日本人が知らないX線撮影装置のイノベーションは、海外で活躍している
厚労省の健康局がん対策・健康増進課長のときに、富士フイルムから人事交流で来ていた職員がおりました。
その職員と久々に会って、話しをしたことがあります。
富士フイルムがポータブルのX線撮影装置を開発したという話を聞きました。
ごく微量の放射線しか発生しないのですが、高感度の映写板により、臨床診断が可能な高品質の画像が得られるそうです。
総重量は3.5Kgで、持ち運びが可能です。
その名前は、Xair(エックスエアー)。
もともと在宅医療で使用されることを想定して開発されました。

ユーザーは意外なところにいました。
アフリカなどの発展途上国から、次々に問い合わせがありました。
こうした国では、病院のインフラが整っておりません。
診断に不可欠なエックス線装置も、コンクリートや鉛による構造設備が必要で、なかなか整備されていません。
Xairは、こうした構造設備は不要です。
持ち運びができて、しかも、太陽電池で充電ができるので、電気が通じていない地域でも使用可能です。
患者の家に行って、撮影をして画像をチェックすれば、結核などの呼吸器疾患が直ちに診断できるそうです。
さらに、AIによる自動診断補助システムを使えば、かなり正確な画像診断もできるとのことでした。
ドイツ人のレントゲンが開発したエックス線装置は、病院に据え置いたものが常識でした。
第一次世界のときにフランスのキューリー夫人は、エックス線装置を自動車に搭載させて可動式にしました。
そして、今般、日本の富士フイルムがポータブル式に変えたのです。
まさにX線装置のイノベーションです。

私は、富士フイルムの職員から直接聞いて、初めてXairの存在を知りました。
国際医療研究センターの国際局の先生方と会ったときに、Xairの話を聞いたら、よくご存じでした。
ODAやJICAを通じて発展途上国に対する国際医療協力を手がけている国際医療研究センターの医師にとってみれば、常識だったようです。
日本結核予防会の広報誌を見ると、ネパールでの結核対策でXairは相当な成果を上げています。
日本のマスコミは、日本からは医薬品や医療機器のイノベーションは起こらないとネガティブ・キャンペーンばかりしていますが、どうしてこういうX線診断装置のイノベーションを報道しないのでしょうか。
「日本は遅れている」と上から目線で嘆く暇があったら、「調べて報道してよ」と言いたくなります。
否定は楽です。
調べなくていいから。
皮肉を書いてしまいましたが、もし、報道されていたらごめんなさい。

富士フイルムの画像撮影装置は、何故かフランスで売れているそうです。
日本の浮世絵がフランス印象派の画家に影響を与えたように、画像感覚が日本人とフランス人は似ているのかも知れません。
二つの国の親和性について書かれたこの本にヒントがあるかも。
