き、現場での実践につながっていくことを願っています。
そして、製造業の未来を、みんなで描いていけるような社会を目指していきたいと思っています。
