臨床研修医が集まる病院にはスタバが必要だと多くの大学病院がスターバックスを呼び込んだが、本当に必要なのは大学病院がスターバックスの経営理念を学ぶことである
スターバックスはなぜ値下げもCMもしないのにずっと強いブランドでいられるのか?【新装版】(ディスカヴァー・トウェンティワン)を読みました。
筆者はジョン・ムーアさん。
翻訳は花塚恵さんです。
スターバックス社のことは私は何もしりません。
ただ、昔、アメリカに行ったときに、ホテルのモーニングサービスで苦労して頼んだコーヒーが、ドブ水のような味だったのを覚えておりました。
本のこの記述を読んで、こいつは本物だと確信しました。

90年以前に成人した米国人にとって、コーヒーは、「必需品ではあるが、とうてい楽しめるものではない日用品」でしかなかった。
咳止めシロップに美味しさを期待しないのと同じで、ほとんどの人が朝の活性剤として、あるいは昼食後の眠気覚ましとしてグイッと飲む以外は、一杯のコーヒーに大した期待を抱いていなかったのだ。
スターバックスが設立された頃、コーヒーは、習慣的に消費する熱い焦げ茶色の液体で、カフェインを摂取できるものとしか思われていなかった。
この記述に激しく同意した私は、スターバックスのこの本のとりこになりました。

この本を読むことが、赤字にあえいでいる病院の経営改善の突破口になると感じました。
感動したのは、自己満足に陥るな、現状維持に抵抗せよ、うぬぼれを打ち砕け、です。
スターバックスが、いつまでも企業精神を忘れずにいるのは、3つのCに屈しないことにしているからだそうです。
3つのCとは。
Complacency(自己満足)
Conservation(現状維持)
Conceit(うぬぼれ)
この3つのCのせいで、多くの企業の成功や成長が狂わされたきたのだと指摘しています。
自己満足は、現状の自分に満足してしまっている状態です。
この状態にあると、順調に進んでいると思い込んで、その妨げとならないよう、新しいことは何もしようとしません。
新しいことに挑戦し、違った見方で物事を捉えると、企業は現状のビジネスの上にあぐらをかいてはいられません。
現状維持を選択し、リスクを負うことをやめた企業は、保守的な意思決定を下すようになってしまいます。
企業が保守的になると、今あることを大きくするのではなく、守ることを前提に決定を下します。
うぬぼれた企業は、外的な消費者ニーズよりも内的なビジネスニーズを優先するようになります。
3つのCに陥らないように努めているから、スターバックスは常に活動的になることができ、コーヒー業界やグローバル市場で生き残ってこられました。
何よりも、従業員がリスクを負い、大きな目標を抱き、成功の度合いに関係なく謙虚な姿勢を忘れなければ、どんな企業も生き残っていけると証明してくれたのです。

「外的な消費者ニーズ」を、「患者ニーズ」に置き換えると、病院が何をすべきかがわかると思います。
これまでの、特定機能病院(大学病院)は、自己満足、現状維持、うぬぼれは、なかったでしょうか。
臨床研修医が集まる人気病院にするには、スタバが必要だと、多くの大学病院がスターバックスの出店を呼び込みました。
でも、本当に必要なのは、大学病院が、スターバックスの経営理念やマーケッティングを学ぶことではないかと思います。
医学生のうちからスターバックスでアルバイトをすれば、その精神を内から学ぶことができます。
スターバックスの従業員は、①誠実さ、②真面目さ、③知識欲、④積極性、の4つが重要だとされています。
特に④の積極性が大事で、地域に関わろうとする人材がスターバックスでは重要視されます。
これは地域医療に通じるものがあります。
そうです。スターバックスは、地域医療なのです。
