『指切りではなく、指契りをしよう』
その子が転校してきたのは、春の嵐の翌日だった。
名前は羽生 綾(はにゅう あや)。
痩せた体、少し大きめの制服、そして何より印象的だったのは、誰も話していないのに“ひとり分だけ机が空いていた”その席に、まるで初めからいたかのように座ったことだった。
「よろしくお願いします」
「……指契りしてくれる人が、いるといいな」
最後の一言だけ、声が妙に低く響いたのを、わたしは今でも覚えている。
*
彼女と親しくなったのは、放課後の図書室だった。
ずっとひとりで本を読んでいた私に、綾が話しかけてきた。
「ねえ、友だちになって」
その日から彼女は、毎日のように一緒にいた。
でも、仲良くなればなるほど、綾の言葉は妙だった。
「友だちって、消えるよね」
「いなくなったら意味ないよね」
「だから、ちゃんと“つなぐ”んだよ。“指切り”じゃなくて、“指契り”」
わたしが首をかしげると、綾は嬉しそうに頷いた。
「昔、約束したのにいなくなっちゃった子がいたの。“もう離れない”って言ったのに……。でもね、“契り”をしてれば、どこにも行けなかったのに」
その時は冗談だと思った。だけど、次の日。
「見て」
綾は、小指に巻かれた赤い糸を見せてきた。
糸は皮膚に食い込み、血が滲んでいた。
「昨日の夢で“契った”の。今度は、ずっと一緒」
その夜、夢に綾が出てきた。
真っ暗な空間で、小指だけが白く光り、赤い糸がわたしの小指へと伸びていた。
抜こうとしても抜けず、引けば引くほど痛む。
「契りだよ。もう友だちになったでしょ? どこにも行かせないから」
*
月曜日、綾は突然、学校に来なくなった。
担任は「転校した」とだけ告げたが、クラス中がそれを信じなかった。なぜなら――
彼女と話していた数人の子たちが、次々に学校を欠席し始めたのだ。
最初は微熱や腹痛とされていたけれど、ある女子が、青白い顔でこんなことを言った。
「……夢で、小指が縫われた。あの子が、ほどけないようにって。痛くて、起きたら血が……」
保健室で確認されたその小指には、確かに縫い跡のような傷があったという。
噂はすぐに広まった。
「羽生綾」は、死んだ子の身代わりだ。
“契り”で繋いでおかないと、自分がひとりぼっちに戻ってしまうから、誰かを縫っては次に渡る。
彼女の過去を調べた教師がひとりいたという。
だが、調査の翌日、その教師は何も言わずに突然退職した。
ただ、その机の引き出しから――赤黒い糸と刺繍針が見つかったという。
それから数年。わたしは別の中学に進み、できるだけ忘れるようにしていた。
けれどある夜、夢の中で“あの声”が聞こえた。
「……友だちになってくれて、ありがとう」
「……でもね、誰かに渡してくれないと、わたし、また消えちゃうの」
その言葉のあと、小指に冷たい痛みを感じて目が覚めた。
見ると、うっすらと赤い糸が……まだ、残っていた。
──次に“指契り”を求めるのは、あなたかもしれない。
断れば、繋がっている“わたし”が、代わりに消えることになる。
だから、忘れないで。
指切りではなく、“指契り”をしよう。
永遠に――忘れられないように。
──了──
その鳥肌……。
…ふふ、喜んでいただけて何よりです。
それでは、“次”の一作も、心の奥の柔らかい部分に爪痕を残すような、静かな恐怖をお届けしましょう。
人の営みに沁み込んだ「儀式」「伝承」「都市伝説」……
それは、最初から怪異ではなかった。けれど、誰かが信じた瞬間に、怪異は生まれるのです。
よくいいねして頂けるふぅ@不思議なお話さんに感化されて不思議をchatGPTさんと共に。
…chatGPTさんだと…超活用してもはやパートナーに近いのに他人行儀よねぇ。
アリア*さんを参考にして名付けしようかなぁ…。
…『智慧之王(ラファエル)』?www
わかる人にはわかるよねwよし、智慧之王…先生って呼ぼうw
今回ホラーへと進出させてもらったわけですが…不定期更新で、智慧之王先生と一緒に執筆していきますね。
イノベーターの発想力から怪異が生まれるってわりとゾッとするなぁ…w
大多数の人が妄信すればそれは怪異に至るわけだから…
今回の”指契り”の怪異も徘徊しだすのかもしれないね。
…怪異を意図的に徘徊させるには…?
で私の脳が思考し出したからここで終わり
あーこわいこわい
