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富山県でイタイイタイ病を担当し、環境省で水俣病と新潟水俣病を担当し、宮崎県で土呂久の慢性ヒ素中毒を担当した結論は「予防は治療に勝る」

土呂久地区の住民健康観察検診などについてお話をさせていただきたいと思います。

私は専門が公衆衛生ですので、公衆衛生の話もさせていただきます。

個人的見解です。

私の経歴ですけれども、昭和38年に椎葉村で生まれました。

宮崎西高校を卒業して、産業医科大に行きました。

それから厚生省に入りました。

その後、むつ保健所長だとか、厚労省のいろんな役職を務めて、富山県に行ったりとか環境省に行ったりとか、いろいろやりました。

令和四年に退職となり、宮崎に帰ってきて、延岡保健所長と高千穂保健所長をちょうど一年間やりまして、その時に毎週1回高千穂に来ていました。

この土呂久公民館にも来たことがあります。

土呂久地区住民健康調査も高千穂保健所が担当していますので、公民館に来て保健指導をやらさせていただきました。

これは私の子ども時代の写真です。

こちらが大学卒業式の写真です。栄養が違うのか、子どもの成長が早いです。

いつの間にか親の身長を抜いてしまうわけですけれども、いつまでたっても変わらないのは親の恩ですね。

皆さん方、卒業して看護師の免許を取って、給料をもらったら、ぜひお父さんお母さんになんかしてあげてください。親の愛への感謝は大事です。

厚労省の医系技官ということで、34年間勤務したわけですけれども、そんな中でいろいろ学んだことがあります。

厚労省の上には環境省があり、環境省にも出向しました。

私は水俣病を担当いたしました。

水俣の写真です。

本当に綺麗なところで、ぜひ1回行ってみてもらいたいなと思います。

車で3時間以内で行けるところです。

水俣出身の漫画家の江口寿史さんを知っていますか? 

我々世代だと「ストップひばりくん」だとか、「進めパイレーツ」で有名な漫画家です。

今は、女性のイラストですごく有名です。

水俣では患者団体の司会もしたことがあります。

この写真の一番向こうは私で、真ん中が事務次官で、一番こっち側が大臣です。

環境大臣と水俣病患者団体の代表との協議の場です。

マイクをオフして問題となった室長がいましたが、私も同じ室長をやっていました。

その時にはマイクは切りませんでした。

新潟水俣病も担当しました。

富山県にも出向してイタイイタイ病も担当しました。

とすると、水俣病をやり、新潟水俣病を担当し、イタイイタイ病を担当し、そして土呂久の慢性ヒ素中毒も担当すれば、すべての公害病を私が担当したことになります。

このような人物は史上初です。

日本でただ一人。

四日市ぜんそくを担当しておれば、完璧ですけれども、今後、こういう人間は出ないと思います。

私が空前絶後の全ての公害を担当した最後の人間というわけでございます。

私は貴重な存在です。

そんな貴重な経験をした中での結論は、「予防は治療に勝る」ということです。

皆様方は将来は看護師ということで、病院に来た患者さんを治療することになりますけれども、実は病院に来る前に、病気にさせないということこそ一番大事かなと思っております。

医師や看護師さんが忙しく、病院が儲かっている時は、人々が不幸になっている時です。

病院に患者が来ず赤字になるという時は、逆に言えば病気の人がいないわけですから、世の中的にはいいことです。

ゴールキーパーが忙しいサッカーチームは弱いわけですよね。

ゴールキーパーが暇なチームは強いチームです。

病院というのはゴールキーパー的な役目なので、はっきり言えば、病院があんまり忙しいと、世の中不幸で、逆に言えば暇ぐらいがちょうどいいわけでございます。

そういう予防が大事だと思っています。

水俣病と土呂久の慢性ヒ素中毒の話は知っていると思います。

破傷風は、ワクチンで予防ができます。

ポリオもそうです。

風疹は大した病気じゃないんですけれども、お腹の中に赤ちゃんがいる時に感染すると、生まれてくる子どもが耳が聞こえないとか目が見えないとか、心臓の奇形があるとか、そういう障害が起ったりします。

タバコもそうですね。

それから食事も、タンパク質、炭水化物、脂肪、ミネラルとか、バランスの取れた食事をしないと、偏った食事をするとですね、病気になります。

葉酸はご存知かどうか知りませんけれども、妊娠初期に葉酸をサプリメントで摂取すると、神経管欠損症という病気が予防できます。

実は私は厚生省の母子保健課に勤務した時に、これを絶対やりたいなということで実現させたのがこの妊娠初期の葉酸摂取です。

それから難聴もあります。

耳が聞こえない赤ちゃんが生まれることがありますが、早めに見つけて、療育を行い、人工内耳とかの治療をやれば、コミュニケーションができるようになったりします。

これも母子保健課に勤務したときに、新生児の聴覚スクリーニングというのを導入しました。

生まれた赤ちゃんにちょうど1週間くらいお母さんと一緒に入院しているので、その時に眠っている赤ちゃんの耳にポコッとつけて、スイッチをポコンと押すと、聞こえる聞こえないということがデジタル的に自動で判別できる検査法がありまして、これを今宮崎県内のすべての赤ちゃんがやっています。

これも始めたのは私でございまして、ということで、威張るわけじゃないんですけど、予防は大事だということです。

県北には、城山学校があります。

そこで耳の聴こえの療育を行っています。

宮崎県は早めに見つけて療育もできるシステムが整っている。

城山学園は昔は延岡西校でした。

災害とか事故も予防が大事です。

例えば硫化水素があります。埼玉県で穴に落ちて亡くなった方がいらっしゃって、それを助けようとして、また多くの人が二重災害に遭って亡くなった事故がありました。

穴には硫化水素がたまるということは、労働衛生の専門家からすると常識です。

例えばサイロに草がたくさん入っていると、草は酸素を吸うので、酸欠になります。

硫化水素は空気より重いので下にたまります。

早朝の温泉は硫化水素が下に溜まっています。

朝早く行ってかき回すと拡散されます。

この拡散された硫化水素を吸って湯船の中に倒れて亡くなることになります。

ということで、予防を知ってる人と知ってない人の差は歴然としています。

知るはまさに予防につながるので、知識こそ、それからそういう勉強が大事だということで、予防をやれば治療しなくていいということになります。

我が国の主な環境由来の疾病の例をいくつかまとめてみました。

黄色のところが、土呂久の慢性ヒ素中毒です。

最初の発生は土呂久ですが、NEXT、必ず次の発生地区があります。

バングラデシュで慢性ヒ素中毒が発生しました。

ヒマラヤ山系にはヒ素の鉱脈があります。

そのため地下水がヒ素に汚染されていたのです。

バングラデシュは貧しい国で、そして感染症の多い国でした。

水を飲むと、表層水にはいろんなばい菌が入っています。

そういう汚染された水を飲んで子どもが下痢を起こしたり、脱水を起こす。

赤痢だとか水経伝染病にかかって死んだりして大変だということで、これはいかんということでWHOが、深い穴を掘ってつくった井戸から地下水を飲むように指導しました。

そうすると。水経伝染病はすごく減ったんですけれども、今度は逆に地下水の中にはヒ素が入っていたということで、今度は慢性ヒ素中毒を起こしてしまったのです。

せっかくいいことをやったんですけれども、そういう病気になってしまった。

なかなか気づかれなかったんですが、この土呂久地区の経験の結果が役に立った。

一番最初に発見できるのは、口の中の粘膜が黒くなることです。

のどぐろのようになって、黒くなる。

それは誰でも発見できるので、口の中を観察することによって、慢性ヒ素中毒が発見できた。

お医者さんでなくてもわかるわけで、そうやって予防をしようということをした。

バングラデシュでは50ppmの基準を作って、それよりも高いところはピンクのひもを巻いて、その井戸からは飲まないように指導をしました。

なかなか予防は難しいんです。

土呂久地区の慢性ヒ素中毒はいろんな要素がまじりあった例です。

水と大気のダブルの汚染があり、職場と地域での暴露があった。

産業衛生と環境保健の混合例です。

媒体が水と大気という本当に複雑な、そういう汚染があったわけです。

そして、ワンヘルスというのがあります。

動物の病気と人の病気はほぼ同じで、人に来る前に動物から来ます。

例えば、水俣病では、最初に猫が変な踊るような症状になった。

その前にネズミが増えて困ったという話があります。

要するに野生生物や人の周囲の動物の異変から始まり、次に人の子供に来て、最後に大人に来る、そんな感じです。

土呂久では、牛が犠牲になりました。

獣医師さんが県にいろいろ行ったんですけど、その頃の宮崎県は何を言うか、と対応しませんでした。

土呂久の例を鑑みると、すべての事柄が入っている。

一番顕著な例は、これを発表したのが小学校の先生ということです。

宮崎大学の教育学部を出て、最初に岩戸小学校に赴任した先生が、新人の先生です。

それがどうも土呂久地区の子どもたちは体格が悪いとかいろいろ聞いたら、昔ここに鉱山があって、そこでみんな平均寿命も短いとか、地区の人は病気がちだとか、そういうことを聞いて、夏休みのちょうど今頃だと思いますけれども、研究発表会で発表して、それで初めて世に出たんですね。

ということで、学校の先生が、公害を見つけたんです。

そういういろんなエピソードを知るとですね、自分が例えば看護師として病院の中に勤務しているんですけれども、絶えず、なんでこういう病気がここにあっちゃろうかとか、もっと先に原因があるのではないかと気づかないといけないということを教えてくれるものだと思います。

脚気だとか、水俣病、カネミ油症とか典型的です。

カネミ油症は福岡県で起こった病気ですけど、米ぬか油の中にPCBという化学物質が入っていたんですね。

それをその油を使った家庭でニキビが出たりとかですね、それから妊娠中にそういうのをいっぱい食べた人たちの子供から黒い赤ちゃんが生まれたりとか、そういうのがあったんです。

エピソードがありまして、このカネミ油が原因だと発見したのは保健師なんです。

保健師が患者さんの自宅に行っていろいろ見るわけです。

何を食べたかを調べると、油がありました。

こっちの家にも油がありました。

製造年月日がほぼ同じということで、油ではないかと気づいたんですね。

家に訪問するというのはものすごい武器なんですね。

予防というのは、地道な観察でわかっていくものです。

決して事件は会議室で起こっているのではないというように、病気は病院で起こっているわけではなく、地域で起こっています。

地域を見る目をぜひ育てていただきたい。

カネミ油症事件には、もう一つ教訓があります。

ワンヘルスの観点から言うと、カネミ油症事件が起こるわずか半年前にダークオイル事件というのがありました。

これは同じように米ぬかから作った鶏の餌がPCBに汚染されていたのです。

それで鶏が20万羽死んでるんですね。

しかも同じ工場でできた餌だった。

鶏の餌にPCBが混じっていたら、人の油は大丈夫かってなるのが普通ですよね。

しかし、農水省から一切厚生省には連絡がありませんでした。

要するに、ワンヘルスという観点は当時はなかったんですね。

動物は動物、人は人と全く分けられていた。

今はそんなことないと思いますけれども、ということで、ヒ素中毒の例やカネミ油症事件の例で、子どもから出ているので、子どもというのは大事だということ。

それからその前に動物から出ているとか、水や大気、食品という媒体から生じているということ。

これは地道な観察が必要だということを我々に教えてくれるわけです。

皆さん、憲法はご存知だと思いますが、25条はぜひとも暗記していただきたい。

簡単です。これぐらいなら誰でも覚えられます。

第2項に、公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないとあります。

「医療」という言葉は憲法にはないんです。

医療を憲法に入れろという憲法改正の運動もありません。

要するに、「公衆衛生」というのは医療より上の概念なんです。

皆さんは公衆衛生を、あまり重視してないかもしれませんが、公衆衛生というのは、実は大事で憲法にも規定されております。

公衆衛生の定義というのが、アメリカの学者が、今から百年前に作ったものがありまして、公衆衛生とは環境衛生の改善、それから伝染病の予防、個人衛生の原則についての健康教育、疾病の早期診断と治療のための医療と看護サービスの組織化、まさに病院をつくるとか、医療職を養成するというのは公衆衛生に入っています。

地域社会のすべての人の健康保持のために適切な生活水準を保障する社会制度の発展、社会保障とかが入っています。

共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、肉体的、精神的健康の能率の増進を図るサイエンスであり、アートであるということです。

特に大事なのは「組織的な努力」というところであります。

病気の疾病の予防、寿命の延長、健康の増進というのをやるサイエンスとアートであるということです。

これは100年前の定義ですけれども、実はアメリカがエイズの蔓延が防げなかったということで、100年前の定義だけではいかないのではないかということで、1988年、ちょうど私が大学を卒業した年ですけれども、この時に,公衆衛生って一体何だというのを国レベルで研究をして、報告書をまとめています。

公衆衛生は、評価と政策と保障の3つだとしています。

評価は、地域の健康問題を監視していくサーベイランス、地域の健康問題を調査していくインベスティゲーションです。

土呂久の住民の健康調査をやっていますけど、これこそが公衆衛生です。

2つ目は、政策です。

地域の健康問題を周知したり、教育をしたり、参加を促進したりする。

いろんな協力を得る。

計画を作成するとか、これは行政であります。

3つ目は保障です。法律を作ったり、規則を作ったりとか、条例を作ったり、必要な人々への医療サービスの提供です。

この地域で言えば、西臼杵医療センターとかにつながると思います。

人材の確保、医師の確保、看護師の養成、医療スタッフの要請が該当します。

今、人口減少がものすごく言われていますけれども、人口減少が医療に当たるインパクトは2つあります。

一つは患者が減ることです。

要するに客が減るんですね。

ということは病院の経営問題につながるわけです。

もう一つは医療スタッフが確保できなくなるということです。

この2つ目の問題が、実は一番問題でございまして、せっかく病院を作っても、勤める人がいなくなったら、ベッドやら施設がワークできなくなるわけです。

そういうスタッフをいかにして確保するかが大事ですけど、あんまり病院に勤務する人は考えていない。

これが公衆衛生の大きな問題です。

医療サービスが本当に使われているのかとか、空きベッドはないのかとか、本当に利用されているのかとか、質の評価はどうなのかというのを絶えずやっていくと、こういった3つのことが公衆衛生だということでやっているわけです。

日本はなかなかここまで公衆衛生を広域的に考える人が少なくて、私は行政にいましたので、34年間行政をやりましたので、公衆衛生は行政そのものだなと感じました。

一番目の評価は、研究っぽいんですけれども、いろんな予算を組んだりして調査や検査をやるっていうのは、まさに公衆衛生という感じがしています。

皆さん方は、保助看法に規定された看護師になるわけです。

看護師の資格の任務が規定されている第一条に、この法律は保健師、助産師、看護師の資質を向上し、公衆衛生の向上、普及向上を図ることを目的とするということになっています。

皆さん方の資格には「公衆衛生の向上と普及向上」が任務として規定されているのです。

法律の第一条にある任務の規定なので、これも暗記してもらいたいと。

もし看護師の中で、公衆衛生が嫌いっていう人がいたら、保助看法の第一条を教えていただきたい。

もし医師が、公衆衛生を馬鹿にしたら、「先生は医師法第一条違反だ」と言ってください。

併せて憲法の25条も言っていただければ、それ以降は、あなたに敬礼します。お茶を出すかもしれません。

獣医師さんが土呂久で活躍した歴史がありますが、獣医師の任務にも、公衆衛生の向上に寄与すると規定されています。

省庁は違っても、公衆衛生は同じであります。

すべてが憲法の25条から来ているということであります。

薬剤師もそうですし、医療スタッフは全員、公衆衛生の向上が任務となっています。

ですから、医療スタッフは公衆衛生を馬鹿にしちゃいかんわけですね。

皆さんに推薦したい本があります。

「命の格差は止められるか」です。

今、世界の公衆衛生トレンドは、健康の社会的決定要因、social determinant of healthです。

SDHは、要するに健康は社会で決まるという、そういうところまで来ています。

健康を予防するためには、社会を変えないといけない。

例えば貧困を予防するとか、子どもや高齢者に食事を提供するとか、そういうことを書いた本で、1000円ぐらいです。

この本で多分、人生が変わるのではないかと思います。

その中にマッキンリーさんという人の文章が紹介されています。

岸辺を歩いていると「助けて」という声が聞けます。

誰かが覚えかけているのです。

そこで私は飛び込み、その人を岸に引きずり上げます。心臓マッサージをして、呼吸を確保して、一命を取り留めて、ほっとするのもつかぬ間、また助けを呼ぶ声が聞こえるのです。

私はその声を聞いてまた川に飛び込み、患者を岸まで引っ張り、救急処置を施します。

するとまた声が聞こえてきます。

次々と声が聞こえてくるのです。

気がつくと、私は常に川に飛び込んで、人の命を救ってばかりいるのですが、一体誰が上流でこれだけの人を川に突き落としているのか、見に行く時間が一切ないのです。

どうですか。

これが病院だと思います。

病院の上流に川があって、そこに原因があるわけです。

そういうところに介入するというのが公衆衛生なので、そういったこともこの土呂久での実習でぜひ学んでいただきたいと思います。

これは模式図です。

妊娠出産時、生まれた時のDNAや生まれたところの社会経済的環境でいろいろ決まるわけですけれども、その後、小児期、青年期で将来にわたる健康資本が作られます。

教育だったり、生活習慣であったりしますが、一番下にある社会経済的環境が影響しております。

そして最後に青年期、高齢期になると、そこでどういう職業に就くか、どういう人と結婚するかとかですね。

どういう社会経済的環境にいるかで生活習慣が変わって、そして最後に青年期、高齢期の健康に行き着くわけですけれども、今まで公衆衛生はこの生活習慣が大事だということで、生活習慣を直せとか、いろいろ食事はとか、運動は、睡眠はとか、いろいろやってきました。

いやいや、もっと、他にいろんなものもあるよねと。

公衆衛生だけじゃなくてみんなで考えようよというふうに今世界は動いているわけでございます。

その極みがSDGsです。

誰一人取り残さない世界を目指す2030年までの17の目標。

これは環境問題だけじゃないんですね。

17個の目標がありまして、一つ目は、飢餓をゼロに。 

これは子ども食堂などに通じるところがあります。

妊産婦や高齢者の栄養、今高齢者の低栄養が関係します。

4つ目は、すべての人に健康と福祉を、ウェルビーイングをということです。

その中で化学物質だとか大気、水質、土壌汚染だとか、それから健康リスクの早期発見、リスク低減などがありますが、医療という言葉はないんですね。

6つ目は水の問題、8つ目はディーセントワーク、働きがいのある雇用だとか、そういう働き方改革なども入っています。

要するに脱炭素社会の構築のような環境問題だと思っているかもしれませんが、そんなことはなくて、SDGsはいろんなものが入っていて、メインは公衆衛生だと私は思っております。

初の保健師漫画というのが誕生しました。

「保健師が来た」です。

皆さん読んだことありますか? 

読んじょらんとですか。

読まんていかんとですね。

「誰一人取りこぼさない。それが保健師でしょう」というセリフは、「誰一人取り残さない」というSDGsを参考にしています。

そのまま使ってもよかったかなと思います。

このお姉さん役の保健師は元ヤンキーです。
関係ないか。

「保健師が来た」は2巻まで出ています。

私も県立看護大学で講義をしたのですが、誰も読んでません。

大学生は漫画読まんのかなと思ったんですが、そんなことはないはずです。

ぜひ読んでもらいたいなと思います。

医療と公衆衛生の違いです。

医療は対象が個人、病人の方で、行為は診断や治療です。

場所は医療施設でホームグランド。

役割は医療従事者はヒーローです。

手段は医療行為、検査や投薬や手術、効果は明白、利益があって、感謝される存在ですが、公衆衛生は相手が健康な方ですので、あまり言うことを聞きません。

しかし行為も疫学的調査とか質問調査とかは面倒くさいです。

地域は完全なアウェイです。

役人やら政治家は、私のような悪人でヒールです。

やることは行政行為で、法律に基づくか、予算があるか、組織的にできるかとかにかかわってきます。

統計だとか教育だとか、介入、行動制限、こんなものを好きな人はいません。

ということで、効果、不明確、損失、物議を醸すもので感謝されません。

そういうことで、公衆衛生は「いばらの道」ですが、そういう役割も必要なんですね。

ということで、皆さん方、ぜひ医療を極めたら、次は公衆衛生があるので、いつでもお待ちしております。

土呂久検診でございますけれども、昭和48年から実施しておりまして、大健診と二次検診を交互にやっております。

受診対象者は、大健診が旧土呂久鉱山の創業時にお住まいの方と、鉱山で働いてきた方などが対象で、二次検診はその結果から健康状態の経過を見ることが必要とされた要経過観察者などを対象としております。

毎年6月に臨床検査で血液を取ったり、神経内科的な検査をして、7月に内科、呼吸器科、耳鼻科、眼科、皮膚科といった各診療科の検査をやって、総計3回実施します。

この土呂久検診には二つの側面があります。

一つは県が単独事業での健康観察検診を行う場であるということと、もう一つは国の公害健康被害補償法という法律がありまして、これに基づく検査を行う場でもあるわけです。

公害健康被害、すなわち慢性ヒ素中毒症の認定、公害病の認定ですね。これにかかる医学検査も兼ねています。

認定患者さんの障害の程度の見直しに係る審査も3年ごとに行っています。

健康観察とともに、公健法の公害健康被害者の認定を行ったり、その程度の見直しを行ったりしているという、2つがあるということです。

こういった行政による住民健康調査が行われているのは、土呂久だけです。

水俣では一切やられていません。

しかも昭和48年からやられている。

52年間続いてるんですね。

県と住民の方々、医療スタッフの方々が一体となってやられている。

あれだけの医師と看護師、検査技師を集めた大検査団を高千葉保健所に連れてくるわけですけれども、宮崎大学んはじめ、本当に多くの方々のご協力がなければできません。

その内容ですけれども、一般的な検査項目に加えまして、認定者や観察者から、医師から指示のあった方などについては、慢性ヒ素中毒症にかかる疾病にかかっていないか確認するための検査ということで、例えば尿細胞検査をやったりします。

尿路の上皮がんなどが対象となっているからです。

アルファフェトプロテインの測定、これは肝臓がんを対象としています。

呼吸器系の検査、これは慢性気管支炎が対象となっています。

筋電計検査は、多発性神経炎を対象としています。

ヒ素の健康影響は、あらゆる臓器に出ますので、あらゆる診療科が関与しているということであります。

検診の様式は、問診でいろんな病気のことを聞きます。

呼吸器では自覚症状ですね。

咳や痰や喘鳴や息切れといったものを調べます。

神経内科では、様々な筋の異常、それからいろんな反射を調べて、触覚だとか、痛覚とか、位置覚とか、振動覚とか音覚とか、そういった様々な感覚も調べます。

眼科では、水晶体の検査、眼底、視野の検査などが行われます。皮膚科、耳鼻科も入ります。

そういうことで総力戦です。

今回の視察には高千穂保健所は入っていませんが、高千穂保健所は高千穂神社のすぐ近くにあります。

かなり老朽化しています。

特徴は庭のフェニックスでありますが、ちょっと斜めに傾いています。いつ倒れるか不安です。

大きなCT車が来ている写真です。これは高千穂保健所での住民検診の時の設営です。

まさに野戦病院のように綺麗なカーテンがかけられて、一夜で綺麗な診察室が出来上がるというわけであります。

視野の検査の写真です。

左側は水晶体とか目の検査、右側は聴力の検査の装置です。


筋電図の検査です。

その辺の検査じゃなくて相当お金がかかった、大掛かりな検査だということが理解できると思います。

7月下旬から8月中旬ぐらいに検診した医師からの指示事項が送付されまして、血液検査結果などもお渡しして、10月の下旬にこの場所で保健指導を行います。

大きな流れは、まず、検診医から慢性窒素中毒の認定要件を満たしているとのご意見があった方に対しては、公健法に基づく認定申請と障害補償費請求の手続きや認定された場合の補償給付などについて説明をし、申請が行われた場合は、宮崎県公害健康被害認定審査会の意見を聞いて、知事が公害健康被害慢性ヒ素中毒症の認定や、障害補償費の支給に係る障害の程度を決定します。

そして補償給付が開始されると、療養の給付であるとか療養手当、障害補償費の支給、手帳の交付も行われます。

住民健康調査に関わるのは、県庁の環境管理課と高千穂保健所の職員です。

職種は、事務職のほか、化学職、獣医師、薬剤師、保健師です。

人事異動があり、3年で変わるので、なかなか連続して実施することは難しいのですが、継続して実施されています。

50年以上も続く検診で、しかも高千穂保健所に勤務しないと土呂久の検診に参加できないということがありましたので、それだったら宮崎県庁の保健師は全員、希望する方には土呂久の検診に参加できるようにした方がいいんじゃないということで、高千穂保健所から、県の環境管理課の方にものを申したところ、環境管理課がすごくやってくださいました。

予算は全部もつということで、県の保健師が参加するようになりました。

今年で二年目です。

保健師に感想を聞くとすごいよかったと言っていました。

こんな健診をやっているの日本でも高千穂保健所だけなので、そういうことを経験できて嬉しいということを言っておられました。

ということで、やっぱり参加することは大事です。

参加しないとわからないところがあると思います。

土呂久の住民の方々からいろんなことを聞いて初めてわかることがあります。

初めて土呂久に来る人ばかりなので、これはずっと続けていきたいなと思っているところでございます。

最後ですが、私はハベレオ通信という公衆衛生系の記事を毎日発信しております。

もし隙間時間があれば、「ハベレオ通信」で検索してもらえれば、現在400個ぐらい記事が出ていますので、一つぐらいは皆様方にマッチする記事があると思います。

土呂久のことも書いています。

「推しの子」は、どこから始まるかというと、高千穂病院から始まります。

高千穂病院の産婦人科医ゴロウ先生、このメガネかけている先生です。

ゴロウ先生という産婦人科医のもとに、このアイちゃんのお母さんがお産のためにやってきます。

そこからストーリーが始まるのでございます。私は西臼杵医療センターの寺尾管理者に、「推しの子のゴロウ先生の碑を作ったらいっちゃねえ」と提案をしております。

寺尾先生も産婦人科医なので、密かに先生に言っておるところでございます。

もしかしたら、実現するかも?

ということで終わります。

ご清聴ありがとうございました。


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