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恋は奪うもの、愛は与え続けるものである

私が厚生省に入省したのは、昭和63(1988)年でした。

すぐに労働省に出向となり、労働基準局に勤務しました。

当時は、まだ厚生省と労働省は別の省庁でした。

このときの労働基準局では、「週休二日制」を導入しようとキャンペーンをやっておりました。

今でこそ週休二日制は当たり前で、週休三日を導入する企業も出てくるような時代となっていますが、この頃は「夢のまた夢」といった状況でした。

労働基準局では、キャンペーンソングをつくって、アイドルに歌わせて機運を盛り上げようと考えました。

こうして誕生したのが、橋本美加子さんの「ツイン・ホリデー」です。

今もネットでググると出てきます!

当時の労働基準局安全衛生部にはコピー機が一台しかなく、コピーを取るために長蛇の列ができておりました。

私の前にいた安全課の係長が鼻歌を歌っていました。

「それって何の曲ですか?」と聞いたところ、「君は労働基準局の人間なのに知らないのか?」とあきれられましたが、親切に教えてくれました。

ラーメン屋で偶然開いた週刊誌に、労働省推薦「ツイン・ホリデー」の橋本美加子ちゃん、と写真が出ていました。

月刊誌「文藝春秋」の「霞ヶ関コンフィデンシャル」にも紹介されました。

ツイン・ホリデーは、若干の話題にはなりましたが、残念ながらヒットはしませんでした。

しかし、現在は、週休二日制はしっかり導入されて定着しました。

上椎葉ダム

この労働基準局の成功体験(?)ふたたび、を狙った作戦を、私が安全衛生部長のときに手がけました。

新しく制定した「墜落制止用器具ハーネス」を建設業界でしっかりと普及させようと、キャンペーンソングをつくることを考えました。

「恋のハーネス」という歌を作って乃木坂46さんにハーネス姿で歌ってもらってはどうか、年末の旧労働省幹部の飲み会でそんな話をしました。

正月明けに、労働基準局の審議官が、安全衛生部長室にやってきたのです。

手渡しされたのは、審議官が年末年始に作詞作曲をした楽譜でした。

タイトルが、「恋」ではなく「愛のハーネス」となっておりました。

私は楽譜が全く読めませんので、困ってしまってハーネス担当の安全課長を呼びました。

なんと、安全課長の奥さんはピアノ弾きで、奥さんの弟はチェロをやるという音楽一家でした。

一週間後、安全課長の奥さんのピアノの弾き語りとその弟さんのチェロで録音されたCDを聞いたところ、「これはいける!」と確信しました。

愛のハーネス

君の瞳の奥に 明日の世界がある 
その世界をつくるために それはある
それは光 それは希望
すばらしい世界を築き上げるために
命を守る愛のハーネス

果てしなく拡がる 夢を抱きながら
自分の道を進むために それはある
それは眼差し それは理想
最高のゴールを見つけに行くために
命を守る愛のハーネス

突然の悲しみを 決して繰り返さない
揺るぎない決意を示すために それはある
それは誓い それは誇り
ゼロ災の社会を創り出すために
命を守る愛のハーネス


その後、安全課長の手配で、プロに演奏してもらい、YouTubeにアップしました。

これは、今でも視聴できます。

「愛のハーネス」で検索してください。

世界に広めようと英語版もつくり、ILO(国際労働機関)にも提供しました。

「恋のハーネス」で乃木坂46さんのハーネス姿を想像しておりましたが、「恋」から「愛」へと、素晴らしい方向に転換しました。

建設現場では、旧式の「安全帯」はなくなり、新式のハーネスに置き換わっています

岩屋戸ダム

ところで、皆さん。

恋と愛の違いが、判っていますか?

恋と愛の違いだけでなく、
鯉と鮎の違いもわからない
日本人がなんと多いことか!


しかし、吟遊詩人のさだまさしさんは知っています。

恋とは奪うもの
愛とは与え続けるもの

です。

だから戦国時代の武将の直江兼続の兜も愛です。

書いてて、よくわからなくなりましたが……。

さて、皆さま今年は、ハベレオ通信をご覧いただき、まことにありがとうございました。

来年も、どうか、ご安全に

塚原ダム

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