「安全の日」は、米国USスチール社が打ち出した経営理念「セーフティー・ファースト」が起源である
7月1日は安全の日です。
また、1日からの1週間は、安全週間です。
全国の事業場では、職場の安全の象徴である緑十字の安全旗がはためきます。
「安全第一」のポスターや標語も、駅をはじめ、工場や工事現場などで多く見られます。
もともとは、
米国のUSスチール社のゲーリー会長が
打ち出した経営理念の
「セーフティー・ファースト」
から来ています。

ゲーリー会長は、ミシガン湖畔に新しい工場都市を建設することにしました。
建設する技師に、次のように訓示しました。
自分は、労働者の負傷率を最小限にする工場を建てて、家族を真に安心させながら、労働者が存分に働ける楽土を建設したいと思っていた。
いまこそそれを実行しようと思う。
金に糸目はつけないから、君の思う通りに計画してくれたまえ。

技師は次のような構想を実行に移しました。
①工場の配列、機械の配置を整然とさせること
②機械には必ず安全装置を付けること
③踏切や曲がり角には、ゴー・ストップの標識を建てること
④清楚な住宅を建て、一戸ごとに花壇や自家製の野菜用の土地を供給すること
⑤病院を完備し、良医を採用すること
第一次世界大戦が勃発して、米国も参戦することになりました。
労働者が招集されて戦地に大量に派遣されたので、人手不足となりました。
他の製鉄工場では、機械が古く事故が多く発生するので、熟練工が求められていました。
しかも、賃金が高くないと集めることができません。
ゲーリーの工場は、設備が整備されていたので、熟練工は必要とされませんでした。
そのため労働者の充足は簡単でした。
他の製鉄工場が労働力確保に悩んでいる間に、大いに能率を上げることができたのです。
その利益も大きいもので、元手を補って余りあるものとなりました。
やはり、安全は大事です。
「○○ファースト」という言葉がはやりましたが、ゲーリー会長のことを知ると、軽々しく使えないな、と思います。

ちなみに、USスチールを日本製鉄が買収すると発表しています。
買収額は約2兆円とのこと。
USスチールの大株主は、この買収を支持していますが、全米鉄鋼労働組合が反対しています。
また、バイデン前大統領も買収反対を示唆していました。トランプ現大統領も反対しているような感じです。
「安全第一」をつくったアメリカの老舗企業は、
単なる企業買収とは違う様相を
呈しているようです。
聖徳太子の時代から続く日本最古の建設会社「金剛組」が経営難になったときに、
日本の建設会社は、
金剛組を倒産させたら我が国の建設業界の恥だとして、建設業界を挙げて支援をしました。
経済の理論や、各会社の株主からいえば、
全く非合理的な話ですが、
なんとなく建設業界の心意気が
伝わってくるような気がします。
人は効率化だけでは生きていけないものです。
米国人もまた、
鉄は国家なり、
守るも攻めるも黒鉄(くろがね)、
といった鉄の心を持っている
ように思えてしまいます。
