在宅医療や適正処方は地球環境問題を解決する手段である
環境について調べたところ、衝撃的な事実がありました。
WHOは2000年以降に「気候変動自体が健康問題である」と警鐘を鳴らし、対策を促す報告を頻繁に行ってきています。
すでに地球上の36億人が気候変動の影響を非常に受けやすい地域に暮らし、このままの状況が続けば、2030~2050年の間にさらに年間約25万人が気候変動のために死亡すると提示しているのです。
気候変動は、今後、断続的なパンデミックをもたらすおそれがあります。
例えば、シベリアの永久凍土が溶けると、中に封じ込められた未知の細菌やウイルスによる感染症が世界的に流行する可能性があります。
ウイルスを運ぶのは渡り鳥です。
ガーン!
そう、雁も渡り鳥です。
今や宮崎県の風土病となっているSFTSは、感染したダニが渡り鳥によって大陸から我が国に運ばれて、2012年に山口県で初めて患者が確認さました。

宮崎市内は1980年代から平均気温が2度Cほど上昇しており、渡り鳥だったつばめは、宮崎市では既に越冬しております。
森昌子さんの歌う「越冬つばめ」は1984年の曲です。
私は大学生でした。
昭和の時代は、冬のつばめが珍しかったから歌にまでなりました。
令和の宮崎の冬は普通にいる鳥となっております。
高鍋町、西都市にもいます。
ヒュルリ ヒュルリララ
つばめは、このようには鳴かないと思います。

いや、これは風の音か。
さて、平均気温が上昇すれば、蚊の分布が変わります。
熱帯の国では、一年中蚊が繁殖することができるので、デング熱ウイルスを保有した蚊は、永遠にウイルスを次世代に伝えることができます。
温帯の国日本では冬に気温が下がるので、デング熱ウイルスを保有する蚊は、冬を越すことができず死んでしまいます。
いい意味での世代間の断絶があります。
これが越冬できるようになったら一大事です。
世代間の断絶が解消されて、デング熱ウイルスが次世代へとつながり、日本はデング熱が発生する国となります。
フランスは有史以来、蚊による病気を経験したことがありませんでした。
一方、南部にあるイタリアはマラリアが蔓延していました。
フランスの保健当局は、デング熱を媒介するヒトスジシマカが、温暖化によりほぼフランス全土で生息できるようになったことから、戦々恐々としています。
これが本当の「温暖蚊」!

昔、Xファイルというアメリカのテレビドラマがありました。
FBIの男女の二人の捜査官が、超異常現象を捜査してファイルしていくドラマです。
スカリーという女性捜査官は、医学部出身で医師免許を持った捜査官という設定でした。
そのため、けっこう医学を扱ったものがあり、レンタルビデオ屋(死語)でよくVHSビデオテープ(死語)を借りて見ていました。
アメリカの山奥で大木を切ったところ、その中に封じ込められていた未知の昆虫が出てきて、蜘蛛の糸のようなものを出して人間をぐるぐる巻きにして木につるすというシーンがあり、リアル過ぎて恐ろしかった記憶があります。

日本における全温室効果ガス排出量の4.6%はヘルスケア由来だという報告があるそうです。
さまざまな医療材料使用の増大で、ヘルスケアによる温室効果ガス排出量の絶対量は増加しています。
患者一人あたりの入院による温室効果ガス排出量は、入院していない患者の温室効果ガス排出量に比較すると6倍多いとのこと。
服用されない処方薬(無駄な処方)を減らすと、相当量の温室ガス排出量の効果があるそうです。
不適切な入院を減らすことは、温室効果ガスの排出抑制につながります。
つまり、外来・在宅医療の質の向上を目指すことが大事です。
ポリファーマシーや残薬問題は、実は気候変動問題でもあるのです。
以上は、私が酒を飲んで適当に言っているものではなく、藤沼康樹先生の「卓越したジェネラリスト診療入門ー複雑困難な時代を生き抜く臨床医のメソッド」(医学書院)という本に載っております。
4400円しましたが、飲み会1回分以上の価値があります。
酒を飲まずに本を買って読んで、ハベレオ通信で還元するというPDCAサイクルを回しております。

在宅医療や適正処方は地球環境問題を解決する手段でもあったということは驚きです。
室温のコントロールにリスクのある地域住民をピックアップして、地域全体で対策を図ることが重要だと指摘しております。
イギリスでは、収入の10%超が燃料費に使用されている世帯を「燃料貧困(fuel poverty)」として支援を実施しているそうです。
これにより健康を保持して、疾病にならないようにしているのです。
収入の食費の占める割合のことを「エンゲル係数」と呼びますが、イギリス人は公衆衛生的にセンスがいいと感じています。
我が国においては、気候変動が健康影響であるという認識はまだまだ薄いのが現状です。
私もまったく認識しておりませんでした。
不必要な入院を減らしたり、不必要な薬を減らすことが、気候変動対策につながると医療従事者へ教育していくことも大事だと感じました。
そのためには公衆衛生を理解することが一番です。
つまり、公衆衛生対策は地球を救う。
今回は読んで書いて、目からうろこでした。
