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宮崎県は死語の国である。「死屍累々」ではなく「死語累々」で、太川陽介さんを思い出してしまった

米国CDCガイドラインの最新情報を聞きました。

講師は、矢野邦夫先生で、浜松市感染症対策調整監、浜松医療センター感染症情報センター長、浜松市立看護専門学校長をされています。

名古屋大学医学部の出身の内科医で、米国の大学病院で感染症科に勤務し、エイズトレーニングセンター臨床研修などを経験された感染症の専門家で、多くの著書があります。

昔大流行しましたが、今はまったくつかわれない完全な死語の例として、ちょべり、ナウい、アベック、ハイカラ、イカす、バッチグーを挙げました。

私にとっては、懐かしい言葉です。

いまは死語になっているのですね。しくしく。

最初に衝撃的な発言がありました。

「飛沫感染」と「空気感染」は死語になるというのです。

CDCの隔離予防ガイドラインの歴史についての説明がありました。

1981年に針刺しや皮膚汚染によるHIV感染があり、医療従事者を守るために、普遍的予防策(Universal Precaution)が登場しました。

しかしこれには弱点があり、肉眼的に血液がみられない便、尿、喀痰、吐物などの予防策がありませんでした。

そこで登場したのが、1987年の生体物質隔離です。

1996年に標準予防策(Standard Precaution)となります。

標準予防策の弱点は、患者を守っていないということでした。

2002年から03年にかけてSARSが流行しました。

これを受けて2007年から標準予防策に3つの追加対策が入った改訂版が登場します。

①咳エチケット、②安全な注射主義、③腰椎処置におけるサージカルマスクの着用、の3つが追加されました。

改訂標準予防策には、「患者を守る」ということが初めて入りました。腰椎穿刺で患者に感染させてしまう事例があったのです。

さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、2019年から大流行しました。

これを踏まえ、CDCはガイドラインを変更するのは確実だとされています。

以下の3つの項目が変更されると想定されているとのこと。

①空気を介する伝搬、②ハザード対策の階層構造、③介護施設における多彩耐性菌対策

まず、空気を介する伝搬ですが、WHOはCOVIT-19のパンデミックにおいて、「空気感染」「空気伝搬」「エアロゾル伝搬」という用語が、様々な科学分野の関係者によって異なる方法で使用された、と言っております。

そのため、病原体が人々にどのように伝搬するかについて誤解や混乱を招いたと指摘しています。

ちなみにこの提案を行ったWHOの会議には米国CDCが参加しております。

WHOが提案している新しい用語は、感染性呼吸器粒子(IRP:infectious respiratory particle)です。

その特徴は以下のとおりです。

幅広いサイズがあること(サブミクロンからミリメートルまで)

呼気によって発生する乱流の雲(肺からのガスと呼吸器粒子の混合物)の中で移動すること

ざっくり言えば、病原体と水分と呼吸器分泌物を含む粒子です。

こうした感染性呼吸器粒子(IRP)は、サイズの連続スペクトル上に存在し、小さい粒子と大きい粒子を区別するために明確なカットオフ・ポイントを適用すべきではない。

結核の場合は、5μmでした。

このカットオフ・ポイントを境にして飛沫感染と空気感染に分けられ、結核は飛沫感染だとされていました。

感染性呼吸器粒子は、サイズの連続スペクトルを認識することで、従来のよく知られた用語の二分法(飛沫感染と空気感染)から脱却することができます。

空気を介する伝搬では、「直接沈着」と「吸気伝搬/吸入」があります。

直接沈着は、粘膜表面(目、鼻、口)に直接付着し、空気伝搬/吸入は、呼吸器系に吸入されます。

感染者は、別の人には、大きなIRPで短距離の伝搬(直接沈着と空気伝搬/吸入)を、小さなIRPは長距離の伝搬(空気伝搬/吸入)を起こします。

空気を介する伝搬には、感染性呼吸器粒子(IRP)が、顔面の粘膜(口、鼻、目)に直接沈着して呼吸器系に達するルートと、空気伝搬/吸入により呼吸器系に達するルートがあります。

こうした考えを踏まえると、換気は重要な感染対策となります。

空気を介して伝搬する病原体のリスクを軽減できる対策は次のようになります。

距離を保ち、十分に換気し、マスクを着用し、気流パターンにおける「風下」側に立たないことで、感染リスクを低減できます。

空気を介した病原体の伝搬は、感染者の近くでは病原体濃度が高いので短距離の方が伝搬しやすくなります。

また換気すると空気中の病原体の濃度が低下します。

次に、ハザード対策の階層構造です。  

これは労働安全衛生の知識が役に立ちます

効果の大きい順に、排除、置換、工学的制御、運営的制御、PPE(個人用保護具)があります。

排除は、危険物を物理的に除去すること。例えば、有害な化学物質の使用を止める。

置換は、危険物を置き換えること。例えば、溶剤ベースの印刷インクを植物由来のインクに換える。

工学的制御は、危険物から人々を隔離すること。例えば、放射線遮蔽シールドを使用する。

運営的制御は、人々の働き方を変えること。例えば、車の通行が少ない夜間や週末に道路工事を行う。

PPEは、個人防護具で労働者を保護すること。例えば、安全靴やヘルメットなどを使用する。

感染対策での階層構造は次のようになります。

排除は、オンライン診療をして暴露をさせない。

置換は、感染性病原体には適用されるものがありません。

工学的制御は、換気、陰圧室など空気感染隔離室、針刺し防止安全機材の使用などがあります。

運用的制御は、感染対策マニュアルを作成して、手洗いを徹底させることなどがあります。

PPEは、手袋、ガウン、マスク、ゴーグルなどがあります。

このうち、運用的制御とPPEは、医療従事者に大きく依存する対策です。

例えば、運営的制御の代表的な手指衛生は、徹底させるためには苦労します。

医療従事者の手洗い不足の原因は、時間的な制約、認識と習慣、皮膚炎などの個人的な理由、環境的要因などがあります。

ちなみに、アルコール手指消毒前後の石鹸と流水の手洗いは、皮膚炎を起こすの推奨されていません。

例外は、①手指が肉眼的に汚れたとき、②ノロウイルス、③有芽胞菌です。

WHOは、手指を清潔にしたら、ペーパータオルもしくは手指乾燥機で手を乾かしましょうと言っております。

私たちの施設では、コロナ対策のときに手指乾燥機は止めませんでした。

最後に、介護施設における多剤耐性菌対策です。

高齢者施設の多剤耐性菌対策には、いわゆる接触予防策を持ち込まないことが大切です。

CDCは、介護施設の多剤耐性菌対策についてはこのように指摘しています。

多剤耐性菌を保菌した介護施設の居住者の保菌は、長期間(数ヶ月から数年)続きます。

介護施設には家庭のような環境といった特殊な状況があり、居住者に接触予防策を適用すると、居住者に長期にわたる隔離が必要となって、全体的な健康と福祉が損なわれます。

自分の部屋に制限されたり、グループ活動への参加制限はダメです。

多剤耐性菌の感染または保菌した居住者に濃厚に接触するケアを行うときには、ガウン/手袋を着用します。

濃厚接触のケアの例は、着替え、入浴、搬送、リネン交換、オムツ交換やトイレ介助、器具のケアや使用、包帯を使用する創傷ケアなどです。

シンプルで大変勉強になりました。

空気感染か飛沫感染かで、不毛な論争がありましたが、CDCの新しいガイドラインが出たら、死語になるでしょう。

医療従事者の国家試験には、感染性呼吸器粒子(IRP)が登場することになるかもしれません。

そういえば、昔、IRAという北アイルランドのテロ組織がありました。

ハリソン・フォード主演の映画で「パトリオット・ゲーム」で、そんな組織があるんだと初めて知りました。

IRAと混同しないように。IRPです。

誰も混同しないか。 

逆に混同させたりしたらすいません。

テロ組織と間違わないためにも日本語で覚えてください。

宮崎県のある方から聞きました。

我が家には、「アベックラーメン」なるインスタントラーメンが常駐しています、とのことです。

さらに、昨年入院したときに、術後の創の経過を確認した看護師さん(推定30代)が、「お、バッチグーやね」とにこにこして電カルに入力していて、とても嬉しくなりました、とのこと。

うーむ。

宮崎県は死語の国かも。

「死屍累々」ではなく、「死語累々」。

恐縮です。

ルイルイの太川陽介さんを思い出してしまいました。

フォローするわけではありませんが、太川陽介さんのお名前は、日向(ひむか)の国にふさわしい。

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