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米国CDCは、水のフッ素添加は二〇世紀の公衆衛生における十大成果の一つであるとしている

一九一〇年代に、
米国の歯科医師マッケイらが、
コロラド州など米国中西部一帯に
斑状歯が流行していることを報告しました。

その特徴は、次のとおりです。

①特定の水源地利用者に限局されている
②そこで生まれた者のみに見られる
③永久歯の萌出が終わってからの転入者には見られない
④斑状歯の流行地では虫歯が少ない


斑状歯の原因は不明でした。

飲料にしている水が原因ではないかと考え、
飲み水の水源の変更を指導して、
斑状歯の発生を予防しています。

一九三〇年にアメリカのチャーチルが、
斑状歯の流行地である
アーカンザス州の水を分析しました。

最大一三・七ppmのフッ素が検出され、
斑状歯の流行地の水は、
フッ素濃度が高いことを明らかにしました。

そこで、
フッ化物を動物に投与する実験を行ったところ、斑状歯が生じました。

これにより、
斑状歯という症状に基づく名前を、
歯のフッ化症(dental fluorosis)
に変更しています。

米国のHilleboeらは、
ニューヨーク州ニューバーグと
ミシガン州グランドラビッツで、
一九四五年から一〇年間
フロリデーションの実験を行っています。

それぞれ対照となる町が設定されました。

ニューバーグの対照地域に選ばれたのは
キングストンという町です。

ニューバーグとキングストンの 
小中学校の児童生徒を対象として、
ニューバーグには飲料水中にフッ素を投入し、
キングストンは従来のままとして、
投入前後の虫歯の発生率を観察しました。

虫歯の数がほぼ半減する
という結果が得られました。


米国NIHの口腔医学者のディーンらは、
飲料水中のフッ化物濃度一ppm以下では、
歯のフッ化症の流行はなく、
一ppm前後のフッ化物を含み飲料水は
齲歯の発生を大きく抑制する、

と報告します。

米国では
飲料水へのフッ素添加が国の方針とされました。

米国CDCは、
水道水のフッ素添加は、
二〇世紀の公衆衛生における一〇大成果の一つ
であるとしています。

我が国でも
水道水へのフッ素添加が導入されたこと
があります。

宝塚市では、
濃度が濃すぎて、
斑状歯を生じさせてしまいました。

この事例は、
フッ素導入を反対する根拠とされました。

新潟県は、
学校においてフッ素洗口
を行っていました。

新潟県には、白いものが三つある。
一つ目は雪
二つ目は米
三つ目は歯

とPRしていました。

県内の小学校で導入されたフッ素洗口は、
虫歯の予防に効果を上げていたのです。

しかし、
新潟県の国会議員から
フッ素洗口に関する質問趣意書が
内閣に提出され、
これにより
我が国のフッ素による虫歯予防対策
は終焉に向かいます。

私が青森県むつ保健所に勤務していたときに、
小学校でフッ素洗口を行っている学校歯科医
の話を聞いたことがあります。

学校歯科医として、
校長や養護教諭と打ち合わせして、
虫歯予防のための
フッ素洗口の取り組みを導入したら、
一部の父兄やある団体から
クレームが入ったそうです。

話し合いをしたところ、
フッ素の予防効果までは否定しないが、
フッ素洗口をさせるという強制性が問題だ
ということで、
取りやめになったということでした。

一九九〇年代は、
虫歯予防でフッ素を使用することについては、
難しい状況でした

ところが、
市販の歯磨き粉にはフッ素含有が主流
となっていました。

一般の市民には、
フッ素による虫歯予防には
抵抗感はなくなっていた
のです。

二〇二〇年代の今、
フッ素洗口による虫歯予防の取り組みが
復活していることを知り、感無量です。

子どもが少なくなった今、
親は子どもに
虫歯を生じさせないようにしています。

子どもの貧困問題の専門家は、
就学前の虫歯はひとつの指標になる
と言っていました。

虫歯は、児童虐待のひとつの兆候として、
指摘されています。

歯科保健対策は、
力を入れると必ず成果が出ると言われています。

生涯、健康で過ごすためには、歯が大事です。

歯が命なのは、芸能人だけではありません。

八〇歳で二〇本の歯から、
一〇〇歳で二〇本の歯を目標に頑張りましょう。

ちなみに、
私は子どもの頃から虫歯だらけでした。

昭和40年代は、
子どもに虫歯があって当たり前の時代でした。

泣く泣く通っていた
椎葉村立国保病院の歯医者の先生から、
血液を顕微鏡で見せてもらって感激して、
医学部に行こう、医師になろうと思いました。

もし私に、虫歯がなかったら、
そういう出会いもなかったかと思うと、
運命は判りません。

虫歯予防のポスター展

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