ドラッカーの「マネジメント」が出版されたのは1972年であり、水俣病などの公害の発生予防には間に合わなかった
経営者に有名なドラッカーという人がいます。
昔、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)で有名になりました。
この「もしドラ」は270万部を売り上げて、アニメや映画にもなり、社会現象化しました。
筆者の岩崎夏海さんは、その年のNHK紅白歌合戦の審査員にもなっています。
ふふふ。
紅白歌合戦の審査員のポストは、文化人枠があるそうで、狙ってみようと思っております。

ドラッカーの名著「マネジメント」を解説した、上田淳生さんの「人こそ、最大の資産である マネジメント ドラッカー」(NHK出版)を読みました。
価格は1000円で100分で読めるとあったので、1分10円でコスパがいいので買いました。
マネジメントは超大作ですが、この本だとエッセンスが抽出されており、私にはぴったりでした。
しかし、この簡易版マネジメントを読んで、驚愕しました。
ドラッカーで公衆衛生を学ぶことができたのです。
ドラッカーは「未来学者」と言われることがあります。
なぜなら、ピタリと未来を当てるからです。
ドラッカーは、「未来」について確実に言えることは2つしかないと言っております。
一つ目は、未来はわからない。
二つ目は、未来は現在と違う。
「おまえ、ふざけるな」という人がいるかも知れません。
私もこれを読んで、カックンと脱力しました。

しかしこれには続きがありました。
未来を知るための方法は二つあるとのこと。
①「すでに起こった未来を見ること」
②「自分で未来をつくること」
①は、たとえば今年の出生数が30万人減ったと仮定します。
そうなると当然のことながら6年後に小学校に入学する新入生の数も30万人減ることになります。
学校では教室や教員が余る。
つまりすでに起こったことを観察すれば、その先にある変化(未来)もおのずとみえてくることになります。
②は、難しいことのようにも思えますが、誰にでもできることです。
子どもを一人つくれば、人口は一人増えます。
小さなものでも事業を興せば、財・サービスと雇用を生み出します。
歴史はビジョンを持つ一人一人の人間が作っていくものだとドラッカーは言っています。

世界的なアルミニウム精錬会社アルコアのCEOのオニールという人は、大学院でドラッカー教授に習いました。
ドラッカーの教えは、
①顧客のことを考えよ、
②従業員のことを考えよ、
の二つだったそうです。
ドラッカーは、カスタマー・サティスファクション(顧客満足=CS)と、エンプロイー・サティスファクション(従業員の満足=ES)の二つが両立できてこそ、会社としての存在意義があると考えたわけです。
オニールは、ドラッカー教授の講義メモを見て、ずっと心に留めていたものがあります。
人(従業員)を中心に経営を行うことでした。
アルミニウム精錬会社は、熱くて重たい金属を扱うので、労災がおこりがちです。
そんな中で、オニールは「労災ゼロ」を宣言します。
もともとアルコア社の労災発生率は、全米の半分以下でしたが、「どなたかの大事なお子さんである大切な社員に、仕事でけがを負わせるわけにはいかない」と労災ゼロキャンペーンを行いました。
すると労災の発生件数がさらに減っただけでなく、なぜか生産性が高まってぐんぐんと業績が良くなっていきました。
ドラッカーは、会社は、社会に悪い影響を与えないようにして、社会に貢献することを考えなければいかないと、言っています。
さらに、ドラッカーは、企業の目的は、ただ一つ。
「顧客を創造すること」だと言っております。
企業の倫理として、「知りながら害をなすな」が大事だと指定しています。
これには、2000年前のギリシャの名医「ヒポクラテスの誓い」の中にはっきりと表現されていると言っております。
会社は社会のために存在し、利益のためではなく、人間を幸せに導くために存在している。
というのがドラッカーが繰り返し、しつこいくらいに述べていることです。
亡くなった京セラの稲盛和夫会長について書かれた本のなかに、それまで務めていた会社を辞めて、独立して新しい会社を立ち上げて、社会に役立つものを造ろうとしたところ、社員から給料や労働時間について申し入れがあり、従業員のことが一番大事だと分かったというエピソードがありました。
従業員が満足しなければ、会社は存続できません。

「マネジメント」が出版されたのは、1972年だそうです。
水俣病などの公害の発生予防には間に合わなかったのは残念です。
ドラッカーの「マネジメント」は、持続可能性のある企業の育成、労災や公害の予防、なによりも社会貢献が学べます。
私も、100分で学べる簡易本を卒業して、「もしドラ」は飛び越して、完本「マネジメント」を読んでみたいと思いました。
そのため、今年の紅白歌合戦の審査員は、先延ばししすることにします。なんてね。
