緊急避難薬は、スタートであってゴールではない。薬剤師と産婦人科医相互の持続するキャッチボールが必要である
一般社団法人家族計画協会の会長をされている北村邦夫先生が、宮崎で講演をされました。
私が厚生省の母子保健課の課長補佐だったときに、健やか親子21(第一次)の策定委員のメンバーでした。
重点課題の一つである「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」に大いに貢献をされた先生です。
「10代の妊娠」や「性感染症」など、計画の目標達成のために、さまざまな活動をされております。
そのとき以来の再会でしたので、懐かしかったです。
相変わらず、バイタリティーのある情熱的なご講演でした。
来月の2月2日から薬局で店頭販売される緊急避妊薬について話があったので、ご紹介させていただきます。
文章には、私の感想も入っているので、念のため申し添えます。

概要をまず、Geminiに聞いてみました。
緊急避妊薬のOTC化(処方箋なしでの販売)は、長年の議論を経て、2026年2月2日(月)から日本全国で本格的に開始されます。
これまでは特定の薬局での「試行調査(試験販売)」という形でしたが、いよいよ一般の医薬品(要指導医薬品)として、要件を満たす
全国の薬局で購入できるようになります。
今回の制度化のポイントです。
1 販売のルールと条件
「誰でも棚から取ってレジへ」という一般的な市販薬とは異なり、いくつか重要なルールがあります。
・購入先:すべてのドラッグストアではなく、研修を受けた薬剤師が常駐し、プライバシーに配慮した個室等がある薬局に限られます。
・販売形態:「要指導医薬品」に分類されるため、薬剤師による対面での説明が必須です(オンライン販売は不可)。
・服用方法:悪用や転配防止のため、薬剤師の前で服用する「面前服用」が基本とされています。
2 対象となる薬と価格
・製品名:「ノルレボ®錠1.5mg」(第一三共ヘルスケア)
・価格:メーカー希望小売価格は、7480円(税込)です。
これまでの医療機関での自由診療(1万~2万円程度)に比べると安価になりますが、若者にとっては依然として負担が大きいという指摘があります。
3 OTC化への道のりと課題
2017年の検討会では「時期尚早」として一度見送られましたが、市民団体の活動や国際的な流れを受け、2023年からの試行調査を経てようやく承認に至りました。
メリット
スピード:性交後72時間以内の服用が必要なため、休日や夜間でも入手しやすくなります。
残された課題として、地域差があります。1月時点では、一部の県で取り扱い薬局の調整が遅れています。
心理的ハードル:産婦人科の受診をためらう層がアクセスしやすくなります。
残された課題として、面前服用があります。薬剤師の前で飲むことへの抵抗感やプライバシーの懸念があります。
利用を検討される方へ
厚生労働省のホームページなどで、販売に対応している薬局のリストが公開されています。
急を要する場合は、事前に最寄りの薬局が対応しているか電話等で確認することをお勧めします。
また、性教育やその後の継続的な避妊方法(低容量ピルなど)の相談が必要な場合は、OTC購入後でも産婦人科を受診することが推奨されています。

以上ですが、本当に分かりやすくまとめていると思います。
私は、緊急避妊薬のこれまでの経緯についてほとんど知りませんでしたので、まとめてくれたAIは凄いと感じました。
これで終わったら、北村先生から叱られますので、続けさせていただきます。
宮崎県では、薬剤師会と産婦人科医会との事前の調整は終了し、2月2日から84の薬局で販売が開始されるとのことです。
面前服薬をするために、薬局ではプライバシーに配慮した個室等の環境対策と飲料水を準備することになります。
この「面前服薬」については、北村先生はかなり強調しておられました。
「今、ここで飲まないと駄目ですか?」
「トイレで飲んではだめですか?」
そう質問されても、答は「ノー」です。飲まないと帰すことはできません。
男性薬剤師の前であろうが、飲んでもらう必要があります。
面前での服用によって、処方する医師、薬剤師の責任が軽減されることになります。
「飲んだ」「飲まなかった」のトラブルを極力さけるためにも必要です。
ご自身の経験例として、友人が本人の代わりに来た「なりすまし」の例や、男性から「彼女が仕事で忙しいので自分が受け取りに来てもいいか」と電話があった例を紹介されました。
なりすましの例は、緊急避妊薬の研究の目的で、超音波を使って子宮内膜の厚さを測定させてもらっていた時期があり、診察台に上がってもらおうとした時に、「実は自分ではない」と言って発覚したそうです。
男性からの問い合わせ例は、「相手がどうしても産みたいと言っているのだが、僕には自信がない」とばかりに、服用を女性に強要する危険性を感じたそうです。こうした「悪用」の外、「転売」の可能性もあります。
服用には、親の同意はいりません。
母親から北村先生に、電話があったそうです。
「高校生の娘の机の上に、お宅のクリニックの薬袋があった。何の薬を出したのか?」
「医療従事者には守秘義務があるので、お答えできません」と北村先生は答えました。
「私は母親なんですよ。知る権利がある」
「おそらくその薬袋は、うちのクリニックのでしょうから、娘さんと相談されて、ご一緒に受診され、娘さんの許可が得られれば、納得されるまでお話させていただきます」
年齢制限もありません。
特に若い世代には、緊急避難の背後に性暴力などの問題が隠されていることが少なくないのです。
性交同意年齢は16歳からとなっていますが、そんなことはお構いなしで暴力を続ける相手がいる以上、年齢制限などもっての外であるとおっしゃっていました。

緊急避妊を必要とした理由です。n=992
コンドーム破損 330(33.3%)
コンドーム脱落 282(28.4%)
避妊せず 186(18.8%)
膣外射精 67( 6.8%)
その他 127(12.8%)
レイプなどの性暴力、DVなどが隠れていることがあり、そうした気付きや相談機会が喪失しないような取組が重要だとおっしゃっていました。面前服薬する薬局では、性被害があったことが指をさすことにより分かるシートが用意されています。
ドイツで、OTC化された前後の緊急避妊約の利用状況は、医療機関が休む土曜日と日曜日には、薬局のOTCが増加し、月曜から金曜までは医療機関の処方薬の方が多いという結果でした。我が国でも同様な結果になるのではないかということでした。
北村先生は、「緊急避妊薬は、スタートであって、ゴールではない」と仰っていました。
緊急避妊薬は、1回の服用で、妊娠措置率は84%です。
爾後の計画外の妊娠を回避するためには、緊急避妊から低用量経口避妊薬(低用量ピル)へと進めることが課題です。低用量ピルは1年間の服用で、妊娠阻止率は99.7%です。
緊急避妊薬の服用で、その後の性交で妊娠の可能性を高める危険性があります。
緊急避妊薬は、1週間ほど排卵の遅延を起こすことがあるのです。これを知らずに性交をすると妊娠してしまうことがあります。
地域における薬局の薬剤師と医療機関の産婦人科医との連携が大事です。

緊急避難薬は、スタートであってゴールではありません。
相互の持続するキャッチボールが必要です。
北村先生の貴重な経験談や資料のおかげで、私としても、かなり理解が進んだと思います。
これを契機に、宮崎県のリプロダクティブ・ヘルス&ライツが進んでいけばと思いました。
