漫画「包丁人味平」は審査員の判定、制限時間、テーマに沿った創意工夫など、料理バトルの基本をすべて作り上げた
グルタミン酸のことは聞いたことがあると思います。
タンパク質を構成する20のアミノ酸の一つです。
二井將光さんの「薬学教室へようこそ いのちを守クスリを知る旅」にグルタミン酸のことが書かれていました。
1908年に東京大学の池田菊苗によって昆布の旨み成分として同定されました。
グルタミン酸は昆布のほかトウモロコシからも取ることができますが、精製するのは大変でした。
そこで、考えられたのが、微生物の活用です。
グルタミン酸は、タンパク質を構成している必須の成分ですから、微生物が細胞の外で大量生産するこおはあり得ないと考えられていたのですが、この常識を打ち破り、1956年に鵜高重三(協和発酵・名古屋大学)がグルタミクム菌によるグルタミン酸の生産法を開発しました。
菌を何十トンという大きなタンクで2~3日ほど培養し、菌を除いた後で培地を酸性にすればグルタミン酸が沈殿します。
このようにして、年間数百万トンにも及ぶグルタミン酸が生産され、安価な調味料として使えるようになりました。
これだけのグルタミン酸を昆布やトウモロコシから取り出すのは不可能です。
日本では味の素、外国でグルタミン酸ナトリウム塩の意味からMSG(Mono-Sodium Glutamate)と呼ばれる調味長となり、食生活に変化をもたらしました。
この成果によって、微生物がアミノ酸を作るという新しい概念ができあがりました。
その結果、リジン、メチオニン、アスパラギン酸、フェニルアラニンなど10種類におよぶアミノ酸も微生物から生産できるようになり、栄養強化剤、調味料、飼料などに用いられています。

池田菊苗は、東京帝国大学教授です。
湯豆腐の出汁に使われていた昆布に着目して、その美味しさの正体を分析しました。
昆布から抽出した結晶が、L-グルタミン酸であることを突き止めました。
当時の基本味は、甘み、酸味、塩味、苦味の4つでした。
このどれにも当てはまらない独立した味であるとして、自ら「うま味」と命名しました。
グルタミン酸そのものは水に溶けにくく酸味があったため、ナトリウムと結びつけることで水溶性と旨みを高めた「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」の製造法を発明し、特許を取得しました。
1899~1901年にドイツおよびイギリスに留学しました。
ロンドンでは、夏目漱石と同じ下宿に滞在していました。
二人は深く意気投合し、漱石の文学論や科学観にも栄光を与えたと言われています。
昔、週刊ジャンプで「庖丁人味平」というグルメ漫画の原点のような漫画が連載されており、日本人の舌は、西洋人の舌より繊細で「うま味」が分かるというウンチクが語られておりました。
この漫画は、若き料理人の塩見味平が、次々に登場するライバルたちと「包丁試し」というバトルを繰り返して成長していく物語です。
原作は牛次郎さん、漫画はビック錠さん、超人気漫画でした。
料理の味を競うというよりは、肉を取って骨ばかりになった鯛を泳がせるとか、牛の肉を解体する時間を競うなど、ワイルドすぎる展開となっており、興奮しました。
私はグルタミン酸を、この漫画で初めて知りました。

Geminiに聞いたら、料理バトル漫画の基礎を築いた革新性を特徴としてあげていました。
「料理勝負」というフォーマットの確立
審査員の判定、制限時間、テーマに沿った創意工夫など、後の「美味しんぼ」「料理の鉄人」「ミスター味っ子」などに続く料理バトルの基本をすべて作り上げたと評価しています。
料理の鉄人は、テレビ番組です。
1993年から1999年にかけてフジテレビ系列で放送された、日本の料理対決バラエティ番組の最高峰とありました。
「庖丁人味平」で確立した「テーマ食材」「制限時間」「審査員による判定」といったフォーマットを、リアルなエンターテイメント・ショーとして実写化し、日本のみならず世界中で爆発的なヒットを記録しました。
鹿賀丈史が演じる主宰が挑戦者を指名・招集し、キッチンスタジアムで番組が誇る各ジャンルの「鉄人」から一人を指名した対戦します。
鉄人がこれまたすごかった。挑戦者に鉄壁のように立ちはだかります。
私が覚えているのは、和の鉄人:道場六三郎さん、フレンチの鉄人:坂井宏行さん、中華の鉄人:陳健一さんです。
服部さんの解説も面白く、またカメラワークも素晴らしかった。登場するシェフはアスリートいや格闘家のように見えました。
アメリカで吹き替え版が大ブームになってアイアン・シェフ・アメリカとしてリメイクされました。

宮崎はプロ野球などキャンプ地として有名です。
キャンプシーズの2月は、気候的には沖縄のほうがいいそうですが、食事は断然宮崎が美味しいと言われています。
牛・豚・鶏の三冠を制しておりますが、一番大事なのは、野菜が美味しいとのこと。
ドレッシングをかけなくても宮崎の野菜は美味しいと評判なのだそうです。
肉だけを食べると消化にエネルギーを消費するため、野菜とのバランスが勝負になります。
プロの世界で頭角を現すためには、食事が決め手になります。
食事は公衆衛生の王道です。公衆衛生を極めた人がプロで生き残るのです。
グルタミンから拡散してしまいましたが、まあいつもの結論となりましたので、まあいいかしら。
冒頭の写真は、椎葉村の菜豆腐です。
