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お前はヒラメだと泥にまみれるのが地域医療構想である

前厚労省事務次官の大島一博さんの編著による「未来をつくる医療DX・AI最前線」(プレジデント社)を読みました。

ちなみに、大島さんは、熊本の出身です。

以下が,帯に書かれていました。

「人と向き合いたい」現場の想いが日本の未来を牽引する。

医療DX令和ビジョン2030推進チームを率いた編著者が、25の事例を通じて人々の工夫と努力を紹介する。

DXとAIがつくり出す新たな健康・医療・介護の例として、以下が紹介されています。

・救急車の中で、過去の診療歴、服用情報が即座に共有され、命を救う判断が早まる

・全国どこの病院・診療所・薬局でも電子カルテ情報の一部が共有され、より安心な診療・調剤が受けられる時代が始まる

・これからの病院は、スマホ一つで、診療予約・会計・薬の受け取りまで完結する

・AIが画像診断やリスク予測を支援し、医師は”人に向き合う医療”に集中できる

・病院内をロボットが移動し、看護師の”走り回る仕事”が減っていく

・スマホの中の個人健康情報(PHR=パーソナル・ヘルス・レコード)を活用し、健康づくりが進化する

・介護の外国人人材を留学生の在留資格で受け入れて、長く日本で働いてもらえる取り組みも始まった

全国各地で、いろいろな取組が始められています。

これまでの日本は、人口の伸びを見込んで設計された制度や運用によって社会を支えてきましたが、すでに人口が減少に転じてから15年が経過しています。

日本の医療介護をはじめとする社会保障・経済・暮らしは、人口の増加から減少への急激な変化により大きな影響を受けています。

このような中で、医療DX・AIのポイントは、人間中心の考え方を基本にすることにあると大島さんは言っております。

現場で働く人の負担が軽減され、サービスが向上し、サービス利用者が納得と安心感を持ち、地域における持続可能な医療・介護を実現することを目標においています。

地域医療構想のくだりがあります。絶妙な言い回しに感心しました。

以下は、本文の引用です。

初回の構想(2015年度~2025年度)は、団塊の世代がすべて75歳異常になる2025年を見据えたものでした。

医療圏ごとに急性期・回復期・慢性期といった役割を整理し、病床の機能転換を進めることが中心的な課題とされました。

これに対して、2026年度から始まる新たな地域医療構想は、視野を大きく広げています。

外来機能、在宅医療、介護との連携、人材確保にまで踏み込み、「地域全体での医療提供体制の再設計」を目的に掲げたものです。

とりわけ2040年頃にかけては、85歳以上の高齢者が引き続き増加し、在宅医療や介護の需要が大幅に膨らむと予測されています。

そのため、地域の医療機関ごとに役割を明確にし、医療機関の連携、再編、集約化を計画的に進めることが不可欠になります。

新しい地域医療構想には、2つの柱があります。

第一に、急性期から慢性期に至る病床の機能分化と連携を継続します。

第二に、外来・在宅・介護を含め、地域全体を見据えた包括的な最適化を行います。

新構想は、「病床数の調整」にとどまらず、地域全体で医療・介護・在宅をどう結びつけ、持続可能な体制を築くかという問いに答えようとしています。

方向性そのものには大きな異論はありません。

しかし、対象が病床から外来、在宅、人材にまで広がる一方で、高齢化と人口減少の進行は加速していきます。

その中で、地域医療構想を調整し、具体的なかたちにしていく作業の難度は飛躍的に高まることでしょう。

地域の中に「汗をかく人」「泥をかぶる人」がいない医療圏では、医療機関間の協調関係の構築ができず、過度の競争関係が続くことが懸念されます。

そのための出発的として欠かせないのは、医療圏ごとに「2040年、さらにはその先の人口動態と医療ニーズの予測」を関係者全員が共有することです。

2025年度中には厚生労働省から新たなガイドラインが示される予定であり、それを契機に、できるだけ多くの地域で協調の枠組みが築かれ、現実に即した医療提供体制の再構築が進むことが望まれます。

長い引用でしたが、汗をかく人、泥をかぶる人がいない医療圏は、医療従事者や患者を奪い合うレッドオーシャンが続くと言っております。

さすが、熊本出身の星飛雄馬のライバル「左門豊作」のようなたとえです。

スポ根のように、汗と涙と泥の世界が地域医療構想です。

ど根性や気合いだけでは無理で、人口予測と医療ニーズ予測というデータを突きつける必要があります。

野球も今は、データ中心となりました。

どんな超弩級な新人ピッチャーが登場しても、研究しつくされて2年目は打ち込まれます。

地域医療構想は野球と同じでデータが大事です。

医療政策課ではデータを根拠に地域医療構想を進め、地域では汗と涙を流し泥をかぶる人を発掘してもらいたいと想います。

漫画の「スラムダンク」でも、板前修業を目指す魚住が、ゴリに言っておりました。

「お前はヒラメだ。泥にまみれろよ」 ← なんのこっちゃ。


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