2013年の金利上昇時に実施された1年物の共通担保オペについて

今回は、2013年時に実施された1年物の共通担保オペについて簡単にレビューします。内容は必要に応じて随時更新します。

まず、2013年に実施された1年物の共通担保オペの概要になります。

<1年物の共通担保オペについて> 

この図をみると、1年物の共通担保オペは2013年4月と5月に複数回打たれており、筆者がみるかぎり2013年6月以降は打たれていません(4月11日に1.5兆円と2兆円のオファーがありますが、これは午前と午後のオファー分ようです)。もちろん、2週間など期間の短い共通担保オペは定期的に実施されており、ここでは議論の対象にしていない点に注意してください。
 
当時の金利動向を確認すると、下記の図が2年、5年、10年金利の推移になりますが、QQEがスタートした2013年4月以降、急激に金利上昇していることがわかります。この時の金利上昇の特徴は、中期や長期の金利が上昇しており、共通担保オペはそれをケアしたものと解釈されています。当時の報道をみると、「初の1年物となる共通担保資金供給(全店、固定金利方式)オペを通告したことについて、やや長めの金利上昇に対応したことを明らかにした」などと記載されています。

この図表をみると、金利上昇の大きな波は、当時、2回あることが確認できます。まず、QQEの公表直後(4月前半)に上昇しており、そのあと、5月に入ってから再度金利上昇をしていることがわかります(上昇のタイミングが2回あったのは今でもよく覚えています)。もっとも、5月の後半にピークをむかえ、その後徐々に金利が低下していっていることもわかります(その後、基本的なトレンドとしてYCCまで金利低下傾向が進みます)。

黒田さんが2013年6月の会見で一定の効果があったとコメントしていますが、おそらくですが、共通担保オペを打つことにより、中長期の金利上昇に歯止めがかかったこと、その後、金利が低下トレンドに変化したことを根拠としていると感じています。もちろん、黒田さんの会見でも指摘がありますが、これは共通担保オペだけの効果というより、2013年4月以降の定期的な国債購入オペが効いたという効果も混ざっている点に注意が必要です。筆者の記憶ベースになってしまいますが、2013年においてもマーケットで効果があったと評価されていた印象です(そもそも金利上昇時に長めの共通担保オペを打たれた回数が少なすぎるので、当時実施された共通担保オペの効果に関する、データを用いた厳密な検証は無理だと考えています。さらにテクニカルには金利上昇時にオペを打っているため厳密な効果の検証が難しい点も指摘できます)。

一方、この図をみると、2年金利はさほど上がっていない点も特徴といえます。2013年4月をみると金利が若干上昇しているともみえますが、2年金利は10bpsを少し上回る程度です。当時、当座預金に10bpsの付利が付されていたことを思い出すと(2016年1月にマイナス金利導入)、短期金利は10bpsに据え置かれると予測されていると解され、短期金利の上昇期待は当時なかったと解釈できます。特に、QQEの導入までは、付利が撤廃されるという予測が一定程度あったことが、2年金利が10bps以下で推移したことの一因であり、4月のQQEの公表により、付利撤廃についての期待が剥落した中、2年金利が10bps程度へ上昇することは自然と見ることもできます。

2013年に実施された共通担保オペとの大きな違いは、今回は2年金利という短期金利が上昇しており、日銀は短期金利のケアに力点を置いている可能性がある点だと考えられます(もちろん、今回の2年の共通担保オペにより、日銀は5年金利などの中期ゾーンのケアも考えている可能性があります)。2013年の共通担保オペの政策意図としては、当時最大の期間であった1年という、相対的に長めの資金を貸し出すことで中長期の国債を投資家に購入することを促すことであったと考えられます。ただし、当時は国債などを担保に10bpsで1年貸し出すことで、中長期の国債の購入を促す政策だったわけですから、投資家からすれば短期で調達して長期で購入するので資産と負債の年限のミスマッチなど一定のリスクは残ります。それに対して、今回の共通担保オペは2年間0%での貸し出しですから、仮に2年国債の金利のケアがその主目的であれば、2年間の借り入れは投資家からすれば資産と負債にかかる期間のミスマッチは存在しないため、裁定行動はより促されるとも解釈されます。

なお、2013年に実施された1年物の共通担保オペの図を再び見返すと、当時の1年物の共通担保オペに関し、オファー額に対して、応札額を上回ったのは4月と5月の最初のオペであり、それ以外は札割れになっています。これは、日銀は、マーケットが欲しいと思う金額以上に資金を供給していると解されます。

<1年物の共通担保オペについて> 

今回は、2022年1月の頭に1兆円打たれるということですが、2013年の経験でいえば、投資家が札割れになるくらい継続して充分な供給を行う可能性も考えられます(また、金利が安定化すれば2年物の共通担保オペをやめるという形で、臨時的な措置になるかもしれません)。確かに短期ゾーンに臨時オペや指値オペを打ちまくるより、国債の直接購入する必要はないため、金利を安定化できれば効果的な措置であるとも解釈できます。なお、日銀は今回は、共通担保オペを通じて、10年まで貸し出すことができるため、中期ゾーンの安定化をしたい場合、2年の共通担保オペの効果が確認されるなら、長めの共通担保オペを打つ余地もあるとも見れます。

いいなと思ったら応援しよう!