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ストレスを正しく理解し、ストレスをマネジメントすることは現代社会で最重要な公衆衛生スキルである

メンタルドクターSidowさんの「ケーキ食べて事務行って映画観れば元気になれるって思ってた」(WAVE出版)を読みました。

サルから人類に変わったときのOSは、現在になっても基本的に変わっていないという現実を改めて知りました。

現代人はストレスを感じやすいのは当然だと理解することができました。

本来、人間は自分の命を守ることがなによりも重要で、それに適応するために体が進化してきました。

もし茂みから危険な動物が出てきたら、交感神経のスイッチが入ってすぐに逃げるか闘うかを判断します。

うかうかしていると自分の命が危険に晒されるため、危険を察知するとすばやく反応できるような作りになっています。

交感神経には、人間を興奮状態にさせる作用があります。

自然災害に遭遇する、誰かに驚かされる、突然ショックなことを告げられる、などの急性ストレスが発生すると交感神経が優位となり、アドレナリンなどの神経伝達物質が放出されます。

その結果、瞳孔が開き、心拍数が上がり、呼吸が早まり、血圧が上がり、胃や腸、膀胱などの内臓の機能が低下します。

体が興奮状態になることで、不意な出来事に対してすばやく対応ができるように体内環境が迅速に変化するのです。

動悸がしたり口がカラカラに乾いたりします。

このように急性ストレスを受けると、一時的に交感神経が優位になりますが、しばらくするとまた落ち着いて通常の状態に戻るのが一般的です。

一方、例えば学校や会社で人間関係がうまくいかない、眠れない日が続いて疲れが溜まっている、新学期で新しい環境になかなか慣れない、などの慢性ストレスは、持続期間が長く、生活環境に関連していることが多いのが特徴です。

慢性ストレスは、副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンの過剰分泌によって、心身を不安定な状態にします。

本来、コルチゾールには代謝を促進する、免疫を抑制する、炎症を抑える、など体がストレスに抗うための手助けをする効果があります。

しかし、ストレスが長期化するとコルチゾールの量が慢性的に増え、むしろ体にとってマイナスな作用を引き起こしてしまいます。

コルチゾールの分泌量が増えると、高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病のリスクが高まるうえ、うつ病、不安障害、PTSDなどの精神疾患の発症との関連も指摘されています。

本来であれば体を守るはずのホルモンが、慢性ストレスによってコントロールを失い、暴走してしまうのです。

そのため、コルチゾールは、「ストレスホルモン」とも呼ばれます。

Sidow先生は、コルチゾールのことを「風紀委員」に例えています。

学校内の風紀を正すはずの風紀委員が張り切りすぎた結果、周りの反発を受けて余計に校内の風紀が乱れるようなイメージです。

このように体の中で起こっていることがわかると、ぼやけていたストレスのイメージも明確となり、より冷静に対処できるようになっていくでしょう、とSidow先生は、優しいアドバイスをしております。

今の世の中では、逃げるか闘うかで解決できる状況に遭遇することはあまりありません。

職場で厳しい上司に叱責されたとしても、逃げることは難しく、まして闘うことはできません。

普通に生活していても、テレビやスマホを通じてストレスを感じる情報がどんどん入ってくる現代社会。

その度に交感神経が反応していたら当然心も体も疲れてしまいますし、それが続いたら体調面にも悪影響が出ます。

そもそも生物学的には長期間ストレスが続く状況は想定されていない」と、Sidow先生は言っております。

そのため、本来はストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールの分泌が長期化すると、むしろマイナスの作用を引き起こしてしまいます。

さらに、昔はコミュニティが限られていたので、周りに気を取られずに生活できていました。

お腹が空いた、トイレに行きたい、暑い、寒い、眠い。

かつてはこうした自分の体の声に素直に耳を傾けていれば問題はなかった。

しかし、現代は仕事のこと、友達のこと、家族のこと、SNSのことなど自分以外のことを考える時間が多すぎます。

一人になりたくてもスマホには絶えず通知が届き、すぐに時間を奪われる。

一日スマホから離れても、またスマホを開いたら通知が溜まっていて対応に追われる。

「こんな生活ではストレスを感じないほうが不思議だ」とSidow先生は言っています。

だから現代人のほうがストレスを感じやすいのは当然とも言えます。

一方Sidow先生は、情報が多いことによるメリットもあると指摘しております。

昔よりも弱音を吐きやすい環境になっている。

コミュニテフィが狭いと周りに合わせて本音が言えなかったりしますが、今はさまざまなコミュニテフィが存在するので、弱音も受け止めてもらえる可能性が高まりました。

精神科の患者数が増えているのも、単に精神的に不調な人が増えたのではなく、実際はつらいときに早めに相談できる人が増えたからなのかもしれないと、Sidow先生はおっしゃっております。

たとえストレスが避けられないものだとしても、ストレスが溜まったときに相談する相手がいて、相手が労ってくれて、しっかり休む環境が用意されれば、ストレスはほとんど感じずに済むようになるはず、とSidow先生は指摘します。

今は「ストレス社会」ですが、将来的には「リラックス社会」と呼ばれるようになることがSidow先生の夢です。

ストレスを正しく理解し、ストレスをマネジメントすることは最重要な公衆衛生スキルだと感じました。

ストレスは、生活に現れます。
睡眠と食事に現れます。

眠れない、食欲がない、逆に食べ過ぎる、これはストレスのサイン。

サインに気づくことがはじまりです。

そのため、職場におけるメンタルヘルス対策の第一歩は、「本人の気づき」の支援です。

甲子園と同じく、サインを見逃しはNGです。

睡眠と食事がストレスのバロメーターになることは、現代人のライフスキルの基本です。

しっかりとOSに組み込んで、ストレス・マネジメントで乗り切りましょう。


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