麻疹にかかるとその後遺症として10年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という恐ろしい病気になることがある
宮崎県北部、熊本県上益城圏域の病院が参加した新興感染症受入訓練がありました。
高千穂町国民健康保険病院の興梠さんと、県立延岡病院の中武さんの講演がありました。
お二人は、感染管理認定看護師で、とても勉強になりました。
新興感染症の事例は、麻疹(はしか)です。
正直、「はしか? 大したことねーじゃん」と思っており油断していました。
我々世代は「はしかに罹ったようだ」という言葉は、大した病気ではないという意味で使っていました。
はしかの予防接種を受けるより、幼稚園でうつしてもらったほうがいいとママ友たちが会話しておりました。
我々世代では、麻疹は普通に発生していました。

宮崎県では2019年4月30日を最後に発生しておりません。
その患者は30歳代の女性で、4月28日の夜に尿管結石で県立延岡病院の救急外来を受診していました。
4月30日に宮崎市の医療機関で麻疹と診断されたのです。
直ちに延岡病院では、その患者と接触した可能性のある者を調べました。
医師2名、看護師3名、放射線技師1名、検査技師1名、医療クラーク1名の8名が接触者と判定されました。
夜間の救急外来には、他の患者はいませんでした。
接触した職員は、麻疹の抗体価が基準値以上または基準値以下でもワクチンの接種歴があり、発症する職員はいませんでした。
ということで大事にはいたりませんでした。
麻疹ウイルスは一旦空気中に出ると、その生存期間は2時間以下と考えられており、患者と同じ空間を共有した者は接触者となります。
病院勤務者で接触者となれば、抗体価が陰性とかワクチン未接種者であったら、最大21日間の就業停止となります。
上記の8名がもし、抗体がなくワクチンもうってなければ21日間は勤務できないのです。
医療機関内で麻疹の発生があった場合は、二次感染・三次感染の予防、病棟閉鎖など多大な労力と時間と費用がかかります。
病院収入は当然のごとく減収となり、経営への影響ははかりしれないものになります。
延岡病院は幸運でした。
前年の2018年に沖縄県で麻疹の大流行があり、病院職員のワクチン接種を大規模に行っていたのです。
ワクチン対象者163人に対して接種しました。
これにより、職員703人中で抗体価の基準を満たしている職員数が523人(74.4%)だったものが、684名(97.3%)になっていました。
麻疹の治療法はありません。
予防接種で予防するしか方法がありません。

麻疹にかかるとその後遺症として10年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という恐ろしい病気になることがあります。
厚生省の母子保健課に勤務していたときには、難病の子どもを守る会の会長さんとよく打ち合わせをしておりました。
会長さんは、お子さんがSSPEに罹って亡くなったことから、難病の子どもを支援する会に関与することになったと言っていました。
予防接種をしておればこうした病気にはならなかったと後悔しておりました。
もし保健所に麻疹発生の届出がなされたら、それは大事件です。
接触者の疫学調査や健康観察は保健所が担うことになります。
麻疹の感染力は極めて強く、免疫のない世代には飛沫感染の新型コロナウイルス以上の大惨事になるかもしれません。
そうならにように、予防のためのワクチン接種を進めていきましょう。
特に医療従事者は、抗体がなければ勤務ができなくなることがあるので、要注意です。
