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宮崎県民の弱点は栃木県と群馬県の区別がつかないことで、「有意注意」は大事である

稲盛和夫さんの著書「生き方」シリーズです。

この本は、どこをぶつ切りにしても味わい深いものがあります。

京セラグループでは、特殊な感光ドラムを使ったプリンターやコピー機を製造しています。

この特殊な感光ドラムは、極めて硬度が高いため、何十万枚という大量印刷しても摩耗しません。

プリンターの寿命がくるまでドラム交換をする必要がないというスグレ物です。

環境に優しい製品として、京セラが世界にさきがけて量産に成功しました。

この感光ドラムは、よく研磨したアルミニウムの筒の表面にシリコンの薄い膜を形成するのですが、表面全体に均一の厚さで膜を張らないと感光体の役目を果たすことができません。

この膜の厚さを一定に保つのは、技術的にも極めて難しいことでした。

1000分の1ミリ単位の厚さの誤差やムラがあってもいけません。

研究をはじめて3年ほどたった頃に1度成功したことがあります。

もう一回つくろうとしたら、もうできませんでした。

続けてつくることができる「再現性」が達成されない限り、メーカーの量産技術としては、確立したとは言えません。

当時、この研究は世界中で行われていましたが、どこも量産体制の構築に成功したところはありませんでした。

稲森さんも、いったん断念しかけました。

もう一度だけ、初心に戻って現場を見つめ直すことからやってみようと思ったそうです。

膜の形成過程で起こる現象や変化を、一つひとつ自分の目で確かめていけば、必ずその目は何かをとらえ、耳は語りかけてくる声を聞くことができるはずだと思いました。

まさに、「姿無きを視て、声なきを聞く」、同じ鹿児島出身の警察の創始者、川路大警視のようです。

担当の研究員に、どんなときに、どんな現象が起こるのか、とにかく些細なことも見逃さず、注意深く観察するようにハッパをかけました。

ある夜、警察の捜査のように現場をのぞいてみると、熱心に観察しているはずの研究員が居眠りの「舟をこいで」います。

聞こえてくるのは、製品の声ではなく、研究員の寝息でした。

稲森さんは、この研究員を、観察眼の鋭い他の研究員と交代させました。

同時に、研究所も鹿児島から滋賀に移し、リーダーを含め他のスタッフも大幅に入れ替えます。

新人をたくさん起用しました。

何年間も固定メンバーでやってきた組織を、根底からつくり直したのです。

常識で考えれば、リスクの方がはるかに大きいものでした。

このような無慈悲な仕打ちは、稲森さんと鹿児島出身の大久保利通しかできないでしょう。

しかし、大なたを振るったことで、それが奏功して、1年後には量産に成功することができました。

自分の仕事やつくる製品への深い思い入れ、現場でのつぶさな観察を怠らない熱意が、前任者たちには欠けていました。

新人が多い後任者たちには、「現場観察眼」が備わっていたのです。

有意注意」という言葉があるそうです。

意をもって意を注ぐ」という意味で、目的をもって真剣に意識や神経を対象に集中させること。

有意注意は、あらゆる状況の、どんな些細な事柄に対しても、自分の意識を「意図的に」凝集させることです。

「観察する」という行為は、「有意注意の連続」でなければならない。

大谷翔平選手が尊敬している中村天風さんは、「有意注意の人生でなければ意味がない」とおっしゃっております。

人間の集中力には限界があるので、つねに意識を一つのものに集めることは難しいですが、そうであるように心がけていると、だんだんとこの「有意注意」が習慣化されて、物事の本質や核心がつかめ、的確な判断を下せる力が備わってきます。

「有意注意」は医療の世界にも使えます。

プライマリケア医の外来では、まさに「有意注意」が必要な現場だと思います。

藤沼康樹先生の「卓越したジェネラリスト診療」入門ー複雑困難な時代を生き抜く臨床医のメソッド(医学書院)には、プライマリケアの外来では、「事前確率」の見積もりが必要だと言っております。

患者さんの居住地、特に「コミュニティ・バイタルサイン」と呼ばれる貧困・就業状態・教育・環境・安全性・交通などの要因と、「年齢」「性別」「来院までの経過」は、事前確率に相当影響を与えると、藤沼先生は言っております。

この事前確率の見積もりこそが、プライマリ・ケア医に必要かつ独自な臨床推論におけるスキルであると断言しています。

「腹痛」の診断に関しては、どんな医療現場でも共通の context free な(周囲の状況に左右されない)アプローチ法を学ぶことができますが、「事前確率の見積もり」は、context oriented (周囲の状況を読み取って適用するもの)であり、現場でしか学ぶことができない、ともいっております。

家庭医に共通する言語として、「ほとんど医者にかかったことがないか、久しぶりに来院した中年以降の有症状の男性患者は重大疾患、特にがんの可能性が高い」があります。

これまで症状があってもめったに医療機関を利用しなかったタイプの男性が、わざわざ受診するという「異常事態」自体が、事前確率を相当上昇させます。

一方、慢性患者の定期的な診察で、「そういえば先生、先週の火曜日、ちょっと胸が苦しくなったんだけど大丈夫かな?」と聞かれた時には、家庭医はそれほど重大には受け止めません。

このパターンで重大疾患である事前確率は相当低いので、胸痛の持続時間と場所を聞くだけで「大丈夫」と答えるだけだそうです。

このときに、胸痛から始まる診断推論プロセスに入っていっても、無駄な時間を費やすだけです。


「有意注意」は、大事です。

U字工事ではありません。それは栃木県の漫才師です。

ちなみに、宮崎県民の弱点は、栃木県と群馬県の区別がつかないことです。

「有意注意」を学ぶためには、U字工事さんの漫才がお勧めです。ちがうか。

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