看護師養成施設をめぐって富山県を舞台にした「総合火力演習」があった
富山県時代の話です。
私が出向していたときには、富山県立中央病院に併設された富山県総合衛生学院という3年制の看護師養成施設がありました。
看護科の定員は1学年が120人でしたが、60人くらいしか採っていませんでした。
看護師不足の中で、県が定員いっぱい養成していないのは問題だ、と県議会で指摘を受けたのです。
総合衛生学院の先生方に話を聞いたところ、以下のような課題があるということでした。
とにかく古い。
施設が老朽化しており、入学式でも父兄が写真を撮るのをあきらめるほど
志望者の学力が低下している。
定員数を採ると、国家試験に合格できない可能性がある
そのため、一定の成績に到達していない受験生は入学させていない
視察したところ、確かに古く、水道から赤さび水が出るほどでした。
また、実習を行う設備も古く、現在の病院の病棟で使われるものに対応しておりません。
検討会を設置して、今後の対策を検討することになりました。
知事から、検討会の座長は、厚生省の元局長クラスを連れてくるように、厳命されました。
さっそく上京して、上司だった元医政局長に相談をしたところ、「カッカッカッカ」と快諾してくれました。
元局長から、まず現場を見せろ!とのご要望があり、検討会の前に富山県まで来ていただきました。

元局長は、「学院長は誰がやっているのか?」
と学院の教官たちに質問をしました。
「中央病院の副院長が学院長を兼務しています」と答えると、
「いまどき看護師の養成施設のトップを医者にやらしているのか。そこからアウトだな……。カッカッカッカ」
とバッサリ斬られました。
次に「定員の半分しか入学させない理由は?」と質問がありました。
「成績が合格の基準点に達していません。国家試験に合格できないので」
と教官たちが答えました。
「あんたら、それでも教育者か?」
教官たちが氷つきました。
「私学なら、定員の2割増しの学生を入学させるのが常識だ。成績が悪くても、勉強をさせて国家試験に合格するレベルまでもっていくのが教育者の役目だろう。本当に看護教育をしているのか。カッカッカッカ」
「まさか、高校生だけを受験させているのではないか。社会人入試や推薦入学など、意欲のある者を採る算段はしていないのか?」
教官が答えました。
「社会人を入れると教育がしづらくなります。推薦入学だと学力が心配です」
「看護師になりたい人を養成する熱意もないとは……。ここは施設・設備が古いだけの問題じゃないな。定員数どおりの学生を入学させて、普通に教育をする気がない。こうしたお役所主義の看護学校を初めて見た。カッカッカッカ」
教官たちが、私をにらんでいます。
なんでこんな人をここに連れてきたのかと、抗議の視線でした。
しかし、厚労省のカッカッカッカ局長の辛辣な言葉は、現場の看護教官たちに刺さったようでした。
ナイチンゲール精神に火がつきました。
カッカッカッカに対抗して、メラメラメラと炎上したようです。
まさに
「火(カッカッカ)」対「火(メラメラメラ)」の
富山県を舞台にした「総合火力演習」
となりました。
その後の改革に、進んで協力的になりました。

実際の検討会では、カッカッカッカの座長は、
毒舌を全く封印されて、驚くほど紳士的な司会をされました。
検討会の報告書を知事に手渡しをした日の夜に懇親会をしたところ、知事がサプライズで登場しました。
財政課は、施設の改築や看護教育用の最新の教材や模擬病室などの予算を付けてくれました。
学院長も看護師となりました。
社会人入試や推薦入学も実施されました。
120人の定員はきちんと埋まって、国家試験も合格しました。
現在は、富山県では県立看護大もでき、総合衛生学院の役割は終了しています。
令和4年3月に看護科最後の学生が卒業しました。
知事も交代しております。

カッカッカッカの局長は、たぶんお元気でしょう。
コロナもあって、もう5年以上お会いしておりませんが。
サメ局長やカッカッカッカ局長など、今考えると厚労省にはキャラの濃い局長がいたな、と感心しております。
いえ、今でも尊敬しております。
サメ局長はこちらにあります。
