温暖化により、「人新世」の公衆衛生が必要な時代になった
宮崎県の環境計画を策定する際に実施された、
県民の環境意識のアンケート調査結果には、
なかなか考えさせられるものがあります。
「地球温暖化に伴う影響のうち、一番不安に感じる影響は何ですか?」
回答は次のとおりです。
ゲリラ豪雨などの局地的な大雨 28.2%
台風の巨大化 18.9%
農作物の影響・漁獲量の減少 13.4%
気温の上昇による熱中症 9.9%
デング熱などの感染症 8.2%
猛暑日・熱帯夜の不快感 6.3%
海面上昇による海岸減退 3.9%
野生生物の生息地の変化 2.5%
水質悪化 1.5%
外来動植物の侵入 1.2%
不安に感じることはない 1.0%
その他 2.8%
太文字は、温暖化による健康影響に関係する項目です。
中でも「熱中症は、もはや災害」です。

中学校の養護教諭をしていた私のいとこは、
生徒の熱中症対策に、
所ジョージさんがコマーシャルをしている
大塚製薬のOSー1を、
保健室の冷蔵庫に常備していた
と言っていました。
40年ぶりに宮崎に帰ってきて驚いたのは、
一月にツバメが飛んでいたことです。
高校の時は見たことはありません。
公衆衛生におけるネクストツバメは、「蚊」
でしょう。
気温が高くなると、
デング熱ウイルスを保有する蚊が
越冬するようになるかもしれません。
温暖化で、熱帯夜が続くと不眠となり、
メンタルヘルスにも影響します。
精神衛生上でも、問題となります。
さらに温暖化が進むと、
SFTSウイルスを持ったマダニのいる
シカの生息域が変わり、
今まで発症者がでなかった
高地にまで広がる恐れがあります。
渇水による水質悪化や、
有害な外来動植物が定着すれば、
それらに伴う健康問題が生じることになります。

最大の脅威は、ゲリラ豪雨や台風の巨大化
でしょう。
実に宮崎県民の約半数が不安だ、
と答えています。
これまで
経験したことのない台風や豪雨が、
毎年日本のどこかに起こる
ようになりました。
災害に備えたBCP(業務継続計画)が必要だ、と多くの組織や企業が感じています。
在宅にいる高齢者・妊婦・障害者・難病患者など支援が必要な要配慮者には、災害時の対応方針をあらかじめ計画しておく必要があります。
これまでの保健と福祉と医療の連携に加えて、
防災との連携
まで含めて考えないといけなくなりました。
いわゆる「人新世」の公衆衛生が必要な時代
に入ったのだと言えます。
人新世とは、地質学の用語ですが、
人類の活動が、かつての小惑星の衝突や火山の大噴火に匹敵するような地質学的な変化を地球に刻み込んでいることを表す新しい言葉です。
人新世の公衆衛生では、熱中症、感染症、睡眠、水質、野生生物、災害分野での取組がより一層求められます。
今は、昔とは違う時代だと感じることが大事です。
保健、医療、福祉、防災はセット
で考えなければなりません。
「地域医療」は、保健、福祉、防災と連携して行われる医療のことをいいます。
保健、福祉、防災を考えない医療は、
単なる「医療」です。
四方哲先生の
「ビジョンと戦略からはじまる地域医療学のブレイクスルー」
は、公衆衛生的にも大変勉強になります。
人新世の公衆衛生は、「人新世の資本論」をパクってみましたが、しっくりきます。

