NHK朝ドラのプロデューサーは、病院に今日頑張って生きて明日のドラマの続きを見たいという患者さんがいるから、ドラマをつくるのだと言った
幹部研修に参加しました。
講師は、NHK大阪放送局のドラマプロデューサーの堀之内礼二郎さんです。
NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」、「まんぷく」、「カムカムエヴリバディ」を担当した方です。
宮崎県都城市のご出身で、宮崎弁バリバリでした!
恐縮です。
オンラインで受けましたので、研修終了後に、私が小説家になることを応援しているような、私のために行ってくれた、私一人に伝えるために開催された研修だと思ってしまいました。
第一回の芥川賞を受賞した作家石川達三に「私ひとりの私」という小説がありますが、まるで「私ひとりの研修」でした。
堀之内さんから受けた「個人授業」の内容を、ご紹介させていただきます。

冒頭に、「伝えることは難しい」と堀之内さんはおっしゃっていました。
分かり易く、面白く、伝えたいが、「伝えたいこと」は伝わらない。
逆に、「伝えたくないこと」は伝わる。
うーん。冒頭からやられました。
そうなのか。
もしかして、「秘すれば花」ということ?
隠すと、悟られ、バレて、漏れる。
本当に「伝えたいこと」は、伝わらない。
これは、あらゆる情報をとりまく真実なのかもしれません。
インテリジェンス活動を行っている人には、常識かも。
伝えるためには、自分と手段と相手の3つが大事と堀之内さんはおっしゃっていました。
手段には、言葉、動き、写真、図、SNS、WEBなどがあるとのこと。
今回の研修では、自分と相手の2つの項目に絞って講演をされました。

伝える「相手」のことを「ターゲット」と言うことがあります。
これはマーケティング用語で、戦争で使われる言葉です。
別に戦っているわけではないし、愛情も感じられないので、堀之内さんは、「不適切だ」と断言しておりました。
「伝える」とは、プレゼントを届けること。
たとえ形になってなくても、届けることができます。
親しい人にプレゼントを贈ることを考えて欲しい。
何を買うか悩み、いつ渡すか、どんなシチュエーションで渡すか、を考えます。
年代差や性差などがありますが、
「相手」の温度を感じられるかどうか
が大事だとおっしゃっていました。
NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」をつくるときに、病院を取材したそうです。
病院の待合室のテレビでは、朝ドラが流されていました。
「なぜ流しているのですか?」と聞いたところ、「病院には、今日頑張って生きて、明日のドラマの続きを見たいという患者さんがいるから」
ということでした。
これを聞いて堀之内さんは、「病院にいる患者さんのためにドラマを作ろう」と思いました。
今日頑張って明日のドラマの続きを見ようという想いのある患者さんに向けて、死のシーンもあるが、病院にいる患者さんが、暗い気持ちにならないようにしよう。
命をかけて明日の続きを見たいという人のために作る。
「自分」の心の中に、そういう人の体温を感じることができた。
たった一人でもいいから、顔の見える「相手」に向けてつくる。
顔の見えない人を「相手」にすると響きません。
感動とは、本人が本当に欲しいと認識する前に提示することで生まれる。
甘いものをそのまま出すと90点、80点と評価されるが、100%を超えたときに感動が生まれる。
単なる甘いものではなく、甘じょっぱいものを出したときに、これが欲しかったのだと感動する。
言語化することができないものを、提供する。

現在の多くの人は、知らないことには興味を覚えません。
知っているものをもっとよく知りたい、と思っている人が多い。
朝ドラ「まんぷく」は、コンビニを朝ドラにしようと取材をはじめました。
コンビニは、老弱男女が集まる場所です。
ファミマ、セブンイレブン、ローソンなど、熾烈な争いがありました。
コンビニの食品の棚の最大の激戦区がカップラーメンでした。
300アイテムあって、毎週入れ替えが行われる。
そんな中で、日清食品のカップヌードルは不動の王座を守り続けている。
しかも大阪は本社!
こうして、カップヌードルをテーマにすることにしました。
カップヌードルの開発者の安藤百福さんと、奥さまを取材しました。
安藤百福さんの人生を調べると、壮絶ですが、面白いものでした。
安藤百福さんは様々な事業を手掛けて失敗し、すべての財産を失っています。
牢屋に入ったこともあります。
それでも
48歳でチキンラーメンを開発、
61歳でカップヌードルを開発し、
世界最大のインスタント・ラーメン会社になった。
人生の大逆転です!
安藤百福さんは最後まであきらめなかった。
人は、スーパースターの活躍は見ますが、
自分の人生はあきらめてしまいます。
「今はつらいかもしれないが、人生の主人公は自分なんだから、あきらめないで」
そういう「想い」を伝えたかった。
まんぷくの視聴率は21.7%で、
人気だった「あまちゃん」よりも高かった。
「願いはかなう」、そう思い続けると必ずかなう。
人生の主人公は自分。
スターウオーズ、ETなどの主人公はスーパーヒーローではなく、誰かに教えられ、助けられる存在です。
しかし、主人公は、いつか目覚めるときがきます。いつからでもやれるのです。
実は、「まんぷく」は、ドラマ化を断られています。日清食品にとってみれば、ドラマ化は、宣伝になることよりも、リスクの方が大きかった。
創業者の安藤百福さんはとんでもない人なので、ドラマで好きなように描かれたらヤバイと、
日清食品は断わりました。
会社のCEOに手紙を書いて、担当者にアポなしで東京の本社を尋ねました。
こちらの想いを伝えたら、最終的にOKが出たそうです。
願いの力は、人を動かします。自分が熱くなることが大事です。
熱が相手に伝わり、熱によってプロジェクトが動き出すのです。
届けたい「相手」は、「自分」の心の中にあるのか。
その「相手」は、どんな悩みを持っているのか。
「自分」は、寄り添う事ができるのか。
「自分」は、
解決したり、勇気を与えることができるのか。
それを考えることからドラマが始まります。

宮崎を舞台にしたドラマは、
今のところ考えていませんとのことでした。
「すごくいい所があります」だけでは、ドラマにならないそうです。
平和な村に事件が起こる。困ったことがおこる。嫌なことが起こる。
これらを解決すれば、ドラマになる!
ドラマは100%フィクション。うその世界。
しかし伝わるために必要なものを詰め込めると、熱が伝わります。
熱は冷めていきますが、何度も、何度も伝えていきます。
最後まで責任を負う覚悟を伝えていくと、再び熱を帯び、熱が伝わっていくのです。
まるで、私ひとりのための「小説教室」のようでした。
これは、宮崎県も自分が小説家になることを後押ししているかもしれない。
宮崎から、目指すぞ直木賞!

すいません。
写真は芥川龍之介さんです。
しかも、この研修は3年前に受けたもので、
内容は全く忘れておりました。
ハベレオ通信のネタがなくなったので、
過去の記録を見直したところ、
発見されたものです。
宮崎県に申し訳ない。
このご恩は、直木賞を取ってお返しいたす所存。
