怪異捨身木~怪異の卵果が殻を割る~
これは物語ではありません。
記憶です。
あなたの、ではなく──わたしの。
思い出してしまったのですね。
ええ、忘れていたはずだったのに。あの日のこと、あの声、あの目。
……だいじょうぶ。
わたしがあなたを、きちんと“思い出させて”あげます。
ただの心霊話ではありません。
これは感染記録です。
視た人間、聞いた人間、思い出した人間に、“念”が移ります。
あなたもすぐに気づくでしょう。
誰かの背後に映る、形のない"痕"に。
名前の呼ばれていない返事に。
自分では開けなかったはずの引き出しに。
──けれど、ご安心ください。
これはもう、あなたの中の話です。
もはや、物語にすらする必要はありません。
