レポの基本③:ターム物のレポ取引
再びレポの基礎的な内容について記載します。下記を前提としますが、今後必要に応じて加筆・修正します。不正確な記述や追加したほうが良い点等があればご指摘ください(随時アップデイトしていきます)。
レポの基本:現先取引と現担レポ取引|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポの基本②:「国債決済期間短縮(T+1)化」と現先の普及|服部孝洋(東京大学) (note.com)
レポとは、国債を担保に借り入れることでしたが、これには大きく分けて、①翌日物(オーバーナイト)と②1営業日を超えるターム物があります。例えば、読者が国債を担保に私から1営業日資金調達をするのが翌日物です。一方、読者が国債を担保として私から1か月資金を借りる取引がターム物です(現担オペは、その名の通り、現金を担保とした国債の貸借ですが、GCレポそのものは証券会社などがファンディングのために使うため、分かりやすさの観点から国債を担保とした貸借という説明をします)。
まず、これらの実際の取引量について確認します。いつも通り、レポ市場のデータといえば、日銀の「わが国短期金融市場の動向」になりますが、資金調達サイドも運用サイドも、翌日物が一番多いことがわかります(白い部分ですが、おおよそ3-4割程度)。ただ、1週間以内や1か月超もそれなりにあり、1か月超も2-3割あるということがわかります。このことから、翌日物の取引が多いものの、1か月を超える取引も頻繁になされているということがわかります。
図表 GCレポ市場

ちなみに、SCレポ取引だと、翌日物よりターム物の方が多いということがわかります(SCについては別の機会に書きます)。
図表 SCレポ市場

サブスティティーション(ターム物のGCレポの場合)
GCでターム物の取引をした場合、途中で、担保として受け渡した銘柄を入れ替えたいということがありえます。例えば、今、1か月のGCレポ取引をして、読者が私から資金調達をしたいとします。この際、読者は、その時に潤沢にあった360回をひとまず、担保として私に渡して資金調達をしたとします。この場合、GCレポ取引なので、私は信用リスクの観点で担保を求めており、(360回債ではなく)安全性が高い国債を受け取れればいいと考えている点に注意してください。
その後、例えば、マーケットの360回が市場で流通しなくなり、読者は、以前私に渡しておいた360回を取り戻したいということがありえます。その場合、そもそも、信用という観点で担保を渡していたわけだから、私に対して「361回債を渡すから360回を返して」という取引をしたいはずです。私としても、1か月間資金を貸し出しするうえで、担保を求めていたので、361回という担保を得られるなら問題ないように思われます。このように、双方の合意に基づいて、GCのターム物に関し、事後的にほかの担保に入れ替えることをサブスティティーションといいます
これは担保を指定しないGCレポ取引であるから可能になるという点に気をつけてください。これは市場でどれくらいなされているかのデータはないですが、レポ取引の双方が合意する限りにおいて、普通にあるということのようです。
整理すると、例えば、読者が1か月借りたい場合、一案としては、毎日翌日物で借りていくということがあります。この場合、1か月間毎日、「借りて返して、借り手返して」ということを繰り返していくので、その時々のレポコストをはらっていくことになりますが、例えば、途中でレポコストが上がるなどのリスクがあります。一方、最初からターム物のレポで、例えば、1か月間の借入れをしてしまえば、その時点でのレポレートで1か月間確定させることができるます。しかし、その一方で、担保として渡していたものが途中でほしくなる可能性があります。サブスティティーションはその後者のデメリットを無くすように機能していると整理できるわけです。実際、東京マネーマーケットでは「利便性向上策」という説明がなされています。
オープン・エンド取引
なお、東京マネーマーケットをみると、「オープン・エンド」と呼ばれるという取引も紹介してあり、「約定時に取引の期日(エンド)を定めない取引のことである」(p.160)としています。これはいわばターム物について終わりを定めないということですが、これはいわばオプションの取引のようなmのです。つまり、期間を定めずいつでもやめることができるということですから、そのオプションを有しているものは、その分、市場実勢より高めのコストを支払う必要があるということを意味します。
なお、セントラル短資のウェブサイトでは、オープン・エンド取引について、「取引の当初、つまり個別契約締結時には、取引決済日(エンド日)を定めず、その後に、取引当事者のいずれかが取引決済日を指定・通知することで、当該日に取引を終了する。この取引手法については今後への期待はあるが、現状においては普及するまでに至っていない。」というコメントをしています。
債券レポ市場の取引要領|セントラル短資株式会社 (central-tanshi.com)
