2040年には患者は85歳以上が中心となり外科手術のような侵襲性の高い治療法よりも、放射線や薬物治療といった低侵襲性の治療法が選択されるケースが増える
宮崎県がん診療連携協議会に出席しました。
がん医療提供体制の均てん化と集約化について議論をしました。
厚労省から通知がありました。
新しい地域医療構想の目標年である2040年に向けて、がん医療の需要変化が見込まれる中で、引き続き適切ながん医療を受けることができるよう均てん化の促進に取り組むのは、従来と同じ方針です。
違ったのは、持続可能ながん医療提供体制となるよう、一定の集約化を検討していくことが重要であるとされたことです。
基本的な考え方は、以下のとおりです。
・高度な医療技術については、症例数を集積して質の高いがん医療提供体制を維持できるよう一定の集約化を検討していく。
・広く普及された医療については、引き続き適切ながん医療を受けることができるよう均てん化の促進に取り組む。
特に集約化の検討が必要ながん医療が示されました。
・症例数が少ない場合や専門医等の医療従事者が不足している診療領域。また、消化器外科領域のように症例数は多いが医師数が不足することが見込まれている診療領域
・一般的・標準的とは言えない治療法や高度な医療技術が必要な場合
・放射線治療装置のようにがん医療を提供する際に高額な医療機器や専用設備を用いるもの
主な協議事項です。
・将来の人口推計やがん患者数、院内がん登録のデータ等を活用し、将来の医療需要から、都道府県内で均てん化・集約化が望ましい医療について整理すること
・がん種ごとにがん医療提供体制の均てん化・集約化を議論し、県内で役割分担する医療機関について整理・明確化すること
・放射線療法に携わる有識者の参画の下、放射線療法に係る議論の場を設け、採算に関する分析も踏まえて、将来的な装置の導入・更新を見据えた計画的な議論を行うこと
・2040年を見据え、持続可能ながん医療を提供するため、がん医療圏の見直しや病院機能再編による拠点病院の整備について検討すること
・都道府県協議会で整理・明確化した、がん種ごとに役割分担する医療機関については、広く住民に周知すること。
これまで、がん医療は均てん化が中心だったのですが、急速に進行する人口減少に伴うがん医療需要の変化に対応して、集約化に向けて大きく舵を切ったようです。

ちなみに、宮崎県は人口が減ります。
来年には100万人を切ると予測されています。
県全体の傾向をざっくりいえば、がん罹患者は減り、手術需要は減ります。一方、放射線療法は増え、薬物療法は微増します。
2040年には、患者は85歳以上が中心となります。
外科手術のような侵襲性の高い治療法よりも、放射線治療や薬物治療といった低侵襲性の治療法が選択されるケースが増えると予測されます。
日本のがん医療は手術中心だと言われており、放射線治療が少ないことが特徴だと言われていました。
これからは、放射線治療を選択するケースが多くなると思います。放射線照射は、緩和ケアの効果もあります。
外科は集約化が進むと思います。そもそも麻酔科医が集約化するので、外科もその方向にひっぱられることになります。
薬物療法は、新たな治療法が承認されることで、増加が見込まれます。
膀胱がんの治療法について、泌尿器科の先生が言っておりました。
膀胱がんの化学療法は、この30年間変わっていませんでしたが、最近新しい療法が登場したとのこと。
抗体医薬のパドゼブと免疫チェックポイント阻害剤キートルーダを組み合わせた新しい薬物療法が認可されました。
パドゼブは、膀胱がん細胞の表面にある標的に密着して、細胞中に抗がん剤を入れ込み攻撃します。
キートルーダは、膀胱がんがつくる、免疫細胞からの攻撃を回避するバリアを無効化させて、免疫細胞の攻撃を援護します。
これにより、膀胱がんの標準的な治療法が変わったといっておりました。

また、がんの緩和ケアは、これからは在宅が中心になると予測されます。
在宅医療を担う医師と、訪問看護師、訪問薬剤師は必須です。
介護保険の利用者が中心となることからケアマネージャーや、低栄養を防止するための管理栄養士、口腔ケアを行う歯科医・歯科衛生士、リハビリを担当するPTなどと連携した総力戦です。
こうした在宅医療を支援する、いざというときに入院ができる病院は不可欠です。
本人と家族、医療従事者がACPを早くからつくっておくことも必要になるでしょう。
なによりも予防が大事です。
肝炎ウイルスの駆逐薬の登場で、肝臓がんが減少しました。
ヘリコバクターピロリの除菌で、胃がんが減少しました。
たばこ対策で、肺がんが減りました。
子宮頸がんはワクチンと検診で、さらなる減少が見込まれています。
新しいがん医療提供体制の検討は、待ったなしですが、宮崎県のがん医療関係者も動き出しました。今後の動向に期待しています。
