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多様性に違和感を覚える方へ ― それは、あなたが間違っているからではない

あなたは、多様性についてどう思いますか。

多様性は大切だ。
それ自体に異論はありませんし、否定するつもりもありません。
ただ、経営的な立場で現場を見ていると
どこか言葉にできない違和感を覚えることがあります。

「違いを受け入れましょう」
そう言われたとき、それをどう判断や行動に落とし込めばいいのか。
受け入れて、その先に何が起きれば“正解”なのか。
正直、少し曖昧なまま進んでいる感覚を持ったことはないでしょうか。

私自身、多様性という言葉に共感しながらも、
それが成果や組織の強さとどう結びつくのか、長く考えてきました。
そしてあるとき、こう思うようになりました。

この違和感は、多様性を否定しているからではなく、
経営やマネジメントの言葉に翻訳されていない から
生まれているのではないか、と。


「受け入れるだけ」の多様性への違和感

一般的に、多様性は
「違いを受け入れること」
として語られることが多いように感じます。

それはそれで、間違ってはいないと思います。
ただ、判断や責任を伴う立場で考えると、
少し物足りなさも残ります。

受け入れているかどうかは測りづらく、
受け入れた結果、組織や現場がどう良くなったのかも見えにくい。
言い方が悪いかもしれませんが、
表面的で、きれいな言葉だけが先行してしまうこともあります。

実務として向き合う以上、
もう一歩踏み込んで考えたい。
そう感じていました。


ある現場での実体験

以前、ある現場で一人の社員と向き合う機会がありました。

その人は長く現場で仕事をしていましたが、
目立った成果を出しているとは評価されておらず、
周囲からは「ただの作業者」という見られ方をしていました。

別の部署へ異動させる話も出ましたが、
「受け入れ先がない」「どこでも扱いづらい」
といった理由で実現せず、
結果として同じ部署で仕事を続けている、という状況でした。

ただ、その人がこれまで何をしてきたのかを、
改めて整理してみたとき、少し違った景色が見えてきました。

製造業の現場は、モノを作ることには非常に長けています。
一方で、「どうすれば儲かるのか」「お金がどう流れているのか」
という点については、あまり得意とは言えません。

日程通りにモノを作ることが最優先で、
原価や利益については
「それは別の誰かが考えること」
となっている現場も少なくありません。

当然ですが、
お金の管理ができなければ、モノづくりは儲かりません。

その人の過去を深掘りしていくと、
実は簿記の資格を持ち、工業簿記についても知見があることが分かりました。

つまりその人は、
現場を理解し、かつお金のことも分かる人
だったのです。

それならば、
現場のお金の管理を担ってもらおう。
そう役割を見直しました。

結果として、
どこで原価が上がっているのか、
何が無駄になっているのか、
どうすれば利益につながるのか。

これまで見えていなかった視点が、
少しずつ現場に入り始めました。

ここで大事なのは、
その人自身が変わったわけではない ということです。

変えたのは、
その人の見方と、役割の与え方だけでした。


私が考える多様性

この経験を通じて、
私は多様性を次のように考えるようになりました。

多様性とは、
その人の本質を理解し、
それぞれに合った役割を与え、
全体として効果を上げていくことだと思っています。

そのために必要なのは、
「違いを受け入れる姿勢」だけではなく、
人をどこまで深掘りし、言語化できるか です。

何が得意で、何が苦手なのか。
どんな経験をしてきたのか。
どの文脈なら力を発揮できるのか。

そこまで見て初めて、
役割を設計し、配置を考え、
成果につなげることができるのだと思います。


製造業は、本来これが得意なはず

考えてみると、製造業は昔から、

  • 適材適所

  • 工程設計

  • 全体最適

を大切にしてきた業界です。

設備や工程については、
「何が得意で、何が苦手か」
「どこに置けば一番力を発揮するか」
を丁寧に考えるのに、
人に対してだけ、それをしないのは少し不思議にも感じます。

多様性をスローガンとして掲げるのではなく、
設計思想として捉えること

それは決して新しい考え方ではなく、
製造業がこれまでやってきたことの延長線上にあるように思います。


結び:違和感は、判断する立場のセンサー

ここまで書いてきたことは、
多様性の唯一の正解ではありません。
私自身も、まだ考え続けている途中です。

ただ一つ言えるのは、
多様性という言葉に違和感を覚えたとき、
それを「自分が間違っているからだ」と
片づける必要はない、ということです。

その違和感は、
判断やマネジメントに関わる立場にある人の、健全なセンサー
なのだと思います。

違和感を無視せず、
人を見直し、役割を見直し、現場を設計し直す。

その積み重ねが、
多様性を“きれいごと”ではなく、
組織やチームの強さに変えていくのではないでしょうか。

もう一度、問いかけます。
このnoteを読んで、あなたは多様性についてどう思いますか。

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