みさと地域医療塾で講演をしたら、AIボイスレコーダーが要約した上で、課題までつくってくれた
美郷町で開催された「みさと地域医療塾」で、講演をしました。
タイトルは、Make our future
AIボイスレコーダーのPLAUDが講演後に要約した上で、課題までつくってくれました。
出席者は約80人。
美郷町の副町長さんや町会議長さんをはじめ地元の方々や、県内の市町村や県の福祉保健部長などの行政機関の職員の方々、椎葉村出身の宮崎大学医学部の古川貢之心臓血管外科教授や医療人育成推進センターの先生方、自治医大卒の先生方などが集まりました。

講演時間は、約20分。
第一部で地域医療の現状について、西臼杵医療センター、県北の地域医療を考える会、宮崎大学医学部医療人育成推進センター、宮崎県医療政策課から、それぞれ報告がありました。
第三部で、地域医療クロニクルということで、地域医療に携わってその所管と提言について、北浦診療所の所長さんや、高千穂町国民健康保険病院のドクター、美郷町国民健康保険西郷病院のPTさんからの発信がありました。
私の講演は、第一部の報告事項をまとめたうえで、第三部に展開するというつなぎの役目でした。
皮膚科でいえば、デスモゾーム(細胞間接着複合体)。なんのこっちゃ?
能の合間の「狂言」のようにやろうと、第二部の司会のダリルホールとジョンオーツの松田俊太郎先生と、打ち合わせました。
みさと地域医療塾では、今回はじめて宮崎大学医学部地域枠の学生10名が参加したので、ターゲットを医学部の学生さんにしました。
質問は学生さんを指すことにしました。

以下は、実際の講演をPLAUDがまとめたものです。
課題までつくってくれたのには、驚きました!

📝 要約
講演は、公衆衛生と地域医療の歴史と将来像をテーマに、宮崎県出身の公衆衛生医師・高木兼寛をロールモデルとして紹介しつつ、日本の医療政策の構造(提供体制と費用)や総合診療の重要性、大学病院改革、地域での医療実践の必要性を説いた。
講師自身の経歴(厚生労働省で34年勤務)と自己投資・行動の勧め(新NISA、iDeCo、読書、学会参加など)を具体例で示し、VUCA時代に適応するために快適領域から恐怖領域、学習領域、成長領域へと進むプロセスを奨励した。
最後に学生の質問へ回答し、「人と同じことをしない選択」を強調。
🔖 知識ポイント
1. 講演の目的・構成とキーワード
メイク・アワー・フューチャー(Make Our Future)
- 「夢を語る」趣旨で、西臼杵医療センター国民健康保険高千穂病院の看護部長さんの言葉を引用し講演テーマ化。
- 過去(歴史)を紐解き、年代を振り返ることで新しい知見を創出する姿勢を提示。

困難時の指針「歴史にさかのぼれ」
- 困ったときこそ歴史・年代を紐解き、新しい視点を得るというメタメッセージ。
2. 講師のプロフィールと形成
出自と学業

- 62年前に宮崎県椎葉村で出生。25年後に成長し産業医科大学を卒業(卒業式写真に言及)。
- 初代産業医科大学学長・土屋健三郎先生からの二訓:「哲学する医者になれ」「感謝されない医者になれ」。
「感謝されない医師」の意味
- ドイツ衛生学者・ペッテンコーフェル(日本の衛生学の源流)による訓示に基づく。
- 臨床医は感謝されるが、予防医(衛生学者)は感謝されない。予防に従事する医師を志向。
厚生労働省での勤務
- 医系技官として34年間勤務。入省当時は厚生省、その後労働省と統合し厚生労働省に。
- 日比谷公園近傍の庁舎で勤務。宮崎の偉人(高木兼寛、石井十次)を学ぶ契機に。

3. ロールモデル:高木兼寛(宮崎出身の公衆衛生医師)

三大業績
- 海軍における脚気予防と疫学調査:世界的にも評価され、英語の公衆衛生テキストでは必ず言及。
- 東京慈恵会医科大学の創設:当時主流のドイツ医学に対し、イギリス医学を導入。官に対抗して民で医師養成を開始しダイバーシティを推進。
- 日本初の看護師養成:ナース養成を開始し看護教育の基礎を築いた。
宮崎における顕彰・関連物
- 海軍医カレー(宮崎市の高岡ビタミン館や県庁横のKONNEなどで販売)。
- 宮崎県医師会館に高木兼寛の書「徳は造化に参(まじ)わり、道は古今を貫く」と若いころの胸像が展示。文化的遺産として紹介。
意義づけ
- 公衆衛生医師の鏡であり、高木兼寛を凌ぐ公衆衛生医師は今後出ない可能性。
- 宮崎における偉人として、「神武天皇以来第2の存在」と位置付け。
4. 日本の医療政策の枠組みと課題
二本柱
- 医療提供体制:医政局が担当。病床、医療機器、アクセス、水準・範囲・価格の設定など。
- 費用(財源):保険局が担当。保険料・税・自己負担の3構成で地域差は基本なし。
ステークホルダーと対立軸
- 財務省、総理官邸、経済学者などが強い影響力。多様な利害関係者間で合意形成は至難。
- メディアの報道では批判が目立つが、世界に冠たる制度であることを強調。

歴史的事例:宮崎医学所
- 大淀川の橘公園に「宮崎医学所跡」の碑(医師会建立)。明治期に5年間存在した幻の医学講演所。

- 当時は県が自前で医師養成を試みたが頓挫。約100年後に国立の宮崎医科大学が設立。
- 現在の地域枠による地元医師養成と本質的に同じ課題構造。

5. 総合診療・大学病院改革とモデル
総合診療専門医制度の創設
- 19番目の領域として総合診療を追加。自治医科大学長だった高久文麿先生が主導。
- モデルはベルツ(明治期に約30年滞在、東大で医師養成。家庭医の必要性を主張)。

「病気を診ずして人間を診る」
-漫画「19番目のカルテ」のドラマ化時のキャッチフレーズ。高木兼寛の理念とも一致。
- 総合診療は患者全体像を捉えることを重視し、公衆衛生の視座とも連関。

三階層モデル
- 臓器別専門医(大学病院中心):診る範囲は限定的。
- 総合診療医:より広い範囲を横断的に診る。
- 公衆衛生医療:地域から地球規模まで俯瞰。

大学病院改革(特定機能病院)
- 全ての大学病院に総合診療科設置を義務化。学問的ではないとの反対を越え「革命」と表現。
- 医師派遣制度なども変化し、地域医療構想の下で大学病院の役割が再定義。
6. 地域医療の現場と受療行動
ホワイトの研究(アメリカ、1,000人・1ヶ月の健康問題と受療行動)
- 1,000人中750人が何らかの健康問題に遭遇。
- 250人が医療機関を1回受診。
- 入院は約9人、大学病院に行くのは約1人。
- 教訓:大学病院での学習に偏重せず、地域で学ぶことが重要。総合診療の主戦場は地域。

地域の具体例・推奨
- 西米良村、椎葉村、美郷町(東臼杵)などでの実践を推奨。
- 大学外のフィールド(宮崎市以外のBC群地域)で住民の受療行動に即した医療提供を学ぶべき。
7. VUCA時代の医療の変化と適応
変動・不確実性・複雑・曖昧の増大
- 技術進化(AI)で医療が大きく変容。例:術中の麻酔科医の役割が不要になる可能性に言及。
- 新興感染症(コロナ)や災害で政策・実務が急変。毎年医療政策が変わる可能性。
- 看護師の役割拡大(特定看護師が手術中の業務を担う等)も将来起こり得る。

患者ニーズの多様化
- 入院回避、在宅志向の強まり。医師・看護師・薬剤師の在宅対応力が求められる。
- 過去の成功モデルの陳腐化。新しいモデルの自作が必要。
マーケッター思考と価値観転換
- 顧客(患者)本意で医療を組み立てる。
- 「利他」の精神・滅私奉公から「活私開公」への転換を示唆(創案者は自治医大学長の永井良三先生)。

8. 自己投資と行動の具体策
5つの自己投資
- 新NISA:投資益が非課税。経済理解の基盤に。
- iDeCo:年金の補完。日本が崩壊しない限り年金は消えないとの見解。還暦まで引き出せないが税控除あり。社会保障の積み立てと自己形成の困難さを体感。
- 本を買う:医学以外(経営、心理、技術、戦略、英語)を学び、世の中の理解を拡張。
- 自ら動く:受け身をやめ、地域へ出て現場を知る。日本地域医療学会学生会員(年会費100円)への参加を推奨。
- まとめて発表:知見の集約と発表により、人との出会い(縁)とチャンス(運)を呼び込む。

出会いが運を運ぶ
- 「運」は運ばれてくるもので、人と会わねば縁も運も来ない。
- 事例:日本地域医療学会での出会い(松田先生、元厚労省事務次官=総理秘書官経験者、医療政策課の山内主幹など)。
情報発信
- 「ハベレオ通信」へ約500本の記事を掲載。多ジャンルを網羅し、宮崎関連も充実。学習に有益。

9. 成長プロセス:快適領域からの脱皮
領域モデル
- 快適領域:慣れた仕事・行動で安定感はあるが幸運は訪れにくい。
- 恐怖領域:不安があるが、踏み出すことで学習領域へ。
- 学習領域:新たな知識・技能を獲得。
- 成長領域:進化のプロセスの到達点。

地理的比喩と提案
- 宮崎市内にこもらない。
椎葉村、東臼杵郡、美郷町へ出て学習・成長領域へ進め。
実例(ローカルからナショナルへ)
- 東村アキコさん(宮崎市出身の漫画家):宮崎から日本一の漫画家へ。「かくかくしかじか」映画化。

- GADOROさん(高鍋町出身のラッパー):四畳半から武道館公演実現、日本一のラッパーに。
アルバム「TAKANABE」をリリース。次は横浜アリーナ公演予定。
講演中に「GADOROを応援してほしい」と推奨。

10. 質疑応答の要旨
宮崎大学地域枠の学生さんの質問
「これまでの人生で、迷ったときにはどのように選択したのか?」
- 「人と同じことをしない」選択が重要。
学生時代にグループで唯一異なる教科書を用いて、その他大勢から抜け出せた経験を紹介。
- 宮崎市内にこもらず、美郷町の病院へ行くなどの行動が正解と示唆。

📚 課題
1. 高木兼寛の三大業績(脚気予防・疫学調査、東京慈恵会医科大学創設、看護師養成)について文献調査し、地域医療への示唆をレポート化する
2. 日本の医療政策(二本柱:提供体制と費用)に関するステークホルダー分析図を作成し、地域差の要因と改善提案をまとめる
3. 1,000人・1ヶ月の受療行動(ホワイトの研究)を参照し、自分の地域での想定データを作り、総合診療の配置計画案を作成する
4. 大学病院の総合診療科設置の背景と効果を調査し、所属施設の教育カリキュラム改善案を提案する
5. 新NISAとiDeCoの制度要件・税制メリットを整理し、医療者の生涯設計に資する自己投資計画書を作成する
6. 医学以外(経営、心理、技術、戦略、英語)の書籍リストを作成し、3ヶ月の読書計画とレビューを提出する
7. 日本地域医療学会学生会員に入会し(年会費100円)、参加レポートと得られた「縁と運」の記録を提出する
8. 自分の快適領域・恐怖領域・学習領域・成長領域を可視化し、今後6ヶ月の具体的行動計画(地域での実習・訪問地:西米良村、椎葉村、美郷町など)を策定する
9. 在宅医療の患者ニーズを調査し、医師・看護師・薬剤師の連携プロトコル(在宅対応)を作成する
10. 「ハベレオ通信」の記事から公衆衛生・地域医療に関する10本を選び、要約と実務への適用可能性をレビューする

いかがでした?
課題10は、宮崎大学医学部での講義後の学生への課題として、本当に出そうと思いました!
