人間到る処に青山あり、水間到る処に緑膿菌あり
緑膿菌という菌があります。
水回りによくおり、ふつうでは感染しませんが、病気で免疫力が落ちているときに感染することがあります。
大変やっかいな菌です。
普通の人は、緑膿菌と聞いて「何それ?」と思うだけですが、医療従事者は顔をしかめます。
院内感染における代表的な菌で、医療従事者が一番嫌がる菌が緑膿菌。
もし、病院の医療スタッフで「何それ?」と言ったら、こいつ大丈夫かと疑ってもらって結構です。
TBSのドラマ「JINー仁」では、幕末の上野彰義隊の戦いで、綾瀬はるかさんが腕を鉄砲で撃たれて治療を受けます。
江戸時代にタイムスリップした大沢たかおさんが、指揮して製造したペニシリンでは効果はありませんでした。
緑膿菌が感染していたのです。
そのため、大沢たかおさんが特効薬ホスミシンを取りに現代に戻るという話がありました。

防衛省にいたときに横須賀にある海上自衛隊の潜水艦医学実験隊を視察したことがあります。
潜水訓練で問題となるのが、緑膿菌感染だという話を聞きました。
やはり水の中に含まれているのです。
温泉などにあるジェットバスは、日々の洗浄・消毒を怠ると、極めてハイリスクなものになります。
40度Cくらいの暖かい湯に、皮膚のくず、皮脂、分泌物が加われば、細菌の繁殖の場に様変わりします。
しかも新鮮な空気が循環するジェットバスは、細菌の増殖に極めて好都合です。
水の中にいる緑膿菌が繁殖します。
たとえば、ジェットバスの中で、強く目をこすると角膜に傷つけてしまい、この傷から緑膿菌が感染することがあります。
ひどい場合は失明します。
また、緑膿菌のエアロゾルを吸い込んで肺炎を起こすこともあります。
ジェットバスは身体にいいと思っている方々、清掃を怠ると公衆衛生学的には危険です!

「人間(じんかん)到る処に青山あり」
という格言があります。
「青山」とは、東京のおしゃれな青山通りではなく、骨を埋める場所です。
人間はどこにでも骨を埋める場所はある。故郷ばかりが墓所ではない。
つまり、
「人間は大志を抱き、故郷を出ておおいに活躍せよ」
という教訓です。
同じように緑膿菌の格言を考えました。
「水間到る処に緑膿菌あり」
アメリカの医学テキストには、格言がたくさんはいっているものがあります。
その中に、日本のことわざが紹介されていました。
「病は口から入る」
さすが、アメリカ人だと思いました。
シンプルですが、本質をつかんでいます。

政治や商いには格言があります。
・政治は一寸先は闇
・永田町の回転寿司は二度と回っては来ない
・損して得とれ
・貸すも親切 貸さぬも親切
同様に、公衆衛生の格言集があると役に立ちそうです。
・水を制するものは公衆衛生を制す
・菌は死すとも毒素は死せず
・水間至る所に緑膿菌あり
などなど。
「公衆衛生100の格言」をつくったら売れるかも。出版社からのご連絡をお待ちしております。
こないよね。
