2040年まであと14年であり、その間、診療報酬改定は7回もある
須田光彦さんの「絶対にやってはいけない飲食店の法則25」(フォレスト出版)を読みました。
これは、極めて公衆衛生的な本でしたので、ハベレオ通信で紹介させていただきます。
須田さんは、飲食店特化型コンサルタントです。
ざっくり言えば、飲食店の価値創造と向上に強いフードビジネスバリューデザイナー。
日本テレビ系列の「有吉ゼミ」の人気コーナー「芸能人の心配な店」に出演して、歯にも衣着せぬ語り口で、芸能人が経営する心配な店の「1年以内に倒産する確率」を診断した人です。
須田さんは、飲食店に限らず店舗経営には次のような売り上げの法則があると指摘しています。
売り上げ= 客数 ✖ 客単価 ✖ 営業日数
この数式を見て、衝撃を受けました。
この数式は、医療機関にも当てはまるのではないか。
須田さんは、この数式は実際には使い物にならないと言っています。
現実に即した次の数式を使うと言っております。
売り上げ=
実際の客数(席数 ✖ 満席率 ✖ 回転率)✖ 客単価 ✖ 営業日数
満席率は、総席数に対して実際にお客さまが座っている座席の割合で、「座席占有率」とも言います。
一般的な式だと、客数は、すべてのテーブルが埋まり(万卓)、すべての客席が埋まった状態(満席)が前提になっています。
つまり、店内のすべての客席が利用されている状態です。
しかし、実際にはそんなことはあり得ません。
グループ客の平均組人数は2.7人です。
例えば、4人用テーブルがあったとします。2人客が座っても、3人客が座ってもそのテーブルは埋まります。
つまり、満卓ということになります。
しかし満席率を見ると、2人客の場合50パーセント、3人客の場合は75パーセントです
もし、4人卓に1人客を座らせてしまったら、満席率は25パーセントになってしまいます。
ただしごくまれに満席率が100パーセントを超えることもあります。
それは立食パーティで貸し切りになったときです。
回転率は、居酒屋で営業時間が6時間というお店では、よくてせいぜい2回転だと指摘しています。
須田さんは、売り上げ計画を作成することを勧めています。
曜日ごとの営業時間の設定と客の男女比の設定が重要だと指摘しています。
男性と女性の消費量を分けて考えるのです。

ふむふむと読んでいましたが、これは病院経営にも言えることではないかと感じました。
外来収入は、外来患者数 ✖ 外来診療単価 ✖ 営業日数 です。
入院収入は、病床数 ✖ 入院診療単価 ✖ 病床稼働率(回転率) です。
病床稼働率は、いかに病院のベッドを埋めるかということです。
例えば、金曜日に退院させて、月曜日に入院させると2日間の入院収入の減となります。
午前中に退院させて、午後に入院させると、1つの病床で同じ日に2人入院したと算定できます。
病床稼働率がアップするのです。
こうした診療報酬の算定について、病棟のスタッフが知らないことが多いのです。
ホテルと病院(ホスピタル)の語源は同じです。
我々が、ホテルを予約するときに、一番気にするのは宿泊費です。
一泊いくらなのかを気にします。
病院も同じです。
一泊いくらかは、診療報酬点数で、サービスを提供する看護師の数で決まっています。
飲食店の経営は、スタッフの教育が大事です。
須田さんは、「社員教育をしないのは、経営者失格です」と断言しています。

今月始めに、厚生労働省から地域医療ガイドラインが示されました。
およそ、80ページにわたる2040年までの医療の道標になっています。
医療従事者や、医療人を目指す学生は、地域医療構想のガイドラインを読んで学習しましょう。
病院の経営者は、医療従事者の教育をしましょう。
それぞれの病院は、医療圏域における自分の病院の役割を考えることになっています。
これが医療機関(病院)機能です。
地域医療構想ガイドラインによると、次の5つです。
急性期拠点機能
高齢者救急・地域急性期機能
在宅医療等連携機能
専門等機能
医育及び広域診療機能
自分が勤務する病院の機能を知らない医療従事者は、例えると下手なサッカーチームの一員です。
ボールに集まり、ボールが来たらすぐに前に蹴る。
ゴールキーパー以外は、自分のポジションを自覚していないのです。
日本の医療は、組織化していないことが、これまでの伝統でした。
これからは、治す医療から治し支える医療にOSが変わります。
ひたすら前にボールを蹴る個人技中心の攻撃的サッカーから、役割を決めてボールを保持し組織的にしかける守備的なサッカーに変わったと言えます。
公衆衛生の目標は、疾病の予防、寿命の延長、体と心の健康づくりです。
そのためには、組織化が必要だと、ウィンスロウはおよそ100年前に定義しています。

2040年まで、あと14年。
診療報酬改定は7回もあります。
厚生労働省は、ガイドラインに書かれてあるとおりに診療報酬改定を仕掛けて来るでしょう。
病院からの実績報告に基づき、それぞれの病院機能に応じた評価がなされることは、火を見るより明らかです。
今後、地域医療構想ガイドラインの解説本が多く出版されるでしょう。
その前に、まずガイドラインの原文を読み解くことが必要です。
地域医療構想は公衆衛生です。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001718620.pdf
